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昭和45年、日本中で公害が大きな問題になっていて、高度経済成長のツケだと皆が言っていた。
その中の、一地方都市である『糸価町』で、4人の小学生がどぶ川の土管の中に怪獣の絵が描いてあるのを見つける。それは見たこともない破壊力のある凄い絵で、しかも少しづつ移動しているようだった。そして町には機械人間が現れ、大きな騒ぎとなっていた。
今でこそ問題視されている環境破壊だが、当時は考えもしなかったのだろう。目覚ましい発展を光とするならば、公害はそこに落とされた影。この本では、そんな影を怪獣という形で登場させているが、もちろんそれを生み出したのも私達人間。これは、繁栄を享受した大人から、ツケを背負わされた子どもたちに向けた、反省と弁解の物語なのかもしれない。
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光の子供達の未来を憂う小路さんの心優しいお話。
これからを担う若い世代のために私達は何ができるのか…みんなにそんな気持ちを持ってほしくなります。
怪獣だって宇宙人だって青い地球が大好きなんだから人間だって頑張らないと。
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突拍子もない設定なので、読むのに時間がかかってしまった。ニガテなジャンルなのかもしれない。
著者の少年時代を思い出しながら創作した物語なんだろうね。絵の怪獣が出てきたり、宇宙人が出てきたり。小学生の頃なら夢中になったような話題だ。
そうそう、昔は近所のおじさん、おばさん、お兄さん、お姉さんと仲良かったものよ。今じゃ、そんなこと考えられないわね〜。防犯上仕方ないことなのか、なんか寂しい。
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1970年夏、子供たちが体験する奇妙な出来事。謎の機械人間や怪獣が次々と町を襲う。そして公害に汚れた地球を救うのはだれか? 『ちくま』連載に加筆して単行本化。
読んでるうちにウルトラセブンをイメージした。
優しい気持ち。
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1970年夏、子供たちが体験する奇妙な出来事。謎の機械人間や怪獣が次々と町を襲う。そして公害に汚れた地球を救うのはだれか?
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高度成長期の日本、製紙工場の町に暮らす仲の良い小学生が体験した怪獣との戦い。写真館の主人以外の大人は何も覚えていないが、仲間の4人は決して忘れない。
自身の少年時代の年代に設定して、公害のはびこっていた日本に思いをめぐらす。…というのはわかるけれど、sf としてはちょっと陳腐かなあ。
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1960年代、高度成長期の日本は、未だ戦争の傷跡を大きく引きずりつつ、それでも日に日に生活が良くなる幸せを享受しつつも、公害や福祉問題など成長痛にも似た副作用のはざまで強くたくましく時代を進んでいた。
そんな時代だからこそ、ジュブナイル的なSF。正義の超人や怪獣が身近であったんだろう。ゴジラもウルトラマンも生き生きとしていた。
だからこそ、もっとそこらの細部にはこだわってほしかった。セブンにするならハヤトという名前じゃダメだろ。公害怪獣ならヘドラをモチーフにした方がよいだろうし、機械を集めるじいさんにはノルマントの影を反映させてほしかったし…。なんだか、もうちょっと設定にこだわってほしかった。
例えば、ドラえもん愛にあふれる辻村深月の作品にあるようなものが薄いのが残念だった。
東京バンドワゴンが描ける小路さんなら、できると思うんだけどなぁ
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【感想】
・妙に道徳的で説明的な部分もある。が、「ウルトラマン世代」としては懐かしい気分がにじみ出てくる。
【一行目】
あの出来事。
【内容】
・「ウルトラマン」や「ウルトラセブン」へのオマージュ。メトロン星人的にちゃぶ台の前での談合もある。
・高度経済成長のツケといえる公害が激しかった頃の物語。
・絵を描けるような状況でない場所に怪獣の凄い絵を見つけた子どもたち。
・できごとの顛末を、子どもたち視点と、写真館の主人の視点から交互に描く。
▼怪獣についての簡単なメモ
【アキコ】藤山章子。小学五年生。ユリコの友だち。黒髪ロングの女の子。内気で大人しい。読書好きで図書室の本はすでに全部読んでいる。ちょっと悲観的に物事を見る。藤山荘の大家さんの娘。今は母子家庭。「ウルトラマン」にフジ・アキコ隊員がいたけど。
【絵】「この世にないものを、形にしたんだ。形にするためにはまず絵を描くんだ。何枚も何枚も描いて、それが本当にそういう形なのかを確かめるんだ」p.223
【糸価町/いとかちょう】舞台になった地方都市。
【怪獣の絵】通称「ドブ川」の下水口の壁に描かれていた、怪獣のすごい絵。ハヤトさんもキリシマさんも一目みて凄いと思った。太い爪、鋭い牙、頭の上に丸いこぶ。背中にはピラミッドみたいなものがたくさんついていて、この世のすべてを憎んでいるような目。「ウルトラマン」に落書きが怪獣になった「ガヴァドン」てのがいるけどその絵より力作のようだ。今回のは「シャドン」。
【キカイ爺さん】楠木さん。ラジオなんかを直してくれる。
【機械人間】道路に巨大な足跡を残した。
【危険】《安全な場所とそうでない場所を僕達はわかるんだ。》p.43
【キリシマ】桐島写真館の主人。「ウルトラセブン」にキリヤマ隊長がいたなあ。
【公害】高度経済成長のツケに日本は全体的に悩まされていた。
【時代】一九七〇年。
【タックン】ユリコの弟。小学三年生。チロリン橋でサッカーボールを見つけた。個性的な絵を描く。ぜんそく気味で身体は弱い。
【仲良し四人組】ナナロー。マット。ユリコ。アキコ。それぞれ豊かな才能を持っていて他の子どもたちからは距離を置かれているところがある。しかも自分たちがそうであることを自覚している。
【ナナロー】壇七朗。語り手の「ぼく」。小学五年生。絵が上手い。思慮深く大人びた考え方をする。ユリコとは同じ糸価製紙の社宅のお隣さん。マットとは一年生からずっと同じクラスで母親同士も仲がいい。七なので「ウルトラセブン」かな。モロボシ・ダン。あと「帰ってきたウルトラマン」の主役、郷秀樹の俳優は団次郎さんやったけど。
【橋波川】通称「ドブ川」。チロリン橋がかかっていてタックンがサッカーボールを見つけた。
【ハヤト】井上隼人。藤山荘の住人。美大生。まったく食事をしないらしい。「ウルトラマン」にハヤタ隊員がいたなあ。
【マクラバ】藤山荘の隣にある。なぜか枕木が置いてあるので国鉄の持ちものらしい。だれも手入れしないので子どもたちがカブトムシやクワガタ採りに重宝している。
【マット】松戸敬介。小学五年生。背が高く運動神経がいい。物怖じせず勇気がある。家は「松戸豆腐店」。「帰ってきたウルトラマン」のチームはMATやったなあ。
【裕次郎】ユリコのいとこ。高校生。
【ユリコ】ナナローのお隣さんにして幼馴染み。父親同士も仲がいい。小学五年生。すらりとしたショートカットの女の子。運動神経が良い。水泳をやってる。オリンピックも夢ではない素質。タックンの姉。絵はあまり上手くない。大人から見るとナナローのことが大好きなのが丸わかり。「ウルトラセブン」のアンヌ隊員の俳優さんが菱見百合子さんやったけど。