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読了。この本は本当に直木賞の名に値する、良本だと感じた。それ以外に感想が出ない。
人の生き様が本当に細かく書き込まれていて、色濃い、という単語がぴったり。
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切なさにまみれながら読了。
普段何の気なしに使っている「切ない」という言葉が信じられないくらい陳腐に感じる。
また、各章で繋がりを見せるほそーい糸が心地好いスパイスになり、より切なさが強調される。
性別、年代、職業、家族構成…など、様々な境遇の人物が登場し、それぞれが現実味を感じさせるものだから、共感を得る読み手の幅も広いのでは。
切ないのに充足感を、そして切ないからこそ前向きになろうと思わせてくれる素敵な本だった。
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上手い。
人間、男と女、世間と個人、それぞれを飾らない言葉で書き綴ってるいる。心の裡を語っている。
それぞれの短編が時や背景が違うものの、微妙に絡み合っている所が面白い。
味がある文章、味がある作品だ。
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ラブホテルを舞台に7編の短編。
過去に戻っていくっていう、珍しい感じだった。
一気読みしちゃったwおもしろかった〜⭐︎
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先日の釧路出張の際に携行した本。
桜木紫乃『ホテルローヤル』(集英社文庫)読了。
7編の短編のチェーンストーリー。2013年上半期直木賞受賞作。
川本三郎氏が「解説」に書いているように、ラブホテルを舞台に据えていること、金額を具体的に示していることに特徴があります。
川本氏によればラブホテルっていうのは日本にしかないそうです。「客は日が高くても夜を求めてここに来る」場所[「エッチ屋」p.71]。このフレーズ、何度か使われていますがいいえて妙です。秘め事が繰り返される場所を舞台にする、それを女性作家が描く。悪くない。
そして金額の明示。たとえば生活にゆとりがない主婦が法事のために住職に渡そうと思っていた「5,000円」。住職のダブルブッキングで渡しそびれた5,000円を、一家の5日分の食費になる、家族4人で中華料理店に行けばひとり1,200円の定食が食べられる、1ヵ月分の電気代になると表現されます[「バブルバス」pp.99-100]。実にリアル。
『そんなこと、あるかな』と思わないでもない話もあるが、それが小説でしょう。
ラブホテルが舞台ですが淫靡な内容の小説ではなく、話はホテルにかかわる様々な人物の生活のありよう。釧路湿原近くで営業しているホテルにかかわる人間模様が描かれます。視点が面白い。独立した短編ではあってもそこで描かれる人物がどこかでつながっている。読後、井上ひさし『12人の手紙』を思い出しました。
小生が乗車した特急列車は、釧路に近づくにつれ深い霧の中を走りました。
『この近くにホテルローヤルがあったのかな』と車窓から霧を眺めておりました。
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街の外れの高台にあるうらびれたラブホテルの盛衰を舞台に繰り広げられる短編集。ラブホテルを経営する夢を語る男と年の離れた愛人の物語。ラブホテルの清掃婦として一生懸命働き、親孝行な子どもを育ててきたつもりが悲哀を味わうことになる女の物語等。女子高生から60歳の初老女性までどの時代の心理にもピタッと寄り添える筆力はさすがであり、相変わらずのそこはかとない寂しさが全篇に流れている。
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ラブホテルという特異な空間で紡ぎだされる人間模様。時間をさかのぼっていくようなストーリーの構成が面白いです。
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ホテルローヤルを中心にした人間模様を描いた小説。 郊外に立つ煌びやかなラブホテル。
人間がしっかり描かれていて、男も女も醜い部分も描かれていて。 短編7編を読んで、モヤっと。
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桜木紫乃さんの本。初読。ラブホテルを舞台とした短編集。時系列にそれぞれの短編が繋がってる。生活の中での一コマの感覚を捉えている。
好きなのは「 バブルバス」と「星を見ていた」
「バブルバス」は貧乏ながらも一生懸命生きている家族のお母さんがラブホテルでの少しの時間に幸せを感じているのが素敵。どこか後ろめたいラブホテルという中にも役に立つという真正面から光が当たる物語でもある。
「星を見ていた」は周りの人の言うことを気にせずマイペースで自分の思い通りに健気に生きるお母さんが愛おしい。恨まない、よく働く、お父ちゃんが求めてきたら拒否しない。母の教えを従順に守って生きている夫婦は貧乏だけど幸せそうに見えて羨ましい。
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一つのホテルを舞台にした物語が現在から過去への流れで描かれている短編集。
それぞれの人間模様、光り輝く瞬間が丁寧に、しかし、せつなく描かれていて、一つの大きなドラマとして楽しむことができます。
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短編集で、複数の物語に登場するキーパーソンがいる。個人的に好きな群像劇に近い。
北海道郊外にあるラブホテルが舞台なので、当然セックスが描かれる。でも、描かれるのは廃れていく街と、そこで実直に暮らす人々の姿だ。
廃墟となったホテルを舞台にした話から始まり、これからホテルを建てる男の話で終わる。廃墟となる未来、バラバラになる家族を知っているだけに切なさが増す。こんな表現方法もあるのかと驚いた。ただ、一つ一つの話は好き嫌いが分かれるものもある気がする。個人的に好きになれない話もいくつかあった。
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なんとなく物足りないような、それでいて本質を付いているような。
人生の結果は進んでみなきゃわからないのね。
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なんとも不思議な・・・。
章ごとに登場人物が代わりながらもホテルローヤルからは離れないという・・・。どこか薄暗さがあるけれども、埃っぽい爽やかさがある。そんな印象でした。
表面上はみなにこやかだけれども、必ずすぐそばには影があって。全てを語ってはくれないから、考える余地がある。なんとも不思議な物語です。
好きなフレーズが多くて、非常に楽しめました!!
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北の果てのラブホテルを舞台にした連作短編集。実に直木賞受賞作らしい、大人向けというか年配向けの作品に仕上がっている。7本の短編の中では「星を見ていた」が一番切なくて印象に残ったが、他の話も哀愁漂う人々の様子がとてもうまく描かれている。割ととんでもない設定の話もあるのだが、全編を通して読むと不思議と違和感を感じないところも雰囲気をもっているというか美点だと思う。
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うーん…
もう少し年を重ねるか、もう少し若ければ、もっと思うことが多かったのかなと思える作品でした。