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「俺俺」もそうだったが、中盤から後半に掛けてが急ぎ過ぎという気がする。
後半、図領が殆ど出てこないのもおかしい。
何となく浦沢直樹の漫画のように、最初は面白いのに段々混乱して収集が付かなくなるようなきらいがあるような…
また、これも俺俺と同様、救いの展開があっても良い。
なので、読み進めているときは湯北の存在にはかなり期待したのだが…
とは言うものの、その夜の夢に出てくるくらいに気分が悪くなるので、読み物としては決して悪くない。
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1965年ロサンゼルス生まれ
1988年早稲田大学卒新聞社勤務、メキシコ留学
1997年「最後の吐息」で、第34回文藝賞受賞。
2000年「目覚めよと人魚は歌う」
2003年「ファンタジスタ」で野間文芸新人賞受賞
2011年「俺俺」で大江健三郎賞受賞
2015年「夜は終わらない」で読売文学賞受賞
都心近郊、小さな商店街は小さな店が
世代交代危機と、運営危機に陥っている。
若い人が入るも、どんどん違う店になったり。
そこそこ繁盛してる飲食店の閉店近く、
会社で部下の度重なる失態の責任を取らされ
心にどす黒く怒りを溜め込んだものが
やってくる。そして怒りをぶつけディスラーに。
ネットを駆使し、動画を編集しあたかも被害者のように
世間に呪文をばら撒き始める。。。。
言葉は、命を持たない二次元でありながら
一度飛び立つと、決して死なない。
驚くような呪いを発し、怒りと嫌悪の渦を増大させる。。。
怖い怖い現代社会の事情をたっぷり盛り込んだ
どこにもあるような、物語が繰り広げられる。
お化けや、怪物は一切出てこないが
人間こそが、恐怖を作り上げてるんじゃないか?と
寝苦しい夜にも、たっぷりひんやりできるような1話。
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こんな展開になるのかとびっくり。
どなたかがレビューで「日常の中の洗脳」と表現されていたがまさにと思った。
商店街再生ストーリーかと思いきや。
集団心理の恐ろしさ。
まさに洗脳。
ここまで転がり落ちるようにいくものかと思うけれど、
実際はもしかしたらそんなものなのかもしれない。
人間関係のごたごたもある意味洗脳かもしれない。
正しく疑うことの難しさをつくづく感じる。
その後の商店街の行く末が気になる。
2015年 河出書房
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柔らかい語り口で、今よくある商店街活性化や地域創生の話をするのかと思いきや、とんでもない展開が繰り広げられ、気味の悪い結末を迎えた。誰も悪くないのだけど、途中からは悪の渦に飲み込まれるような感覚。正直、二度と読みたくないが、それって現実社会から目を背けてる自分を表してるのかも、と思ったり。
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さびれる一方の商店街。ちょっとしたことで店に言いがかりをつけ、ネットにでっち上げ動画を投稿するクレーマー。それに果敢に立ち向かい、ブログに公表する勇気あるレストラン経営者、図領。まよいながらもそれに巻き込まれていくのは、長年の夢だった小さな料理店を開くが全く振るわず追い詰められている主人公の霧生。
これは怖い小説である。自己実現への意欲、グループで語り合うこと、うまくいかない理由を人のせいにせずすべては自分が原因だ、という真面目さ、カリスマ性。こういったものって一歩間違うとまじで怖い。そう思わせる。
登場人物の言葉はそれぞれある一面では正しい、共感できる。特定の「諸悪の根源」がいるわけでもない。なのになんでここまでずれていってしまうのか。何が自己増殖しているのか。
なぜ正義感や誠意はときに暴走するのか、村上春樹はかつて、開かれた回路と閉じた回路、という言葉で人間が際限なく内向きに高速回転し、焼き切れていくことを活写した。閉じた回路(クローズド・サーキット)の論理に絡め取られることの闇から逃れるための手段、それが物語の果たす役割である、と。例えば、加藤典洋氏の評論を読むと、村上氏初期の短編のいくつかは学園紛争の「内ゲバ」を裏テーマにしていることが分かる(例えば「ニューヨーク炭鉱の悲劇」「パン屋襲撃」)。
何から自由であるために、何をすればいいのか、混乱しながらも考えさせられる。この人の別の小説も読んで見よう。
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各所で高評価だったので読んでみたが、期待外れ。
社会に活躍の場を持てない輩が、正義感や理想主義に触発されて狂気に染まっていく、という構図は、かつての内ゲバ極左やカルト教団、現代のネトウヨまで共通しているが、この小説はその現実をただなぞっただけ。
なんら新しさを感じなかった。
寂れゆく都会の片隅の古い商店街という舞台装置もあんまり有機的な効果を生んでいるように思えない。
途中で興味を失った。
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一言で言うと歪んでいく物語。現実にありそうでなさそうな物語だった。
高齢化の波に消えゆく商店街。そんな商店街を改革しようとするカリスマ的リーダーの図領、質の悪いクレーマーに目を付けられたがしっかりと撃退したことをきっかけにしその勢いを増す。シンパである未来系と共に。
そんな中、商才はないがトルタを作ることが純粋に好きな主人公は巻き込まれていく。店は火の車で資金も底をつく寸前。図領の考えた無尽という融資制度を強要されそうになる。
行きすぎた正義を振りかざす未来系。先代たちはもはや老害とされ、センスのない若者はクズとされる。洗脳されたような未来系たちは「クズ道というは死ぬことと見つけたり」に引き寄せられる…前半は図領のカリスマ性が面白かったのだが、自警団の未来系の構成メンバーのクセが凄く、段々ときな臭くなっていく様が不穏で不快。
老害的高齢者と、社会に居場所を求める若者的馬鹿者。現代日本の悪いところをうまく描いておられる。
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わからん。
全然わからんかった。
とりあえず、ずっとよくわからんまま読み進めて、最後はなんかしんどくなった。
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古い店は廃業し新しい店は長続きせずで、空き店舗が増えつつある『松保商店街』。この空き店舗を借りトルタ屋を始めた『霧生』だったが、売り上げが伸びず、あと二ヶ月ほどで運転資金が底をついてしまうところまで追い詰められていた。
活性化を目指す商店街をめぐる人達のオムニバス。地域おこしの再生ものかと読み進めていたら、どんどん不穏な方向へ・・・。下剋上よろしく若手の男が組合を牛耳り、街全体を飲み込んでいく。彼を信奉する者達も集まってきて、あげくハラキリだというのだから理解不能。
終始ぞわぞわと嫌な気配が付きまとう話だった。
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面白かったし、いろいろ考えさせられたりしたけれど、全体的な流れ、ラストに向かっていく流れ、小説としてのまとまりがちょっとどうなんだろうと思ってしまった。
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自己肯定感の低い者を洗脳していく(あるいは自身が思い込んでいく)理路をドラマチックに描いて見せる。一気に読ませるが、前半の図領の怖さが、後半の栗木田の怖さにかき消されたまま終わってしまっている感がある。もっと図領とその妻や義父の動きを展開させてもよいのではないかと思う。あと200頁くらいあってよさそう。
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ジリジリ歯抜けになっていく商店街をどう活性化させていくか、地方創生の時代に待望のビジネス書である…というのは嘘だ。タイトル見ればわかるよね。
歯抜けになっていく商店街の若きリーダーの店に降りかかったネットでの誹謗中傷攻撃に対して、この町の一部のメンバーは「未来系」などと名乗る自警団を作る。彼らはジリジリと伸していく。そこにしたがわないものは、あるものは口説かれ、あるものは脅され、「覚醒」するか、追放されていく。
街の善意が他者にとっては悪意になる、ということを最近経験した。これからも経験する予感がしている。そこには相対的な発想や他者を許容するという発想がない。
その場で「活躍」する人だけが欲しい、ということだ。これは現政権になってからとても目立つけど、もともと日本の各地に本質的にある問題なのかもしれない。気持ち悪い。
本書のテーマもそのあたりにあるのかな、とも思ったが、どうも搦め手による罠みたいなものばかりが目についてしまった。
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勝ち負けがはっきり描かれていない終わり方に驚いたけど、「正しいのはどちらだ」ということよりも、自尊心の大切さが書かれているんじゃないだろうか?と思った。
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「呪文」 星野智幸 ★☆☆☆☆
正直面白くない。
主人公の霧生に自己がまるでなくすぐに洗脳されてしまうからだ。
それこそがこの本の狙いなのかもしれないが、あまりに非現実なことに対して扇動を受けすぎている。
もっとネットだけにフォーカスすべきだし、本作の内容じゃ単なる新興宗教感がすごいっす。