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本屋さん巡りで出会った本。
その書店で行われているのであろう
誰かのおすすめの本として置かれていた。
どんな人でもいろいろな「語り」を持っていてー
という帯ときれいな表紙と初めて行った本屋さんでふと目に止まったという、勝手な運命の出会いにわくわくして購入。エッセイを読むのは初めて。
いや〜でもおもしろかった!
人が好きになる。
こんな自分でもありなのかもと思える。
いままでの自分がいかに断片的な知識と勝手な価値観で判断してきたのかを思い知らされる。
この帯にこの本は何も教えてくれないと書いてある。確かにそう。
でもいまの自分に必要な本だった。
2016/01/31
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私はよく人から「世の中を斜めに見過ぎじゃないか」と諭される。ナナメに見てるつもりは毛頭なくて、現実を直視したいという思いだけだった。確かに現実を直視するということは、とてもしんどいことだ。実は直視しているようで、もしかしたら世の中の現実を目で覆っていたのかもしれない。この本を読んで、何か得るものがあったとかそんなもんはなくて、ただただ目の前の現実を突きつけられ呆然とする。それだけがこの本の価値なんだろう。
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社会学とタイトルにあるが、筆者も考え中で問題提起にとどまっていることも多い。
手のひらスイッチという章が印象的、
結婚式では結ばれた二人を祝福するが、それは当人たちにとってだけではなく世間一般に幸せという前提があるからである。つまり、好きな異性を結ばれていない人は幸せではないという差別となる。
それを防ぐためには、結婚という習慣をやめるかそれを祝うことをやめるかとなるが、現状人類の感じる幸福はそういった差別の集合である。
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幸せの只中にいる花嫁花婿に向かって、婚姻制度が、家父長制度が、戸籍制度が、強制異性愛主義が、ロマンチックラブイデオロギーが!などと議論を吹っかけるのは野暮である。
マジョリティの幸せを祝福すること、祝福することを強制することは、そうでない者への暴力となる。その一方で、おめでとうの気持ちも本心で、もう、一体どうしたらええか分からん、と正直に言うてるところが素敵。
淡々と、時に熱っぽく描かれている、とりとめのない情景や心情にぐいぐいと引き込まれた。
この本は、ミランダ・ジュライの『あなたを選んでくれるもの』が併売されてあった書店であえて購入。お、分かってるなここの書店、と思える自分にいやらしさも感じつつ。でも、そういう良い書店を応援していきたいのは正直な気持ち。
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何か違う本かと思うほど、「運動」に焦点が。
でもやっぱりつれづれだし、
運動イメージの無い銀色さんがこれだけやってるから
触発される部分もある。楽しそう~。
これだけやって体重3kg体脂肪率3%減か…。
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社会学が世の中を大きくつかもうとする学問だとすれば、そこには必ず、つかみとれずにこぼれ落ちる「断片」がある。筆者はその断片に焦点をあてる。断片の集積がもしかすると世の中をつかみとることにつかみとることになるのかもしれない。冒頭の天野祐吉さんの「けが人」を「毛蟹?」と聞き直すところが妙に印象に残る。菅原そうた「みんなのトニオちゃん」も読んでみたい。インタビュー中に、庭の犬が死ぬ。何事もなかったかのようにインタビューが続く。巨乳マニアの闘病記。定型に納められない人生が、ささやかで圧倒的だ。星野源が歌うように「くだらないことの中に」大切なものがあるのかもしれない。
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もっと早く読めばよかったという思いと、今の状況だからこそ身に染みたのだろうという思いが交錯しながらもいい本だった。ひとりひとりが社会。
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学問の本というよりは、エッセイです。
社会全体を見れば、現代とは○○であると断ずることができても、一人ひとりはそれぞれの暮らしを持ち、それぞれの考えで行動している。
そしてそれらはどこにもカテゴライズできない。
答えがそこにある社会ほどつまらないものはない。
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自分の住んでいる場所より少し離れなところへ行くと、そこに住む人にはその人の暮らしが生活があることをしみじみ思い、なんだか不思議な心持ちになる。
誰にも隠されていないが、誰の目にも触れない
そんなたくさんの人のたくさんの人生が詰まっている。
その中には色んな生き方を選ぶ人がいる。
でも、それは、
いいとか悪いとかではない
ーつくづく、「社会」というものは、たくさんの「良くないもの」を含みながらも、それで成り立って「しまう」ものなのだと思う。
ー「一般的に良いとされているもの」はそこに含まれる人々と、そこに含まれない人々の区別を、自動的につくり出してしまう。
ーわたしたちはうまれつき孤独だということ。だからこそもうすこし面と向かって話をしてもよいのではないか、ということ
著者の倫理観と社会学者として、人としての葛藤が随所に見られる。そういう眼差しを、自分の常識を疑う事ができる強さを感じる。
そして埋もれてしまう物語りをただただ凡庸な物語りを救いあげる。
見ず知らずの誰かを通りすがりの人の人生を思わずにはいられない。
紀伊国屋 人文学賞1位
2015年 朝日出版社
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紀伊國屋書店のじんぶん(人文)大賞作品。
連載していたものを1-2編読んだ記憶もあったかも…。
タイトルとジャケットでほしいなと思った(何
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共感できる箇所があちこちにある。わたしたちは無意識のうちにいつも、物事を分析し、整理し、意味の通るように並べて、日々を生きている。意味をなさない「断片」はそこからこぼれ落ちていく。あえてそこに目を向け、その断片のまま意識を凝らしてみる。おさまりのいい意味づけをせずに物事を見る。おもしろいと思う。思うのだが…。
それで? それを言っちゃあおしまいよ、なんだけど、やっぱりどうにもこの言葉が浮かんでくるのをいかんともし難いのでありました。
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社会学とは、と説明することは難しいのですが、この本を読むと、○○な条件の人たち、○○な集団、○○な地域、○○なとくくりつつも、その中のひとりひとりの物語に目を向けることで、○○なという世間の自分の固定概念に絶えず問いかけをし、○○なというくくりがゆらいでいくことが、社会学の勉強の面白味であるのかなと思いました。
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書店で見かけて気になっていた本。
タイトルと表紙から、街で見かけたものの社会学的考察みたいなキャッチーな本かと思っていたら全然違った。でも・・・面白い、というのとは違うが、読んでよかった。
被差別、沖縄、マイノリティ等を中心に、聞き取り調査を専門とする著者が、聞き取った話だったり、自身の体験だったりのうちで、分析できない断片的なものについて書いていく。
エッセイ・・・なのか? 分析できていない、というんだから。
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人と向き合い、関わり、ミクロな視点で社会をとらえる大切さを教えてくれる素晴らしい本。装丁が、なんだかキュ〜っと胸の奥を掴まれるような、切ない写真だったので、思わずジャケ買い。買ってよかった。
著者の岸さんは、なんでもないただの石ころを拾い、その石が紛れもなく「いまここで、自分が拾った石」という特別な存在になる瞬間がたまらなく好きだという。(なんだかわかるぞ、この感覚!)遠くのビルを眺めていたら、たまたまエレベーターに人が乗り込む瞬間を目撃した、とか、たまたま通りすがりの人の生い立ちを聞いたとか、この本にはたくさんの断片的な物語が詰まっている。そしてそれらの物語を、この人が文章にして出版していなければ、私は知る由もなかった。うーん、この世界には、どれだけの「誰にも知られずに埋まっていく物語」があるのだろう。「みんなは」とか、「若者は」とか、群衆を軽くまとめてしまうような言葉って、ものすごく凶暴だ。
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凄いことが書いてあるなぁと思った。
私は子どもの頃に手塚治虫の『火の鳥』を繰り返し読んでいたから、『火の鳥』の話が何度か出てきたのもなんか楽しかった。岸政彦も『火の鳥』好きなんだなーと思って。