投稿元:
レビューを見る
様々な方向から、事件を追い、点であったものが一本の線と結びついていく姿は圧巻で、夢中になって読みました。
ただ、結びついていく結末も、何となく展開が読めた部分もあり、不思議な力が関係しているせいもあるのか、トリックなどはすっきりしない部分もあり、そして事件を追う人が多すぎて、全体的にぼやけた印象があるかも。
ただ、これだけの分量を読ませてしまうのはさすがだなと思いました。
投稿元:
レビューを見る
東野圭吾作家生活30周年記念作品。面白くて久々の一気読み。ボディガードの武尾、地球化学科教授の青江、刑事の中岡らの異なる視点から事件の全容が徐々に明かされていく過程に、頁をめくる手が止まらなかった。いつにも増して満足度が高いのは、犯人の予測は勿論、動機や被害者の繋がり等をきちんと当てられるようにヒントが巧みに散りばめられていたからだろう。その辺の匙加減が相変わらず神業だと思った。
東野圭吾も遂に超能力の話を書くようになったかと最初思ったが、なんとか理屈で説明してもらえてホッとした。
投稿元:
レビューを見る
ラプラスは実在した科学者の名。本書のモチーフになっているラプラスの悪魔は、未来のことが全て見通せるという存在。空想上の存在ではあるけれど、かといって全く非科学的なものというわけではなく、むしろニュートン力学的な考え方に立脚した、そういう意味では極めて科学的な存在であるとも言える。
かつて決定論的な世界観に興味を持っていた時期があり、ラプラスの悪魔という言葉も知っていたので、東野圭吾作品はほとんど読んだことがなかったのだけど、タイトルに惹かれて購入した。
まず、本書はミステリーではない。そもそも書名が"トリック"のネタバレになっていて、ラプラスの悪魔について知っている人にとっては、ページをめくる以前に謎解きは済んでいるともいえる。本をカテゴリ分けすること自体がナンセンスなのかもしれないけど、それでも本書はSFとかファンタジーと呼ばれるべきものであって、少なくともミステリーではない。…と思うのだけど、書店でもAmazonでもミステリーと紹介されていて、それによって一部の人をがっかりさせているような気がする。もったいないと思う。
本書の面白さは別のところにあると思う。登場人物のキャラクターは魅力的で、彼らの会話だけでも私は楽しく読むことができた。不思議な能力を持つ少女と、それに振り回される周囲の大人たちの物語というだけで十分に面白い。欲を言えば、円華の能力はラプラスの悪魔を語るにはあまりに不十分なので、もう少し能力を高い状態に設定してくれてもよかったような気がする。まあ本家ラプラスの悪魔は宇宙全体に対する全知の存在なので人間では到底敵わないのは当然なのだけど、たとえば円華の能力にハッキング技術のようなものが加われば、もっと色んなことができるようになるんじゃないかなあ。
別のところにあったレビューで、「ライバルにシュレーディンガーの猫娘でも登場させれば面白いのでは」というものを見て、なるほどなと思った。人間社会の行く末すら見通しているかのような、ある種達観しているかのような円華の前にシュレーディンガーの猫娘が現れて、未来の不確定性について見せつけていく…。面白そう。シュレーディンガーの猫娘にどんな能力を備えさせると良いのか、全く想像がつかないけれど(笑)
決定論的世界観vs量子論的世界観を扱ったフィクションは既に誰かが書いていそうではある。森博嗣とか書いていないだろうか。
初読時は、円華の能力とタイトルから連想される能力とのギャップにばかり目が行ってしまったけれど、再読したらそこはあまり気にならず楽しく読めた。あと、ミステリー的要素を求めて本書を読み、それゆえに不満を持つ人が少なからずいるようで驚いた。ので、再投稿。
投稿元:
レビューを見る
これまでの作品と違って読み終えた際の感動は少ない。SFとしては物足りないし、人間模様としても説得力に欠ける。
面白くなくはないが、絶対お勧めとは言いがたい。
投稿元:
レビューを見る
全体的に東野さんらしい作品、な気がした。我々一庶民も微々たるものではあるが、この世界を動かしているのだろうか。息つく暇もなく一気読みした、が、ラストもう少し何かほしかった。あと久々に数学に触れてみたくなった。
投稿元:
レビューを見る
安定の東野圭吾作品。
おもしろいし、伏線もきっちり。
だけど、期待値が上がってしまっているのか、何かちょっとした物足りなさも。
昔ながらの作風でいいんですけどね。
投稿元:
レビューを見る
冒頭に起こる、羽原円華の悲劇があとあとに影響があるのかと思って読み進めていたけど、結局なにもない。
羽原円華よりも甘粕健人の印象が強い。
物語の構成や不思議な力に係る描写は素晴らしく凡人にはない発想で、かつ裏切らない読みやすさだけど、半年後にこの本の内容を覚えているかというと・・・微妙。新書でなく文庫で読めばよかった。
投稿元:
レビューを見る
東野作品ならではのキーワードがたくさん出てきて、
さすが30周年記念作品って感じ。
ちょっと変身を思い出した。
登場人物が多い割りにキャラに魅力のある子が少なかったかな。
羽原円華のプロローグも大して生きないし、
甘粕健人のほうが印象強いから、
いっそ甘粕健人目線でスタートでも面白いのに。
1番謎なのは、父性欠如してても復讐心はあるのねってこと。
復讐って言うよりも父と同じで邪魔だから排除なのかな?
それってやっぱり切ない。
歴代1番!って感じではなったけど、
ページ数の割りにさくっと読めて、さすが東野圭吾でした。
点々が線になっていく感じはさすがでした。
あと、ラプラスの悪魔って初めて知りました。
投稿元:
レビューを見る
作家デビュー30周年記念作品だそうである。東野圭吾さん曰く、「これまでの私の小説をぶっ壊してみたかった」という。東野作品としては珍しい作風には違いない。以下の文章は、未読の方は目を通さないことをお薦めしたい。
こういう系統の作品、はっきり言えば超能力物に、東野作品として前例がないわけではない。まだブレイク前の作品である『虹を操る少年』は、個人的にも大好きな作品だし、文庫版解説の井上夢人さんが悔しがったほどの傑作だった。
また、SF的要素を持つ作品には、『パラレルワールド・ラブストーリー』などがあるし、近年の『パラドックス13』は正面切って描いたSF大作であった。そして、『ガリレオ』シリーズっぽくもある。僕に言わせれば、本作はどこを切っても東野作品である。
遠く離れた2つの温泉地で発生した、硫化水素による死亡事故。だが、ある刑事と研究者は、真相を疑っていた。両現場付近で目撃された謎の娘。彼女は、失踪した男の痕跡を追っていた。2人に共通する、驚異の能力とは…。
2人の能力とは何なのか、どんなカラクリなのか。正直なところ、ちょっと読めてしまった感がある。そして、これまたある東野作品を思い出してしまったが…。2人にいわゆる超常現象を起こす力はないことは書いてもいいだろう。
こんな能力なのだから、最後の対決のシーンで「敵」に勝ち目などないことはわかり切っていた。何も知らない「敵」が滑稽でさえある。いや、十分すぎるくらい派手なのだが…勝負そのものは呆気なくて、やや拍子抜けした。せっかくの狂った「敵」なのに。後始末は、まあそうするしかないだろうなあと思う。こんなもん立件不可能だ。
というわけで、帯が煽りすぎな面は否めないが、今回もさすがの安定感といえる。東野作品のあらゆる要素を発見できたのは楽しかった。もはや大御所である東野圭吾。僕はこれからも、その安定感と安心感を求めて、読み続けるだろう。でもいつか、本当の意味で読者を裏切ってほしいと、期待している。
投稿元:
レビューを見る
ふたつの温泉地で起きた硫化水素事故。それに関わる少年と少女。
未来の状態を完全に予測するラプラスの魔女。
未だ、解決を見ないナビエ・ストークスなど、物理的要素が一杯でした。
ブログを通じて、生まれるひとりの素晴らしい人間像が、急激にねじれた人間像に変わって行く様は東野圭吾の真骨頂だと思いました。
天才になりたいと誰もが思うかもしれないけど、やっぱり沢山のことが見えすぎてしまって、かえって生きるのが辛くなるものかなと思いました。
なったことがないので分かりませんが。やっぱり、共感してくれる誰かがいないとつまらないですよね。
投稿元:
レビューを見る
科学ミステリーと言うのかな?設定等が考えもつかないので、面白かったです。
登場人物が最初かなりの秘密主義で通してるので、事件が動き出すまでほとんどわからずちょっとイライラしてしまいます。でも後に一気にわかってくるので、そこまで読めば一気に読んでしまいます。
物理の話が結構出てきます。物理がまったくわからないからこそ面白かったです。そして登場人物が賢いので、その人達の駆け引きも面白かったです。自己肯定観が低い人も読んでみるといいのではないかなと思います。
投稿元:
レビューを見る
ミステリー、ヒューマンドラマ、サイエンス、ファンタジー。
東野圭吾さんの良いところが全て表現されている新作だった!
投稿元:
レビューを見る
東野圭吾作品らしいといえば、らしい。
ラプラスの悪魔 を調べてみてから読み始めた。
思わぬ結果として、登場してしまった、ラプラスの悪魔と、自ら望んで、ラプラスの魔女になったひと。
それぞれが心の中に抱えている葛藤や憎しみ、悲しみ・・・・。
それらをうまく、ラプラスの悪魔を元に物語にしたのはさすがです。
普通の人間ではない、ある意味の「悪魔・魔女」の話。ちょっとだけ、「七瀬」を思い浮かべてしまいました。
もしかすると、続編が!? と期待。
投稿元:
レビューを見る
東野圭吾の最新ミステリー! 著者の本の中ではSFの範疇に入るか?ふたつの温泉地で、硫化水素による死亡事故が発生した。どちらも犠牲者は映画関係者。遠く離れているにもかかわらず、どちらの温泉地でも同じ女性が目撃される。不思議な力を持つ少女、家族を失った父親と記憶を失ったその息子…。殺人事件と人間関係を少しずつ暴いていくことで、読者をぐいぐい引き込んでいく。事件の背後に潜む真相が明らかにされる快感は、やはり著者ならでは! これも映画化??
投稿元:
レビューを見る
東野圭吾らしいサイエンスと家族をうまく結びつけたミステリー。なんでも予測できる超能力は、試したいような、わからないからこそ人生が楽しめるような…。もうひとひねり欲しかったので、☆4つ。