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後数時間で、平成時代が、終わる。
先日から、手に取って読んでいるのだが、題名の「虹の見えた日」は、6話の最後である。
今日も、関西は、雨!
読書にはもってこいなのだが、、、、天皇陛下の退位が、気になって、、、、美智子さまのお綺麗な若かりし映像、気品のあふれた物腰など、テレビの放映に目が奪われて、読む手が鈍る。
さてさて、、、澤田ふじ子氏の「公事宿事件書き留帳」
大好きな主人公の菊太郎!
居候で、自由奔放と言いつつも、観察力の鋭敏さ、明察力、そして、弱者にやさしい配慮が、良い!
「老舎の冬」も、京都の冬の冷たさが、ヒシヒシと伝わる背景の中、囚人への僅かな配慮で、罪を問われることになる牢番ヘ、どのような裁きが、行われるのか?
ITで、ロボットが、判決を下すのであれば、このような人情味があることには、ならないであろうと、、、、
近代世代の事も脳裏に浮かぶ。
「弥勒の報い」は、本能寺の墓地で、村の苦難の為に金剛仏を売りに来たのに盗まれて、首を括ろうとした男を助けた菊太郎。
道具屋の悪事を、表沙汰にするのではなく、千両をもする値段を付けさせて、買わせる所が、心憎い采配である。
「阿弥陀の顔」 阿弥陀如来像を昔の貸し借りをした正言寺と正蔵寺。
そして、言葉を覚える鸚鵡の繋がりが、なんとも上手い。
京都の南北の通りの地口歌・・・丸竹夷に押し御池、姉三六角蛸錦~~~は、関西人はよく口ずさんだものだが、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏~~~と、鸚鵡に教え込む菊太郎は、知恵者である。
「赤緒の下駄」3歳で、娘を行方不明にしてしまった桶屋の八助、、、昔3歳は、数え年だと、満2歳なのかな?
父親だと、忘れてしまっているのが、少し悲しいが、娘の幸せを思ったら、愛情深く、養親の方が良いのかもしれない。
八助も欲がないが、菊太郎も高価な一品の根付を八助にやってもいいと、言ってしまう所、「人間元来無一物」の悟りである。
「虹の見えた日」 14歳のお清が、女公事師になりたいと、、、、
隠居の母親が、認知症なのに、、、、、自分のノルマの為に売り続けた呉服屋の夷屋の者たちを瀬戸物問屋の多治見屋が、訴えに出たのだが、、、、
その裁きが、どちらも大店。経済を揺るがす結果にならないように、そして、大火で、困った人達への配慮、奉行への評価もすべて良しに収める所が、素晴らしい。
私は、戦後生まれで、戦争を知らずに過ごした昭和、平成。
明日は、「令和」と、元号が、変わるのだが、この平成時代、戦争が無かった事は、とても素晴らしい事だと思う。
そして、陛下が、国民全体を、家族のように思って下さり、日本全国を行脚して、被災地の訪問など、国民一人一人に寄り添って下さった事、日本人であることに誇りを思う。
この本の主人公 菊太郎も、奢りもなく、弱い者へ手を貸して、そして、知恵を授けてくれる小説に、ホッと、する気持ちで、読み終えた。
明日は、雨が上がって、虹が見えたらいいのに、、、と、思ってしまった平成��後の日である。