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投稿者:ハム - この投稿者のレビュー一覧を見る
刀にまつわる日本の言葉が、こんなに多くあるんだなと驚きましたが、よく聞く言葉ばかりで刀が日本の歴史と深くかかわっているんですね。
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あとがきのあと「刀と日本語」 調所一郎氏 精神構造にも影響与える
2015/10/4付日本経済新聞 朝刊
先祖に江戸時代後期の薩摩藩で藩政改革を断行した調所広郷がいる。東京生まれの東京育ちだが、薩摩の古武道剣術・薬丸自顕流の心得もある。家に伝わる広郷所用の刀を研ぎ直してもらった時のこと。「刀が持つ霊力のようなものを感じ、体に衝撃が走った」
「日本刀は単なる鉄の武器ではなく、日本人の精神構造に影響を及ぼしてきた」。日本刀の魅力に取りつかれ、2003年には刀装全般を指す「拵(こしらえ)」に関する著作を刊行。本書では「鎬(しのぎ)を削る」「鍔(つば)迫(ぜ)り合い」「鞘(さや)当て」など日本刀に由来すると思われる30の表現を刀の造り方や構造、使い方に基づいて解説した。
「切羽詰まる」の切羽は刀装具の一つ。鍔の上下に装着し、鍔をおさえる役目を果たす。転じて「窮地に追いつめられて、全く身動きのできない、困った状態」を指す。本書では写真で刀身に切羽や鍔、柄(つか)など装具を順番に装着していく様子も紹介した。
「とんちんかん」は刀鍛冶から生まれた言葉だ。師匠と弟子が鎚(つち)を打つ時、息が合っていると「とん、てん、かん」と聞こえるが、息が合っていないと「てん」が「ちん」と聞こえたことに由来するという。
刀剣商で若い女性を見かけることもあり、刀に興味を持つ「刀女子」が増えていると肌で感じる。「日本刀の良さをアピールする好機」と考え、本書では写真やイラストをふんだんに盛り込んだ。イラストは鹿児島生まれで自顕流道場で師範も務めるイラストレーターの和田博温氏に依頼。薩摩への愛着を示した。
「職人たちの技術の粋が集められている刀は、日本のものづくりの原点。きめ細かで、隅々にまで配慮し、極限まで製品の完成度を上げていく。この姿勢は、長い時間の中で培われ、日本人の普段の生活にも息づいている」(里文出版・2000円)
(ずしょ・いちろう)1960年東京生まれ。慶大経卒。コンサルティング会社経営などを経て現在は民間シンクタンク役員を務める。著書に『薩摩拵』、共著に『永久国債の研究』。
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