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伊四〇〇は、太平洋戦争時の超大型潜水艦で戦争末期に戦況の打開を図るために、パナマ運河攻撃を意図して建造された。この本は、伊四〇〇の建造から終戦後の顛末までを追ったノンフィクションである。
潜水空母というのは、山本五十六が構想した画期的なアイデアであり、実現は不可能と思われていた。実際、イギリスでも試されたことはあったらしいが、大部分は偵察目的であって、専用の攻撃機を開発して空母としての利用を目指したのは、この伊四〇〇シリーズが最初で最後だったようだ。その後、このアイデアは現代の潜水艦に反映され、ミサイルによる攻撃型潜水艦が登場する。
潜水空母はアイデアとしては素晴らしいが、実際の運用はかなり難しかったようだ。潜水艦が浮上している間は、敵に発見される可能性が高くなり、飛行機の発進・回収に時間が掛かるとそれだけリスクも大きくなる。積み込む飛行機はわずか3機程度の水上機のため、リスクと期待される成果を比較するとそれほどメリットが無かったように思われる。それでも当事者には不利な戦況を打開したいという想いがあったのだろう。しかし、資材の枯渇、戦況の悪化で就役したのは二隻のみで、本来の目的を達することなく南方へ出撃したところで終戦を迎えてしまい、最後はハワイ沖で沈められてしまう。
伊四〇〇については、戦記もので読んだことがあり、戦争末期に就役したが全く戦果が上げられなかったこと位は知っていた。この本では、構想・建造から運用、顛末までを日米の当事者の視点で詳細に書かれていてとても面白かった。兵器はそれ自体がいかに素晴らしいものであっても、運用が上手くいかないと成果が上げられない。伊四〇〇はその一例と言えそうだ。
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訳が劇画調というか古めかしいというか。作者はアメリカ人なのに、本当にこういう表現なのかな・・・。
それはさておき、内容は太平洋戦争の初期から始まった潜水艦空母の物語。日本がアメリカ本土を空襲(という表現が妥当なのか自信なし)した事実に少々驚き。
ジョンベルーシの1941の世界は一定程度史実だったのか。
とにもかくにも、作者がアメリカ人だということが意外というか感心というか。
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終戦後数日経った太平洋上で、米海軍潜水艦セグンドは大型の艦影を察知する。
まだ降伏を認めない日本軍がいる可能性もあるので、接近を試みるが大きな艦影は逃走をはかる。
直に追いついたセグンドが見たものは、みたこともない大きな帝国海軍の潜水艦だった。
から本書は始まる。
このとき、潜水艦イ401には司令有泉と艦長南部が乗船していた。
有泉は降伏など考えず自決、自沈を選択するタイプ。艦長の南部は降伏し、本土も遠くに見える今、死ぬことに対し価値を見いだせないでいた。
指揮命令系統は司令の有泉が上官。
果たしてイ401内では何がおきるのか?
米海軍接敵後のイ401内はこの後上巻では語られない。
上巻では真珠湾攻撃の結果、なぜイ400建造に至ったのか?建造、搭載される「晴嵐」開発の困難さ、搭乗員の過去などが丁寧に取材され、語られている。
アメリカ人か見た帝国海軍軍人の矜持も垣間見える。