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もしも性別を変えることができるセカイがあったとしたら―そんなセカイのお話、第二巻。
第一巻で感じたことだけれども、第二巻ではより強く―現実では不可能なことが可能になったとしてもなお、現実における問題がそのままに映し出されているように感じた。
例えば、「自分は女性として自然だろうか」「女性らしくできているだろうか」との不安、周囲の視線への意識、さらには無自覚な、そしておそらく本人は好意から言っている「女の子になったのだから」という注意。
それらは現実においてはトランスジェンダーの方が強く意識することであろう。また、肉体の性がかわったことで、仕草なども含めて「らしく」あれという圧力がかかっていることは何も変わっていないのだ、と。
第二巻では女性から男性への性転換が描かれる。そこで浮かぶ疑問は、野球選手になれるかもしれないという可能性のために性別を変えるという決断を要求されることと、一方で要求した側のあまりにも「軽い」姿勢である。なぜ野球をやろうとすると性別を変えねばならないのか?そういった疑問が自然と浮かび上がってくる。
一方、作品はそういった要素を影に、描かれないところに湛ながらも、ラブコメディであり恋愛コミックとして面白い。
あるいは私が長々と考えていたことは単なる思い込みなのかもしれないし―と、いろいろな読み方ができる、ラブコメディ作品ではなかろうか。