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帯のイラストからあからさまに「狙ってる」感じを受け当初はスルーしようと思ったが、著者の経歴の「重度身体障害者向けの性的介助サービスを提供するNPO」については以前どこかで読んだことがあり、また個人的にも不倫の社会的コストへの対処の必要性を感ずる機会があったため、興味をそそられ購入。
現在一般に受容されている一夫一婦制を相対化するだけなら別に目新しくもないが、その制度的・生物学的な矛盾の軽減策としての「ポジティヴ婚外セックス」を "the least worst option" として提示する視点が斬新。あくまで「軽減」策であって「解決」策ではないと断りながらも、「不倫ワクチン」として機能しそうな様々な国内外のオプションが紹介されている。しかし結局最後に「婚外セックスを楽しむ資格や能力のあるのは婚姻生活が安定している人間だけ。しかも完全な充足感を得ようと思えば幸福な婚姻生活すら万能でない」と断ずるリアリズムは、学際と実践の両面を経た著者ならではのものだろう。
「依存」は「婚姻」の中に知らぬ間に忍び込んで来る。そのことに自覚的でない限り、不倫のコストを背負わなければならない可能性は誰にでもあるのだということを再認識できたのが収穫。
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読了。今の自分にとって、
不倫したりされたりする心配は、遠いので、途中から自分の心のテンションが下がった。交際クラブの話は、ドキドキした。不倫は、やはり子供がいたらアウトと思う。それだけと思う。
この考えが、はじめからあったわけではない。やはり子供ができて、育児に少しだけ関わったからと思う。子供が生まれてきたとき嬉しかったが、父親の自覚は1ミリもなかったと思う。それが、一緒にいると変わりはじめたと思う。子供が自分を母親の次の存在と認識してもらったとき、自分に自信が生まれた。
将来、奥さんが、どんなすばらしい素敵な男の人をつれてきて、今度からこの人が新しいお父さんよと言っても、私が承認しなければ、ありえないと思った。揺るぎない信頼をもらったと思う。だから裏切ったら駄目だと考える。でも思春期になるとお父さん臭いと言われるのだろうな。もう言われてるし、覚悟はできたので、乗り越えれるだろう。子供にとって大事なのは、お母さん、お父さんが仲良くしてることが、一番大事なことと思う。それをするにはどうするかを話し合うことなのだろう。
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不倫を社会問題として捉える,具体的には,感染症と見立てて,ワクチン開発を目指すという話。上手くいったかどうかは。。。第三次性徴という概念は良かったと思う。
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新聞で著者が行っている社会的活動に興味を感じ、本書の紹介があったため読んだ。倫理や常識という言葉で片付けずに、真摯に社会学の視点で「不倫」に向き合っている点が好感を感じた。また、文章が非常にうまいと感じた。
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岸田秀の
『性的唯幻論』に続き
非常に興味深い本
小池龍之介の本といい
ここ最近「人生の本」と
いえるような影響力ある本と
巡り会えてる
不倫に関して
ここまで冷静に分析してくれた本は
いままでなかったと思う
『男子の貞操』も読んだが
坂爪さんは人間的にも
好感持てるので
書かれてていることも好きだ
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久々に「新書レベル」としか言いようのない本を読んだ。
不倫を感染症ととらえてワクチンを考えるというコンセプトにほほうと感心して先を読むと、そのあと本の5分の2をつかって「不倫学入門」これがwikiなら要出典、独自研究?の嵐になるレベルのしろもの。後半のインタビュー事例はこの社会では不倫ではなく売買春と呼ばれるようなもの、そしてアメリカのカルト宗教のフリーセックスのネタ…巻末の参考文献のしょぼいこと。
著者あとがきで、編集者に見せたとき「世界観がありますね」と褒めてくださったそうなので、私も褒めようのないものを見せられたらこれでしのごうと思う。
新聞書評で2度ほど目にしたから買ったのに、だまされた感でいっぱい。
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軽く読める内容ではなかった。
不倫をただ嫌悪していた私としてはためになった部分もあるけど、考察内容に疑問も残る。
サンプルが少なすぎる。
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不倫を学問としてとらえるこの本は、今の自分には現実的でないとしても、読み物としては手応えがあった。
これこそ日常から一時的に離れる読書の醍醐味で、正月休みの時間の使い方としては、有意義であった。
これからを生きる人間として、知っておいて損はない分野のことだと思う。
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私は坂爪さんが目をつけるテーマが結構好きなので、今回もふむふむと楽しく読み進めた。書いてある内容も興味深く、不倫というより「多様な愛の形」を紹介している書籍。不倫のあれこれに限らず、交際クラブやポリアモリー(複数愛者)など、守備範囲は広めなので、新書にしては300p弱と、ややボリュームは多かった。
文字上は「不倫をしないための“ワクチン”を接種しよう」と書いてあるが、結局は「別に不倫そのものは悪じゃない」ということに展開していて、「不倫を防ぐためにこの本を読んでねー!」という広告的な建前にはちょっと無理があるように思った。
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不倫を一種のウイルスにたとえて、それを予防し回避するための「ワクチン」や「処方箋」を提示することを試みる。
「不倫は防げない」という現実から目を背けることなく、現実的に可能な解決を探っていく。
結論としては、次善の策として、 婚外性交渉を社会的に条件付きで受容し、不倫によるリスクを低減させることを提案する。
センシティヴな領域であり、皆が納得する結論を得るのは極めて困難と思われるが、考えるきっかけを与えることが本書の妙とも言える。
人間である以上、「性」の問題からは逃れられない。
その中で、いかに善く生きていくかを考えるヒントが盛り込まれた、「(真面目な)性の教科書」と言える。
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借りたもの。
何故、不倫をしてしまうのか――?
男の本能説など、言い訳に過ぎない。
もっと丁寧に現代社会から歴史などの観点から「不倫」を読み解いてゆく。
未熟な個人の問題としてだけでなく、「社会問題」として考えるという。
そしてこの本の目標は、「不倫ワクチン」なるものを手に入れるため、様々な愛の形――人間関係について模索する。
ただ、この「不倫ワクチン」、要は「ハームリダクション」のようだ。
一口で“不倫”と言っても、様々なタイプがあること、パートナーとのコミュニケーションの不足や、盲信して社会的・人間的な破滅のリスクがあることなど挙げていく。破滅的な不倫の場合には、私には性虐待の傷を垣間見る……
不倫が起こるのは、コミュニティ、人間の交わるところ何処にでも起こりうるという。
「不倫」をしない絶対的な予防策もない。ならば、(自他どちらも)「不倫」によって破滅するのではなく、自分も、パートナーも、家庭も壊さない「不倫」はあるのか――?
パラドックスである。著者はそれらを「不倫ワクチン」として、様々な性愛のカタチを挙げてゆく。
しかし、「ワクチン」の例えが使われるように、副作用がある。
バランスを崩してしまえば破滅してしまうこと、また社会的なロールモデルが存在しない(存在できない)という、またしてもパラドックスになった。
結局のところ、「不倫」ができるのは、精神的にも肉体的にも健康で、経済的・時間的余裕を持ち、夫婦関係や家族関係が安定している人間でなければ務まらない。
それこそ、紫式部『源氏物語』の光源氏のように……
副題にある通り、「社会問題」として考える本だが、男性寄りすぎる印象を受けるのは、結局のところ今まで女性に苦渋を舐めさせた、アンフェアな分野だったからだ。
ジェンダー論や男女性差を強く意識させる……
男が“絶倫(肯定的意味合いが強い)”で女が“淫乱(否定的意味合いが強い)”と評されてしまう点からも……
斎藤環『関係する女 所有する男』( http://booklog.jp/item/1/4062880083 )にあるように、関わり合い方の根本発想が異なる。
所有原理(タテ)が原動力である男(この本では”性欲ベースの動機”)と、繋がり・関係性(ヨコ)を重視する女――この2つがきちんとバランスよく交わる(✚)ことが大切なのだが……
生物学的に人間は多夫多妻、と言い出すのかと思ったら、結局人間は一対一の関係性しか築けない事を仄めかしている。
それは夏目祭子『知られざる最強の創造エネルギー なぜ性の真実『セクシャルパワー』は封印され続けるのか』( http://booklog.jp/item/1/490502742X )でも言及されていたけど……
結局、人間は一筋縄ではいかないのだ。
多様である……ラース・フォン・トリアー監督『ニンフォマニアック』は極端だけど……
不倫「する」「しない」「させる」「させない」の本ではなかった。良かった。
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性欲と性愛欲、つまり婚外セックスと婚外恋愛の問題がぐちゃっとしている
不倫で問題なのは婚外恋愛じゃないかな
そっちの問題があまり検討されていないように思う
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名著だと思う。
結婚とは何か
夫婦とは何か
恋愛とは何か
セックスとは何か
誰も教えてくれないこれらのことが
考えやすくなるように
情報を整理してくれている。
生活と恋愛とセックスと
3本の柱がすべて
安定的に立っていることはほとんどない。
絶望を受け入れて
前向きに自分の道を行くしかないことを
この本は教えてくれる。
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このところ多忙につき、読感を書いている時間がない。
とりあえず、読みましたということで、読了日と評価のみ記載。
2016/5/25
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○引用
かつては倫理や道徳の問題だったが、現在の心理学的アプローチにおいては不倫を「夫婦の関係性の問題+本人の成育歴の問題」として捉える視点が主流である。
自立とは、多くの依存先を確保している状態
「自分の感情を自力で腑分けできる」ようになる。これによってメンタル面でのトラブルの解決速度が上がる。
できる唯一のことは気持ちを伝えることだけであり、それができた時点で恋愛や不倫は「成功」であり、かつ「必要十分」なのではないか