紙の本
宇佐美さんの本かと思ったら,池田さんの本だった.
2016/01/31 11:37
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投稿者:まさ - この投稿者のレビュー一覧を見る
対話という手法が哲学には馴染まない,ということを,徹底的に例示して批判している.「問いを立てる」ということを妨げる要素が,どれだけ対話という形式に含まれているのか,ということを筋道立てて説明している.しつこく,くどく,の宇佐美節が苦手な人に読みにくいかもしれないが,批判される隙をなくすためには,そういう文章にする必要がある,という著者の主張を知っているので,とくに気にはならない.某所では「揚げ足取りみたいで嫌い」という感想もありましたが,正しい反論を揚げ足取りにしか思えないのは,やや残念ですな.
紙の本
「正義」に対する違和感への一つの解答
2015/12/27 22:41
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投稿者:Otto - この投稿者のレビュー一覧を見る
サンデル教授の『白熱教室』で説かれる「正義」。正にこの括弧つきの正義に、言葉にし難い違和感を覚えていました。
切羽詰まった議論こそが真理に迫るのか、熟考することでしか事実の本質を穿てないのか、考えさせる一冊です。
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サンデル氏の講演録を素材にした批判的思考。
対話による学びを成立させるための基本的知識や技能の大切さを指摘する。
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相変わらず素晴らしい内容です。
サンデル教授の授業方法には特に思うところはありませんが、単純な二項対立には反対です。
人が陥りやすい思考であるからこそ、注意が必要です。
そして、この単純化された二項対立が、様々な対立を生む元凶にもなります。
ディベートに対する批判には、納得できない部分もありますが、他の部分は、概ね私も同じ考えです。
一読をお勧めします。
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「白熱教室」に代表される対話型授業が、学生の能動性を促進するように見せて、実は徹底して学生を受け身にしていると指摘している。言っていることは正しいが、何かに似ているなと思ったら「美味しんぼ」だった。素材のおいしさ(能動性)至上主義で、農薬・化学調味料(対話型授業)を全否定するところなど。また、筆者の池田氏は、『ある憲兵の記録』のエピソード(撫順戦犯管理所で強要されたと思われる)を事実として引用している。その鋭い批判精神がなぜか中韓関連だと発揮されないのも、「美味しんぼ」によく似ているのだ。
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本書の多くの部分に説得されなかった。
1.本書が取り上げているのはトロッコ問題である。この問題は答えるのにあまり思考を必要としない心理学実験のようなものだと批判されている。だが心理学実験ではなぜいけないのかが分からなかった。そういうことを論じる場合、この問題を出す意図や講義の目的を検討しなくて良いのだろうか。
2.問題の中には、ある条件が成り立つかどうかで答えが変わるが、その条件が問題文の中に明記されておらず、解答者がそれを見つけるべきものがよくある。一般にそういう問題が悪いとか、それに答えるのは意味がないとは言えない。質問の中に細かい条件が指定されていないからと言って、解答者が正解に到達する時に細かい条件を考慮しないで良いとは限らない。
3.著者はトロッコ問題を批判的に眺めることを学生に求めている。だが、最初から批判的に眺めるのでなく、問題に素直に答えようとした方が、この問題はある条件が成り立つかどうかによって答えが変わるとか、答えが存在しないといった、その問題の特徴がよく分かるだろうし、そのようにして問題に対する認識を深めた方が、問題に答えようとせずにあら探しするより効果的な批判ができるだろう(例えば正解がないという特徴は、正解があるという前提で出題されたら問題の欠点と見なしうる)。問題に素直に答えようとすることと問題を批判的に眺めることは両立しうる。
4.将棋である局面の最善手を探す場合、その局面が生じた原因を調べる必要はない。過去は無関係。トロッコ問題では過去の経緯が答えに影響するのだろうか。この問題で解答者が何をなすべきかを考える際に、その状況が生じた原因や責任を解答者が探ることに意味があるのかどうかが分からなかった。
トロッコ問題を問うことやディベートを論じている個所を見ると、正しい認識が得られるかどうかがこれらを評価する際の重要な基準になっているように見える。だがその基準が持ち込む必然性のないものだと思った。(2023年7月18日)
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批判的思考とは。
文章を書くとは。
自分の立ち位置を確認できる一冊。
物事を本質で捉えられるようにするためには,思考ーメタ思考ーメタ・メタ思考を往還できるように訓練する必要がある。
対話でいえば,他者との対話以上に自己との対話を重視することが,思考を鍛える最短のルートである。
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トロッコ問題とかのジレンマ教材を使って授業するときの注意事項。サンデル先生の「白熱教室」に対する批判は誤解だと思うが、一般に学生にディスカッションとか無計画にやらせる場合のだめなところを指摘していて、そういうのやろうとしている先生は必読だと思う。
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マイケルサンデルの白熱教室に対する反論である。確かにサンデルの対話では、例外を認めず、どちらかを即答させる尋問という指摘が当てはまる。〇×のクイズとなんら変わることはないようにも思われる。
ただし、実際はその教室での授業風景を録画編集して、分かりやすいところを正否として示したという編集の問題もあるとは思われる。
対話教室という訳自体が間違っていて、ディベートだけなのかもしれない。