紙の本
薄っぺらい
2015/12/23 18:27
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投稿者:つよし - この投稿者のレビュー一覧を見る
読みやすく、2日で読み終えた。安倍政権を風刺した内容で、米国や中国の思惑を知る参考にはなる。だが、いかんせん物語としての深みに欠け、人物造型や、感情描写も薄っぺらい。スパイや多重人格を使った展開も稚拙で、しらけてしまう。
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デビュー作『優しいサヨクのための嬉遊曲』以来、島田雅彦は政治への言及を躊躇う作家ではなかった。それでも政権そのものを題材にした作品は初めてだろう。しかも、集団的自衛権の行使を可能にした法改正の数年後を描く、予言小説ともいえる内容だ。一部の文学ファンには、時局的に過ぎると敬遠されるかもしれない。
とはいえ、夢遊病者やシャーマンなど異質な視点の導入によりポリフォニックな作品世界を描き続けてきた作家だ。急に単線的な政治ドラマを紡いだわけではない。作品中の日本国総理大臣は、のび太とドラえもんの人格を併せ持つ。さらに主人公「星新一」は、7つの人格を駆使するスパイだ。個人の内に、複数性が仕組まれている。支離滅裂に終わるか、そこに希望を見出せるか。この賭けを、読者は小説の快楽として味わうだろう。
容赦なく炸裂した「優しいサヨク」の知的挑発。戦後70年の今年に相応しい傑作だ。
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現代政治ネタのスパイ小説。
小学生の時、父親に寿司屋で置き去りにされた星新一。
伊藤博文に並ぶ若さで総理になった血筋と顔が取り柄の松平。
二人の共通点は解離性人格障害。
「総理もネトウヨもみな虚人である」
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現在暴走中の日本政権をモデルにしたフィクション小説。スパイ、アメリカ、中国はじめ近隣諸国との関係、それぞれの思惑がまさに今起こっていることの様に感じられてすぐに読めた。登場人物のネーミングの中には皮肉?も含まれてて面白い。現実の世界では現政権の暴走が止まらない。それどころかさらに加速している。なんとか止める手立てはないものかと思わずには、いられなくなる。
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今の時代を風刺した作品。2人の主人公のいろいろないきさつが最後に収斂する格好。最後の総理の会見は、今の時代へのメッセージだ、との作者のコメントをどこかで読んだがが、私個人的には全く首肯。
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http://blog.goo.ne.jp/abcde1944/e/6b82fd402c8697c416aaf290857f3bc7
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映画「マーガレット・サッチャー鉄の女の涙」で、サッチャー首相は食料品店の娘として、首相になっても市場のバターの値段を気にかけることで市民感覚を忘れなかった。サッチャー首相には鉄の女と商売人の娘が同居していました。登場人物が多い訳でもないのに、総理がドラえもんというもうひとつの人格をかかえ、総理のそばに近づく外交官がレインボーマンという七つの人格をかかえているので、どの人が前にたって政治外交を行っているのか、不思議な読み心地でした。側近や外交官の意見に左右され、世論を伺い、同盟国や近隣諸国との調和に翻弄されていれば、自ずと強硬な姿勢を貫き何でもできると思いこんでしまう自分と、弱腰だとののしられても、憲法とともに不戦を誓い近隣諸国を中心とした恒久の平和を願うことを直接言葉にできる自分と、最後はどちらの総理の人格が生き残るのかを楽しみに読む本でした。
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物語の手を借りて思想の啓蒙をしたい作家、なのかな?(著作がそんな感じだった)
戦争。外交。何に重きを置き誰と手をつなぎどんな未来を選び取るのか。虚ろな人、彼の住まう星も虚構の世界だけれど。
中盤まで読み物として面白かっただけに凡庸さが際だってしまったラストだった。
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ビリーミリガンを踏まえた、多人格障害の首相とスパイの話。頭の中のドラえもんに支配され米国政府に正面から物言う世襲総理の松平による積極政策、それを煽る中国情報網。そしてのび太の反抗。
阿部政権の政策を俯瞰するような作品。
表紙画 池田学「予兆」に圧倒されて星5つ。
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戦後レジームからの脱却。現安倍政権は憲法改正に向かってまっしぐらだ。そんな中、島田節炸裂の本書はタイムリーな分、面白い。イデオロギーもへったくれもない庶民からすると景気回復と憲法改正がアメとムチで、アベノミクスで景気回復するんだから、自主憲法制定しても問題ないでしょう、とでも言いたげ。2017年4月に予定されている消費税10%はアベノミクスで予想されたほどの景況感ではないので、引延しになるような気がしている。その代りじゃないが、国民投票⇒改憲への一歩 なんじゃないのかと薄々感じている。小説のような結末は期待できないだろうな。
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多重人格者の首相と、その義理の兄弟の七つの人格を持つスパイが国家の危機を救う。着眼点は面白いが小説としての評価は、まあまあというところか?
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島田雅彦「虚人の星」http://book-sp.kodansha.co.jp/topics/kyojinnohoshi/ … 読んだ、おもしろかった!多重人格やスパイというと荒唐無稽なエンタメだけど、登場人物に言わせている対中国防や安保への思想は真面目。現実への皮肉も利いている。こういう形でしか政治を語れない国なのか、日本って(つづく
主人公が星新一だったり実在した人物名や固有名詞がどしどし出てきたりで、その意図を深読みしたくなり物語の中に入り込むまでに時間がかかった。あと中盤で視点が変わったのも最初気づかず(だってメインキャラ二人ともが多重人格だなんて思わないから)ラストが捻っている割にやや物足りない(おわり
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近未来の予言ともとれるし、現代社会への憂いともとれる。
とてもシュールな感じがするのだが、これを思想ととるのか、ギャグと考えるべきなのか。
夢オチ的なラストはちょっと・・・
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不思議な小説だった。最後の数ページ前までは面白かったが、最後の落ちがいまいちよく理解できない。つまりわからなかった。本当に最後まで面白かったのだが、最期が意味不明だった。
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私の父が失踪する話が始まると次に世襲の首相の話だ.何のことか分からない出だしだが,次第に状況が分かってきた.精神科医宗猛から私・星新一は7人のドルーク(友達)がいる交代人格を持つ存在であることが分かる.松平定男にはドラえもんとのび太の2人が巣くっている.星は中国のスパイとして活動し,外交官になる.松平は側近から中国との公戦をそそのかされ,ドラえもんが同調する.星の父もスパイであることが分かり話が発展する.尖閣問題を始め現代の中国との懸案が悪い方向に展開するストーリーだが,星が松平に直談判して解決策を展開する.小説とはいえ現代の情勢を反映した話で楽しめた.