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正直、こういう思想のイメージがつく本は敬遠する方なのだが、数ページめくって福島原発が目について借りた。ちょうど同分野の専門書を読みこんでいる最中だったので借りてしまった。
定年退職し再雇用された男が主人公だ。学生時代の活動や、退職した友や同志、あらたに出会う人々とが出てきている。そして、原発に係わる様々な人物が出てきている。共○党や、安保、原子力発電、特定秘密保護法案、除染作業などに興味のある人は読んでみると面白いと思う。ただし内容は重い。
第9章はある小説が書かれており、これが面白かった。京都の名所の由来や、天才に関する秘密など興味をそそられた。
化学的な内容があり、この点を理解しようと思うと勉強が必要で、少し難しい本かもしれない。
(私は無宗教・支持政党なしなのであしからず)
ここから超個人的な意見だが・・・
この本は自分のトラウマを引きずり出す内容だった。知らない方が幸せということもあるので、おすすめしていいのか、すべきでないのか正直分からない。
序盤に、超並列計算機やトーラスが出てきて、テンションが上がった。平坦トーラスを集積回路で作るのか・・・と思ったが4次元を3次元で物体化することはできない。平坦トーラスであれば、そもそも超並列とは言えないでないか、ここで書かれているのは平坦トーラスではなくただのドーナツだと、先走りすぎた空想に苦笑してしまった。この分野まだ勉強できるなと感じた。
関係者以外である私が、メルトダウン発表前にそのことを知りえたことについて、改めて罪悪感を感じた。あの時点で私のできたことはあれしかなかったのだと、何度も何度も言われたが。事故を受けて、生まれてこの方なぜ私は全力で勉強してこなかったのかと後悔した。私は原発に直接関係する職には就いていないが、あの事故以降自分自身、身を粉にして働いた。無意識に贖罪があったのだと思う。読んでいて本当に苦しかった。だが、読み終えて、また進みだそうと思った。