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「替え玉」「モータルコンバット」「地球の中心までトンネルを掘る」「ゴー・ファイン・アウト」が、好きな感じ。
面白い職業がたくさん登場して、ちょっとクラフトエヴィング商會「じつは、わたくしこういうものです」を連想したり。
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シャーリイ・ジャクスン賞、全米図書館協会アレックス賞受賞作。
アイデア勝負的な側面はあるが、ユニークな作風で、読んでいて飽きない。程よいセンチメンタルさも良かった。
子供〜若者を主人公にした短編に共通する『生きづらさ』『居心地の悪さ』、或いは滑稽さの中にある『哀しみ』など、混じり合った感情の描写に惹かれた。
『替え玉』『地球の中心までトンネルを掘る』『ゴー・ファイト・ウィン』『あれやこれや博物館』が好みだった。『あれやこれや博物館』は、ベクトルを変えると『望楼館追想』になるんじゃないかなぁ……。
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シャーリイ・ジャクスン賞、全米図書館協会アレックス賞受賞作
ほんの少し「普通」から逸脱した日常を送る人々を描いた11編が、不思議としみじみした余韻をもたらす短編集。シャーリイ・ジャクスン賞、全米図書館協会アレックス賞受賞作。
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11話からなる短編集。
『替え玉』『今は亡き姉のハンドブック』『弾丸マクシミリアン』『あれやこれや博物館』『ワースト・ケース・シナリオ株式会社』が良かった。
慎ましく展開していく話でさえ、読んでいてハッとさせられることが多かった。
こんなにも濃い短編集は贅沢。
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短篇小説というのは、雑誌などに他のいろいろな記事に交じって掲載されることが多い。短い頁数の間で読者に何がしかの感興を抱かせなくてはならない。書き出しにつまづいたら読者は放り出し、次の記事に目を移す。うだうだと御託を並べたてる暇はないのだ。そこで一気に読者をつかむためには思いっきり突飛な話題をぶつけるに限る。少なくともトピックがめずらしいものであれば読者は目をとめる。あとは、だれることなく関心を引きつけておけば結末まで読んでくれる。
だからといって、作家も人間だから次から次にと好き放題に面白いネタを取り出すというわけにもいかない。そこにはその作家ならではの特徴や個性のようなものがおのずから滲み出てくるものだ。ケヴィン・ウィルソンの場合、それは、他者との間に設けられた微妙な距離感ではないだろうか。人嫌いではないのだが、人との関係を上手く保つために、できたら他人との間に距離を置いておきたい、というような。それほど難しい要求ではないが、周りが理解しない場合、厄介な状況に置かれることになる。その切ない状況の細部を際立たせることで読者を主人公の心情に共感させる。
「替え玉」は、核家族対象の祖父母派遣サーヴィス会社のスタッフである五十代の女性が、祖父母との関わりを持たずに育った孫のために代理の祖母となって面会する仕事を扱っている。依頼者である身勝手な夫婦の態度に憤った「わたし」はついにタブーを侵してしまう。気ままな独り暮らしを選んだ独身女性がいくつもの仮の孫との疑似体験を経るうちに遂げる心境の変化を描く。祖父母派遣会社というアイデアが現代の家族問題を照射して秀逸。
「発火点」は、三年前に両親を「人体自然発火現象」で亡くした「ぼく」が、リストカット常習者の十六歳の弟と共に生きる日々を綴ったもの。両親の発火原因が不明で自分もいつか発火するのでは、という不安を抱える「ぼく」が勤めるのが、《スクラブル》のコマを作る工場。機械が吐き出す雑多な文字の中からをQの字を選り分けるのが仕事だ。作業の工程と作業中の心理がリアルに描き出されることで、その圧倒的な徒労感が胸を打つ。弟の自殺、自分の発火に脅えながら藁の中から針を探すような仕事に耐えるストレスを癒すのが製菓店の娘との束の間の逢い引き。娘の髪に残る菓子の香料の移り香があまやかだ。
「あれやこれや博物館」の管理者兼従業員である三十一歳の「わたし」は、今はやりのミニマリスト。自分の周りには何も置きたくないのに、がらくた同然の日用品を展示する博物館で働いている。そこに水曜日の昼になると展示品であるスプーンを見に来る初老の医師がいる。二人を結ぶのが、ウィリアム・サローヤンのコレクションだ。がらくたにしか思えない輪ゴムや石の展示の仕方を真剣に考えるなかで、他人にはがらくたに思える物も、集めた当人にとってはかけがえのない物であることを、「わたし」は、やがて知ることになる。
表題作のタイトルは、ちょっと大げさ。大学を卒業したばかりの三人の男女は毎日主人公の家でゴロゴロするうちに裏庭に穴を掘ることを思いつく。ある程度深く掘ると、そこからは横に掘り進��、所々に広い部屋状の空間を作っていく。夜はそこで寝泊りして地上には出なくなる。地上へ通じる穴から親たちが食事を運んでくれるのがおかしい。やがて、刀折れ矢尽き、一人、二人と脱落していき、主人公も外に出る。社会に出るのを躊躇するモラトリアムの気分を地中のトンネルという、そのまんまの仕掛けで描いてみせたところが力業。
「ワースト・ケース・シナリオ株式会社」の「ぼく」は、大学で専攻したカタストロフィ理論を使って物事が崩壊してゆく筋書きを企業に売り込む仕事をしているが、プライベートでも最悪のシナリオを想定せずにはいられず、二十七歳にして髪が抜け落ち、彼女にふられてしまうことを心配している。ある日、生まれたばかりの赤ちゃんのいる家の抱える危険度についての調査を依頼されるが、最悪のシナリオを聞かされた母親はその日から眠れなくなってしまい、会社を訪ねてくる。同情した「ぼく」が家を訪ねると夫が現れ、余計な節介をしたと殴られてしまう。カタストロフィ理論をネタにしたトラジコメディ。
ほかにクイズ選手権でしか価値を認められない二人の少年が目覚めはじめた性衝動ゆえに友人以上恋人未満の状況に陥る「モータルコンバット」。日系人家族の息子四人が祖母の家の相続権をめぐって千羽の鶴を折り、勝者を決める争いを描く「ツルの舞う家」など、すごく変わっているわけではないが、ちょっと周囲からは浮いている人々を主人公にした十一篇で編まれた短篇集。エキセントリックな登場人物や奇妙な仕事をふざけたものに見せないために、作者が用意したそれらを支える細部の描き方が効いている。
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『モータルコンバット』に打ちのめされ『ゴー・ファイト・ウィン』で更に打ちのめされた。映画化が決まったという第一長編も是非読みたい。
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想像というか妄想炸裂文学。
“替え玉”に、表題作の“地球の中心までトンネルを掘る”、
“弾丸マクシミリアン”、“ゴーファイトウィン”が好み。
しっかし“モータルコンバット”は・・・苦笑
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有り得ない職業の人やら両親が自然発火した人やら、設定は奇抜なのに当人の性格や言動は至って普通…なギャップが面白い人ばかり。作者はきっと、だいぶ変人とみた。
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書店で何気なく手に取った本。現代の老若男女の、ちょっぴりもの悲しい人生のエピソードのほろ苦アラカルト。著者の、シニカルだけど優しい視線が心地よい。
お腹いっぱいにはならないが、こだわりの素材を生かしたおいしい前菜を食べたような気分。
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世の中に対してちょっとだけ違和感があって、大人だから我慢してるけど、週一位休みないと精神的にやってられない、という現代人の疲労がテーマなんですかね。はまれませんでした。雰囲気は好みだと思います。でもちょっとずつ重たいんだよね。そこがひく。すいません。母親に酒のツマミ何買ってくればいいのかとか聞かれ、あんま酒飲まないけど飲み行ったらチーズとか頼むので「チーズ」と言ったら、雪印6Pチーズを買ってこられ、なんで食べないの!人がせっかく買ってきたのに!とか怒られ。なんかそういう時の感じ。
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なんだかよく分からない捉えどころのない話が集まった短編集。
ありえない職業や設定はとても不思議で非現実的なのだけれど、その裏には人間の悲哀や生きる喜びや、人から与えられる安らぎ、正義やおかしみなどが隠されている。
先が気になってどんどん読み進めるタイプの本ではないが、手元に置いて何度も何度も読み返し、この話を書いた作者の意図や、作者自身について想いを馳せたくなる。
日本語訳もとてもよかった。
なんというか、偏りがないというか、癖がないというか、おそらく原文の雰囲気を忠実に読者に伝えることができているんじゃないかと思う。
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ちょっとクセのある話を集めた短編集。
よくわからない話もあって挫折しかけたけど、短編集だったのもあり一応最後まで読めた。
「替え玉」と「ゴー・ファイト・ウィン」がおもしろかった。
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シュールな設定に惹かれて。
短編集だが、余白のある落ちで、想像がかきたてられる。
各話の主人公は、みんなどこか影がある。いわゆる負け組だったり、陰キャだったり(その描写が丁寧なので、個人的には受け付けない時もあった)。
ただ、性根がひねくれてない。だからほっとけない。彼らは、彼らにとって生きにくいこの世界で、どうやっていくのか?
それが知りたくて、ページをめくる。
作品全体としては、前半に好きな話が集まっていた。
後半になるとちょっと、ニッチな世界観にお腹がいっぱいになってしまった。
"発火点"も好きだが、献辞が1番かも。
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とてもシュールなシチュエーションのストーリーが11編。不思議な職業や状況ばかりなのだが、読み進むうちにどれも、そうなるかもしれない、そうなるだろうなぁと共感してしまったりする。
意外と良かった。