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紙の本

靴職人と弁護士

2021/08/05 06:55

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:やじやじ - この投稿者のレビュー一覧を見る

ネタバレあり

思っていた以上に痛くない作品でした
(作者さんが作者さんだったので)
割と淡々として、
あえて言うならば内省的な作品だったかと思います。

イタリアで修行し日本に戻ってきた一流の靴職人荒木田尚吾と
告訴された彼の弁護士の田村。
出会いは地下鉄で痴漢にあっていた田村を助けたところから
告訴の結果までが一連の流れ。
思っていた以上に淡々と話しが進められるので
表面の事柄よりも、
抱えたトラウマやコンプレックスを湖の底から浮かび上がらせるような話でした。
お互いにトラウマやコンプレックスを深く抱えている。
若干もやっとすることもなきにそもあらずなのですが
全体的にさざめくような波間を見るような作品をどう捕らえるかは難しいところ。
意外に荒木田が穏やかなアプローチなのが個人的には面白かった。

BL的興味としては
親友の隆一が美味しいところをかっさらっていった感が否めない
一の名前がつく生まれの秘密から
荒木田との長年の関係までもう萌えどころ満載なので。

アラキタとアラキダの部分は
もう少し掘り下げというか厚みを持たせても良いのではって思う。
これは内面的にはキーポイント力高いと思ったので。

作者さんの作品、殴り倒されるような痛みを伴うものが多いので
こういう作品も書くのかーと失礼ながら思ってしまいました。
(ちなみに殴り倒されるのは嫌いでないです)

☆3.5

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