投稿元:
レビューを見る
第二次世界大戦下の日系二世の青年たちに恋、苦悩をげんだいと交差させながら描く。
多くのテーマ、材料を抱えながら、それらが違和感なく詰め込まれ、物語の幅と奥行きを広げ、深めている。
こうして小説の形で読むことで、改めて戦争の悲惨さ、理不尽さを腹に落とすことができる。
史実をなぞっている訳ではないんだろうけれど、歴史の教科書などで「こういうことがありました」と知るのとは、全く違った迫力と温度を伴って心に迫ってくる。
上下巻のボリューム、全然長くない。
投稿元:
レビューを見る
戦後70年を重ね、憲法改正・オバマ広島訪問・沖縄米軍属の事件など戦争を改めて考えさせられる。そんな中、本書はアメリカの二世で構成された442部隊の悲劇が描かれ、違う側面から戦争を知ることが出来た。過去と現在、ハワイと日本という異なる次元と場所は日付変更線を超え、最後には様々なシーンが繋がる。フランス ブリュイエールの戦闘などかなりの取材をして書き上げたのが伺える。映像化した実写版を見てみたい気がする。
投稿元:
レビューを見る
★2015年9月12日読了『日付変更線(下)』辻仁成著 評価A+
上巻で伏線として準備されたアイテムが非常に緻密に上手な物語で結びつき、最後に向かって収束していく。サスペンス的な要素を持ちながら、日系人の米軍部隊での置かれた厳しい立場とそこにいた日系2世たちの葛藤と死という歴史的な真実を織り込みながら、現代と過去を行き交う物語。素晴らしい出来映えです!!一読をお勧めします。これは新刊本を買って読んでも損はないです。
初めて読みましたが、辻仁成。ただ者ではない才能を秘めていますねえ。(今頃と言われそうですけれども。。。)他の作品も読んでみたくなりました。
ハワイの日系2世のロバート、ニック・サトー、ヘンリー・サカモトの3人は、マッキンレー高校の同級生。日系2世たちは、故国アメリカのため、日系人の名誉回復のために、従軍を志願し、442部隊として ヨーロッパ戦線へ投入される。
70年後、ニック・サトーの孫、マナは、祖父の散骨のためにハワイを訪れる。そこで、偶然ロバートの孫、ケイン・オザキと出会う。そこから始まる死んだ筈だったニック・サトーのヨーロッパ戦線での生き残りの秘話の謎解きとなぜ故郷ハワイへ帰れなかったのか?その謎解きの過程で明らかになる悲惨な日系人442部隊の過酷な現実。
さらには、意外な展開で結びついてくるニック・サトーの70年前の絵を基にした宗教狂信集団の存在とマナの思い人だった後藤清春の生存と真実。
投稿元:
レビューを見る
ハワイに移住した日系二世で組織されたアメリカ軍の442部隊に志願し参戦したニック・サトウの人生を知ろうとする孫娘マナ。
戦争とは、人生とは、神とは、愛とは、家族とは。運命に導かれ巡り会う壮大なストーリー。
戦争シーンは心が痛む
投稿元:
レビューを見る
1944年9月、442部隊はフランスへ。山岳地帯でのドイツ軍との死闘が始まる…。生死を賭けた激しい戦闘が生命や身体を傷付け、精神を蝕んでいく。人間の心に潜む悪魔の解放。民族の誇り、国家の栄光といった美名の下に奪命魔と化す者たち。戦争とは。国家とは。いろいろと考えさせられる作品だった。
投稿元:
レビューを見る
戦場におけるアイデンティティをベースに過去と現在をつなぐ2つの恋。
日本人が思う「自分と同じ日本人」とアメリカ人が思う「自分と同じアメリカ人」には大きな違いがあるんだろうね。
投稿元:
レビューを見る
下巻では、戦死したはずのニックがどうしてフランス人として生きてきたかが明らかにされる。
アーティストの創造性は、現実を超越していくものかもしれないが、今回はちょっとついていけない。
ニックが、神主の家系に生まれ自然への感応力が強い人物であったとしても、ちょっと理解しがたい。
物語も辻褄合わせが多い。ニックがフランス人として生きることとなった経緯と弟が立ち上げた新神道の精神的支柱になったこと。その新新道の信者たちがハワイ島で人々に知られず集団生活をしていること。清治、マナ、ケイン、ケインの母が全て、その新神道に繋がっていくこと。
宗教についての記述がリアリティが無いのかな。
孤独を書かせたらすごい作家なので、戦場での狂気をもっと書いてほしかった。60年代のロックを通してベトナム戦争の狂気はとても詳しいと思うので。
投稿元:
レビューを見る
題名の意味が深い。
ここまでつながってしまうとは。
戦争の悲劇が浮き彫りになるほどの描写がリアルで怖かった。
ニックの絵が見たい。
その苦しみの先に未来のマナやケインの幸せを信じていたのだと思うから。
投稿元:
レビューを見る
ハワイに住む日系二世の真珠湾攻撃の時代と、現代の日系四世の話が交互して話が構成されている。日本人だけれども、アメリカで生まれて育った二世達はアメリカ人として戦争に行く。日本に一時的に行っていた二世は日本人として戦争に行く。
日系人たちの活躍は本土にも伝わり多くの賞やメダルを受賞されたが、多くの犠牲が出た。
戦争の時代に生きたきた人たちは高齢者になり、実際の話を聞く機会も少なくなってきてしまったが、このような小説をたくさんの人に読んでもらう機会が増えたらいいと思った。
投稿元:
レビューを見る
上巻より、ずっと生き生きと描かれていて感動出来た。上巻を読み終わった時には下巻はどうしようかと思ったほどだったけど、読んで良かったと思う!
戦争の描写はかなり多いけど 全てがそれぞれの
心理が描かれていて引き寄せられた。
最後 ちょっとドキドキさせられる場面もあり もろんな要素をいれた物語だった印象。
辻さんの本のなかではストーリーが良かったと思う。!
投稿元:
レビューを見る
一人一人、一つ一つが全部つかながって、運命的宇宙的壮大なファミリーストーリーになった。
日系アメリカ人については、山崎豊子氏の『二つの大地』で戦時中の苦難が描かれていたが、新しく442部隊のことを知れただけでも、また一つ勉強になりました。
投稿元:
レビューを見る
2017.1.28読了。図書館で借りた。
読み始めると、上巻の数倍のスピードで読み終えた。物語が動き出すとこうも違うかと。
二世兵士の戦場場面は、読んでいて苦しく、終戦の日を知って読む者としては、あと何カ月、あともう少しと思いながら、耐えられるのだけど、その時に戦っている人たちは、期限のわからない戦い…。想像するだけで耐えられない、けれど実際にあったことを伝え、忘れてはならない。
その凄惨な戦争に比べ、終盤の現代の場面の新興宗教の話があっという間で、なんだか急いでまとめたような気もしないではない。平和な現代との対比なのか…重みがない終わり方。
投稿元:
レビューを見る
第二次世界大戦で、日系アメリカ人(2世)の人たちが大変な思いで戦線に立ってたなんて知らなかった。
微妙な立場で、日本にいる日本人兵以上に、苦しかったかも・・と思うとグッときた。