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ジャーナリスト富坂聰さんによる、中国が抱える難題の数々を現地の報道から抉ったレポート。
かつて中国ビジネスをいくらか齧ったことのある私としては、今でも定期的に最新情報に触れるために書籍を読んだり、現地を訪問したりしています。
様々な矛盾を抱えた状態のまま伸び続けていく大国というものを、これだけ間近で見られる機会はもうないだろうと思います。
本書では17件もの実際の事件報道を元に、富坂さんの分析、見解が綴られています。
特に印象に残ったのは「毒ギョーザ事件」や「期限切れチキンナゲット事件」。
日本国内ではこれを『外資たたきのための仕掛け』だとする報道も目立ちました。
これに対して富坂さんは、中国の食品問題はおよそ一週間から十日に一度というハイペースで量産されており、ここから見えてくるのは中国では食の安全が確保されていないということだけで、それ以上のストーリーを見つけようとしても難しい、ましてや『外資たたき』とすることには無理がある、と冷静に分析されています。
普段なかなか現地の報道に触れる機会がありませんので、こういった分析は大いに目を開かせてくれます。