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2013年上半期の直木賞受賞作。
う~ん、全編突き刺すうらぶれた感が何とも言えないですなぁ…。安っぽくて、饐えた生活臭漂う、いじましくて、やるせない物語の数々。
ホテル・ローヤルというラブホテルを舞台にあるいは遠景に世の中の底辺の人たちを描いて、突き放すでも包み込むでもなく、淡々とそこに生きる様を映し出す。
作者の実家がラブホらしいけど、なるほど、色んな人を見てきたんだろうね。しんしんと深まる夜の中でこころ虚ろに沈み込む、清掃のおばちゃんの話が泣かせる。
誰も悪くないのにこの国がこういう格差社会になってしまった現実を哀しみ、だけども、それでも、生きているって、それだけでとてもえらいことだ。
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作者の家業でもあるラブホテルを軸に据えた連作短編。すでに廃業し、建物が廃墟となったホテルローヤルが舞台の「シャッターチャンス」から、四十過ぎの看板屋がラブホテルを開業しようとする「ギフト」まで、過去に遡る7編。 ―― http://bookmeter.com/cmt/48631473
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ノーマークの作家さんでした。
第149回直木賞受賞作で、知ってはいましたが、最近の直木賞は、私の読みたい本がなく、「直木賞受賞作品なんだ…」くらい。
数年前まで、直木賞受賞作品は読んでましたよ(^_^)
ただね、面白いなって作品には、出会いが少なくなった。
集英社文庫の夏のフェアーが、本屋さんに平積みになって、なんとなくパラッと2 3ページ読んで、時間つぶしに読んだ。
桜木紫乃さんの世界にドップリ。
仕事の休憩が待ち遠しいくて、ドンドン桜木紫乃さんの世界に入り込んだ。
何もかも幸せな主人公ばかりではないけど、桜木紫乃さんの人に寄り添う優しさがジワっと広がり、小さな幸せがいかに大切かがシミジミ伝わる作品でした。
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直木賞受賞作。北海道釧路のラブホテルを舞台にした連作短編。時代の流れが逆になって話が進んでゆく。
やはり、冒険小説のような一気読みとはいかない作品。一話一話、心の休憩を取りながら、読み終えた。
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釧路の丘の上に立つラブホテル、「ホテルローヤル」を舞台とした短編集です。穏やかなような、もの悲しいような話が続きます。短編は時間をさかのぼるように配置されています。ラブホテルを舞台にすることで、人の裏側を描こうとしているのかもしれません。ホテルの経営者やその子供、従業員や客などが主人公となります。ラブホテルに現れる人にはそれぞれ事情があるということでしょうか。
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気になってた本。
文庫本になったので購入。
ラブホテルを舞台にしたお話。
連作短編集。
現在から過去のストーリーなんだけど、
ん〜楽しさの欠片は無く、虚しい?切ない?寂しい?気持ちが凹む。
ただ、文章表現は上手だと思う。
'15.07.15読書完了
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桜木紫乃さんが直木賞を受賞された作品。記者会見が印象的で、独特のオーラがあって不思議な人だなあと思っていた。それ以来気になっていた一冊、なかなか手にする機会がなくようやく手元にやってきた!
ラブホテルが舞台というか、それを取り巻く登場人物それぞれの日常を描いた作品であり、性的な雰囲気ではないのが、他には無い構成で面白いといえば面白い。でも、どうしても1話1話を深く読み込むことができなくて、しっくりこないまま読み終わってしまったのが残念。『シャッターチャンス』『本日開店』『えっち屋』『バブルバス』『せんせぇ』『星を見ていた』『ギフト』という短編の中で、『バブルバス』が面白かったかな。
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北海道のホテルローヤルというラブホテルを舞台にしたオムニバスドラマ。1本目の物語はピンと来なかったが、徐々に時代がさかのぼり、様々なドラマが展開され、物語が交錯していく。新潟も雪国ではあるが、本州と物理的に繋がっていない北の大地の物悲しさはまた別なのだろうと想像する。巻末へ向かっていくにつれ、切なさが増してくる。切ないが、女性作家ならではの優しい文体が心地よい。全部読み終え、解説を読みまたホロリとさせられた。
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衰退していく街の一軒のラブホテルが取り巻く非日常を求める話。経済成長期における街を発展させる方法として、官能的な部分は効率が良い、しかし、街の発展に寄与する力が強い反面、老朽化してしまうと廃墟化されるケースが多い。技術も資本もいらず、簡単に儲けることができるという点では、(語弊があるかもしれないが)現在のコンビニや簡単なマッサージ店に似ている部分がある。本編では、創業者からその娘、パート、客の話が書かれているが、それぞれ闇を抱えている。その後ろめたい気持ちをラブホテルでなら、発散することが出来る気もする。求めるのは日常では得ることができない体験だからだ。また、その後ろめたい気持ちがスリルを生む。本編に登場する人物、同調することができた。
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これはラブホテルを描いた小説でもなく、そこに舞台を借りた人間観察の物語でもないと思う。
そうして、そう感じるのは私がもしかしたら大阪という、経済的には比較的恵まれた土地に暮らすからではないかと気づいた。
ここに描かれているホテルローヤルは、私が知るラブホテルとはまるっきり違う。現在のラブホテルは恐ろしく快適で、ラブホテルというカテゴライズを外しさえすれば、そのへんのビジネスホテルよりもくつろいで過ごせる。今の若者たちは、私のこの言葉に同意してくれると思う。
…そう、描かれているのは私が子供の頃、アメリカの真似でどんどん建てられ、すぐに飽きられて潰れていった…モーテルと呼ばれた過去の遺物の姿に近い。
かつて観光地に向かう国道沿いには、ある程度の間隔を空けて、きらびやかにネオンを明滅させて、1階のガレージと2階の部屋がセットになったモーテルが何軒もあった。
私が成長し、親と観光地に旅行に出かけることもなくなり始めたのとほぼ同じペースで、モーテルの外観は薄汚れ、ネオンランプのところどころが切れたまま放置され、やがてガレージ周りの鉄骨が錆びだらけになって…人の気配を失っていった。
だから最初は「これはその頃…昭和後期の物語なんだ」と思っていた。
しかし。
私は、言葉も文化も、関東や関西を中心に生まれたものがどんどん周囲に広がり、長い歳月をかけて、地方へと伝播してゆくものであることを、知識としても経験としても理解している。そのことをふと、思い出した。
しばらく前に、夕張はもはや無理ではないか…と、北海道事情に詳しい人から聞いた。
息子はそれを聞き、第二、第三の夕張が北海道にはできているらしい…と教えてくれた。
ホテルローヤルは大阪人の私には時代錯誤の幻影で、描かれる人たちも私の生活圏では聞いたこともないような苦悩と不幸に塗れているが。
これが…昭和30年代から50年代くらいまでの話でなかったとしたら。
これが…北海道の今、釧路の現実だとしたら。
ホテルローヤルが、まだ湿原にその廃墟をさらしているのだとしたら。
なんとも言えない気持ちで、とうとう最後まで読んでしまった。自分の記憶や現状認識とはあまりに異なる設定に、途中で嫌気がさしたのに。
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ずっと気になっていた直木賞作品が文庫になっていたので購入。
どのお話も、虚しくて悲しいんだけど、終わりには少しだけ希望が見えて少し救われた。その後が気になるお話が多かったけど、それが持ち味なんだと思います。
ラブホテルを舞台に、境遇はちがうのだけど、身近で、リアルで、かっこつけてない、ありのままの人間、をうつしだしたお話ばかりでした。
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2015.07.30
人は夢や希望だけでは生きていけない。恋や愛でお腹を満たすこともできない。日常というものが厳しい状況であるとき、人は優しさを失いはじめる。生きていくということは、それだけで大変なことであることをあらためて知る。
本作はホテルローヤルを中心に現在から過去に物語が展開する。短編連作であり、事情や立場の異なる登場人物が日常の厳しさに耐えたり諦めたりしながら毎日を過ごしている。共通しているのは経済的な悩み、家族の問題、が解決する手立てもないまま存在し続けるという点である。
人の幸せは物質的な豊かさで計れるものではない。しかし日常を生きることに苦しい状態ではそんなことも言っていられない。懸命に生きるということについて、優しさについて思いを馳せることができた一作である。
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この作者の小説を初めて読んだけど、全体的に面白かった。読みやすかった。
とくに、本日開店、バブルバス、星を見ていた、の3つは好きだった。
生活感のある性描写って、エロス、リアリティ、滑稽、悲哀、いろいろ味わい深さがあって好き。
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何小説か‥‥というジャンルが分からない。
ミステリーじゃないし、恋愛でもないし。
釧路の湿原に建つ寂れた「ホテルローヤル」にまつわるエピソードを描いた連作短編集。
登場人物(特に男)が、大体ひどい。
物語は段々と過去に遡っていく作りで、すこーしだけそれぞれの登場人物が繋がっている。
最初の話の彼女はその後どうなったのだろう。
心の中でひたすら「逃げてー!」と思ってたら、第1話が終わった。
3話で、三号室のベッドだけが乱れていた理由が明かされる。
娘もその後の人生は幸せに生きられたろうか。
ホテルローヤルで“休憩”した夫婦は?
掃除婦は、また元気に仕事に行ったのか……?
最終話の不倫した二人の行く末だけを読者は知っている。
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直木賞。暗い…とおもいながら読み進めて、読み終わったあともなんだかすごく悲しい気分にさせられた。連作短編集で、救いがあるように見える結末でも(ほとんど救いがないけど)良かったねなんてとても安心できない。ずっしりと重い寂しさが残る。