紙の本
らしい小説
2015/06/23 20:02
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:藤枝 雅 - この投稿者のレビュー一覧を見る
幸せスイッチというタイトルですが、その幸せの定義をどこに定めるのかということを考えさせられる小説とも言えるものだと思います。表現のグロさ、結末の不条理さなどは作者らしいものだと感じました。
個人的には、超限探偵Σの出てくる短編「怨霊」が好きですね。都市伝説の不条理さを上手く利用して解決したことなどは、小学生時代に都市伝説に恐怖した世代としては、痛快でした。
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短篇集だが、各作品が横糸となって最後の「哲学的ゾンビ、もしくはある青年の物語」につながっていく。哲学的ゾンビ~は著者の別の作品「脳髄工場」と同じテーマだが、より洗練され完成度の高い物語となっている。
おすすめ度:5(5点満点)
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文庫オリジナル短編集。
ジャンルとしてはSFホラーになるだろうか。
ナンセンスホラーとも言える『怨霊』、近年流行のイヤミスを思わせる『勝ち組人生』など、グロテスクではないが初期の短編を思わせる。特に極端な人間(狂気?)を描いた『どっちが大事』『診断』が面白かった。
表題作にもなっている『幸せスイッチ』はオーソドックスなSFホラーだが、巻末の『哲学的ゾンビもしくはある青年の物語』は、メタ的なSFでホラー風味は薄め。また、全体を纏める位置でもあり、こういう構造はミステリにもよく見られる。ジャンルにまたがる著者の作品の特徴がそれぞれ見られるのでは? ミステリはちょっと薄味かな~。
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わかってて読んだんですが、ブラックでした。ホラーというほど明確な恐怖を描いているわけではありませんが、じわじわ来る怖さでした。「○○と私、どっちが大事なの?」はよくあるセリフですが、ここまで昇華されるともう脱帽です。
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小林泰三による光文社刊の「惨劇アルバム」「セピア色の凄惨」に続くブラック&ナンセンスな短編集。「怨霊」はメリーさんがジャンジーラ市にやって来る(ジャンジラ市って原発事故で封鎖されているんじゃないの?)「診断」は、母、春子さんの娘、アキちゃんが大変な事に!(どうなる?『あまちゃん』!)表題作「幸せスイッチ」は≪人の不幸は蜜の味≫。「哲学的ゾンビ もしくはある青年の物語」は作者自身の名作「酔歩する男」のセルフパロディ。小林独特のロジックで感情を刺激して嫌悪感を引き出す術は健在な全6話から成る短編集。
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「怨霊」、Σに怒られる怨霊がなんだか可愛く思えてきて面白い。「哲学的ゾンビもしくはある青年の物語」、脳髄工場を思い出す。
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小林泰三の短編集。
淡々と、少し幼い表現で摩訶不思議な世界や登場人物が描かれていく独特なシュールさは、相変わらず。これがとても恐ろしい。
ただし、大体短編は半分くらいしかヒットしない。今回もそうだったかも。
一番よかったのは「勝ち組人生」か表題作か。
2+
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光文社ヤスミンの力の抜け方はクセになります。
コレという話は特にないのに、ついつい読んでしまう。
論理的な整合性と倫理的な破綻のバランスが、気持ち悪くて気持ち悪くて最高。
でもやっぱりSFを書いて欲しい今日この頃。
80点(100点満点)。
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不条理でコミカルなホラー短編集。読み終わった後には既成概念や常識がすべてひっくり返ってしまったような心地になります。
お気に入りは「怨霊」。おお、ありがちな都市伝説ホラー! と思いきや……え、それって「スーパーストーカー」っていうの?(笑) しかもあれよあれよの展開の末にまさかオチがあれとは……抱腹絶倒でした。万一ああいうのに付け狙われたらこうすればいいのかな(無理っ)。
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怨霊がお気に入り
Σのキャラがよい
怨霊と交渉する会話が愉快
理系っぽい理詰めな
悪く言えば、講釈たれでイライラするキャラが出てくる
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2015年、39冊目。初、光文社文庫の小林泰三。全六編からなる短編集。タイトルと表紙に騙されて手にした方はいないでしょうか?そんなキッカケもあってイイとは思いますが……。
怨霊:小林泰三ファンにはお馴染み(?)の超限探偵Σ登場。現在は差別用語とされる有名児童文学を下敷きにしたコメディ。
勝ち組人生:小林泰三お得意の叙述モノ。
どっちが大事:ブラックな不条理系。
診断:モンスターペアレント、医療版。
幸せスイッチ:『脳髄工場』収録、「脳髄工場」のライト・ヴァージョン(?)。
哲学的ゾンビもしくはある青年の物語:恒川光太郎「秋の牢獄」を思わせるも、主題は「脳髄工場」、作りは「酔歩する男」をそれぞれ踏襲した感じ。なおかつ、全体のエンディングの役割も担っている。
コレも1日読了。各々、会話体も多く、一編30分程度で読めるので、テンポ感はイイ。作品のヴァラエティーもある。ただし、角川ホラー文庫の短編集に比べると、内容的にも、表現的にも軽い仕上がりで、「コレ」と言う目玉も見当たらない。そんな中、個人的お気に入りは「診断」がベストで、次が「勝ち組人生」。別の意味で「怨霊」も大好物だけど……。
★★★☆☆評価は3.4点、四捨五入っていうトコ。
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イヤミスならずイヤホラ。
こんなにイライラさせられる話を次々に読むのはなかなか無いかと。
一日で読めたし、ある意味すごいのかも。
この作者は今まで読んだことなかったので、他のも気になるがこんなんが多いのかな~それなら…う~ん(ーー;)
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『怨霊』
探偵Σが登場。懐かしい。解決策がバカバカしすぎるけど、バターになるの好きだな。
『勝ち組人生』
貧乏描写が鬼気迫っていて、辛い。ループ。
『どっちが大事』
なんとなく、奥さんの春子の冷たさに新藤みを感じた。
『診断』
頑なに自分以外の考えを受け入れない母親の姿に逆に好感のようなものを抱いた。強い。
『幸せスイッチ』
常々考えていたことを小説として出されて満足。いやほんと脳を騙して生きていきたい。それって生きるってことなのかっていう定義付けの話は脇に置いて。ほんとに。この世は地獄すぎる。
『哲学的ゾンビもしくはある青年の話』
書き下ろし短編としてのまとめのような、そんな面もありつつ、主人公の青年がいなくても噛み合う会話劇を描いててすごい。頭疲れる。
クオリアについての掘り下げがそれほどなくすすんだので逆に軽くて読みやすかった。
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読んでいて気持ちよくない、でも読んでしまう。
登場人物全員がここまで不快なのも珍しい。
見方によって良い悪いも変わるし、感じ方も変わって読んでいくたびに新しい感覚になる。