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投稿者:あや - この投稿者のレビュー一覧を見る
そこら辺にいそうな義務教育時代は優秀だったが、小さな世界から一歩でてくると自分がたいした人物ではなかったと気づかされ鬱屈した日々を送っていた大学生が語り手である。シリアスキラー榛村からの手紙が届いたことで彼が“かわって”いく。
内容はミステリー。容姿端麗で他人の心に影響を与えるのがうまい榛村の“冤罪”をはらすために語り手の大学生が奔走している。
読み終わってまず第一に、ミステリーとしてはいい意味で、後味が悪い。連続殺人犯の人物像を周囲の人物から聞くことで想像させるという点では「白ゆき姫殺人事件」に似てると思った。
気になった語り手の一人称に着目して読み直してみたらぞっとした。ミスリードもしてたと思った。プロローグの伏線が秀逸。読み直しても納得いかない点もあったがこれもサイコパスの結果なのか…
作中の台詞「嘘をつくときは、…」とあるが過去の実存したシリアスキラーをあげていたり、主人公の大学生活が身に染みるものだったり、虐待の描写がやけに具体的だったりするなかでのフィクションなのがこの本を妙に現実の話のように見せてくる。
名探偵が活躍するような犯人探しのミステリーではなく、サイコパスの話で、淡々とはしているがグロテスクな描写も含まれるので読む人によって評価が別れると思う。
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星5つと4つで悩んだけど5つで。
他の方のレビュー、他サイトでも拝見しましたが皆さんが絶賛されているエピローグ、あれは個人的には好きではなかったかな。どうせやるならもっとぞぞぞとわかりやすく、思いっきり鳥肌立たせて欲しかった。
鬱屈した大学生活を送る筧井雅也のもとに、かつて通いつめていたパン屋の主人であると同時に戦後最大のシリアルキラー・榛村から手紙が届く。24件、もしくはそれ以上の殺人の中で立件されたのはうち9件。死刑が決まっている榛村だが最後の9件目は冤罪であり、君にその冤罪を証明してほしいという内容。雅也は個々で調査を進めるなか次第に榛村に魅せられていく。一つ一つの選択が導く真実たち、とは。。。
読んでる間はものすごく楽しめました。ページをめくる手が止まらない。そう、榛村というシリアルキラーに読者も魅せられるのです。ただ読後はあまり好きじゃなかったな。悪い意味でのもやっと感。流行りのイヤミスではなく、やるならとことんやってほしかったよ。
以下ネタバレ含みます。
例えば榛村の雅也への接近を狙う手紙、あれらを他の過去に逃がした、捕獲し損ねた獲物たちに送ってたとする。加納灯里にも。それらが獲物たちによって多少違いはあるのかもしれないが、雅也のように独自に調査を促している榛村の獲物もいるのだろう。その流れはあまりにも不自然ではないだろうか、とか。雅也が聞き込みしたひとたちも不信がるのが普通な気がするけどね。
弁護士の佐村までもが榛村に魅せられ、捕虜のようになってしまっているだけで十分だったような気がしますけどね。
でも読んでて面白かったので個人的には大満足。赤と白が一番好きですが、次回の厭な作品楽しみです。
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ホラーではない。わりときっちりミステリ。ラストを踏まえた上で読み直すと、叙述トリックの部分や「ああこれアシストだったのか」という部分がより理解できる。残酷な描写があるが、淡々とした筆でグロさはさほど感じない。主人公を魅力ない人物に設定した分、シリアルキラー榛村大和を余計魅力的に感じる。自分も榛村の面会に行ってみたくなった。取り込まれるかもしれないが…
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鬱屈した日々を送る大学生、筧井雅也に届いた一通の手紙。それは稀代の連続殺人犯榛村大和からのものだった。「罪は認めるが、最後の一件だけは冤罪だ。それを証明してくれないか?」そう訴える大和のため、事件の再調査を決めた雅也。大和の人生に潜む負の連鎖を知るうち、雅也は大和に魅せられ始める。一つ一つの選択が明らかにしていく残酷な真実とは?
綺麗な寄生女……ミステリーっていうよりややホラーだわ。雅也早く逃げてー!
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連続殺人犯なのに、なぜか魅力的で、彼だけが自分に優しくしてくれた、と錯覚させられる。
途中、意外と引き込まれてる自分にゾッとした。
縛られて、繋がれている。
あのオチはストーリー的にはありだけど、かなりつらいな。
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主人公の家族関係、生い立ち、連続殺人鬼・榛村大和の人間関係などが明らかになっていくミステリー的な興味と、主人公が榛村大和にコントロールされていく恐怖で読者を引っ張ります。
実際にあった複数の凶悪事件を参考にした感じでストーリーに真新しさはなく、どんでん返しの連発は予想の範疇を超えるものではないものの、榛村大和の底知れない不気味さが魅力的で、読後は何とも言えない余韻に浸れる一冊だと思います。
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「肝心かなめの部分だけが、嘘なんですよね」
心優しい紳士の仮面を被った、残忍な連続殺人犯・榛村。
ただの大学生に過ぎなかった主人公・雅也が、彼から届いた一通の手紙をきっかけに、関わり合いを持つ事に。
そして彼に影響を受けながら、大きな渦へと巻き込まれていく。
人を惹き付けるあらがえない魅力を持った殺人犯。
その完璧なまでに作り上げられた外面から、彼の得体の知れない不気味さを感じた。
榛村を含め、作中に登場する実在の連続殺人犯の幼少時の話は、とても興味深かった。
幼い頃にまともに愛されず、虐待を受けて歪んでしまった心。多くのシリアルキラーが劣悪な家庭環境で育った事を考えると、その悲しみと痛みで形成された孤独な存在がひどく悲しいものに思えてくる。
平凡な家庭で良い、ただ普通に愛されていたのなら、彼らには違う未来があったのかな。
そんな榛村にいつの間にかマインドコントロールされ、性格や言動まで変化していく雅也。
拘置所の中にいながらにして人を支配してしまう、圧倒的な存在感と影響力。
榛村という人物の底知れない異様さが、ただ怖い。
彼にとっては全ての人間が、彼の望むとおりに動く操り人形なのかもしれない。
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「寄居虫女」と同じくマインドコントロール物。
「寄居虫女」はゾクッとくる怖さがあったがこちらはそれほどでもなかった。
ラストまできて、そこまで繋がっていたのかとおどろいた。
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櫛木理宇さんらしい。指には育ちが、爪には生き方があらわれるんだ。嘘をつくときは、九割方真実を話すのがいい。残りの一割だけで嘘をつくのがこつだよ。雅也くん、幸せになってほしい。装幀可愛いと思ったら下の方に血。
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「落ちぶれた優等生」であるひねくれた主人公が、なぜか連続殺人犯に自分の汚名を晴らすことを依頼される、というミステリ。この連続殺人犯が奇妙に魅力的なキャラクターで、彼の周りの人々の反応も実に奇妙。そして事件の解明に関わることで主人公が立派に成長していく物語……かと思いきや。
……うわ。そういう流れに行きますか。たしかに某作品にも代表されるように、魅力的な犯罪者は他者に強く影響し取り込んでしまうものですが。いったいどうなっちゃうの、とはらはらどきどき。
一見爽やかな青春ミステリのようで、芯はサイコサスペンスのようでもある。恐ろしくも魅力的な一作でした。
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シリアルキラーである榛村から、主人公に1通の手紙が届く。「罪は認めるが、最後の一件だけは冤罪だ。それを証明してくれないか?」というもの。
主人公はかつて神童と呼ばれていたが、今は三流大学に属している。コミュ障で友人もおらず、他の学生を見下している。なんというか、本当にダメで、弱くて誰の敵にもなれない存在である。それと対比するように榛村は綺麗な顔をした穏やかな話し方をするイケメンで、徐々に人を破滅に追い込む毒を持つシリアルキラーだ。その悪魔的なカリスマにうっとりとなる。
主人公は榛村の事件を調べていく。そして榛村の過去、榛村に関わることで人生を変えられた人を見ていく。そしてだんだんと事件の真相、彼の行動の真意が見えてくる。実に怖くてぞくぞくする。
この本は最初の1ページから「嫌な予感のする」物語だ。そしてそれは最後の1ページまで油断が出来ない。
あまりにも不穏で、面白いと言っていいのか分からないけれども、面白い。
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チェインはわかるけど、ドッグ?というのが読み終わったときのいちばんの感想。いい感じの気持ちの悪さだが、暴行・拷問描写がみっちりしっかりしているので好みは分かれそう。結構きつかった。
ラストがいまいちしっくりこなくて、確かにそうなんだけどじゃああの人物を出してる意味はなんなんだろう変わった感じを覚えなかったけど、となってしまった。読み落としたところがあっても二度は読まなくていいやという程度。
犯罪者の言うことは信じちゃだめだ。
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義務教育は優秀だったものの、高校時代に落ちこぼれ、今ではFラン大に通い周りを軽蔑しながらも自嘲する学生、筧井雅也のもとに一通の手紙が届いた。
差出人は榛村大和、5年前に9人の殺人により逮捕された連続殺人犯だ。そんな男からの手紙に乗り雅也は拘置所のアクリル板越しに榛村に会う。
連続殺人犯が口にしたのは、8人の殺人は認める。好みだった男女の高校生を拷問の末に惨殺して庭に埋め、その上に植えた木を眺めるのが癒しだったという。
しかし、9件目の成人女性に対する殺人は自分ではないと主張した。曰く、好みではない。自分が殺してもいない9件目まで自分のせいにされるのには納得がいかないと、榛村は主張した。
雅也はそれまでのやる気の無さから一変し、熱に浮かされたように調査を始めた。
知能犯はある種の美学を持つ。一定の決められたルールに従い罪を重ねる。
何故このような人物が生まれたのか。育ったのか。虐待されて育った過去だけが原因ではない。
気味が悪い。不気味。
櫛木理宇はそんな犯人を描くのが上手い。
関係者に話を聞いてまわり、真実に近づくにつれて雅也もまた、危険に近付いていく。
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鬱屈した日々を送る大学生、筧井雅也に届いた一通の手紙。それは稀代の連続殺人犯・榛村大和からのものだった。世界のシリアルキラーの名前がひたすら、書き連ねられており、そちらにばかり目がいってしまい、作品になかなか集中が出来ず。シリアルキラーをテーマにした作品なので、仕方ないのかもしれないがもうちょっと抑え気味にしてほしかったかもしれない。他作品が好きなだけに今作品は非常に残念だった。
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榛村の高い知能にしてみたら、人の心を操るなんて、チョロいことなんだろうな。塀の中のいい暇つぶしになっているというか、彼の「お遊び」か「実験」なんだろうか。
榛村はやがて死刑になるだろうけど、彼のような能力(?)を持った人は外部の人と接見させてはいけないと思う。今度は自分の手を汚さずに閉ざされた塀の中にいても人を操れる。世の中を混乱させることができる。ある意味、無敵ではないか!
実は私、最後まで気付けなかった。騙されてしまった。この手のマインドコントロールにも気を付けなくちゃ・・・と自分に対しての注意喚起。(でも何に気を付ければいいの?同情心を煽るような話とかかな?)