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父と兄を謀略で失い、祖国・楚に復讐を誓いながら呉に逃れた伍子胥(ごししょ)。呉の公子光(こう)の客人となった伍子胥は、孫武に兵法の協力を仰ぐ。その労ゆえ、公子光は二倍の兵を率いた楚に勝利するも、呉王に命を狙われることにーー。專設諸(せんせつしょ)との再会と別れ、笵蠡(はんれい)との出会い、黄金の楯。大河中国歴史小説、伍子胥篇のクライマックス!
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かつての敵国の大国である呉の覇権争いに巻き込まれる伍子胥。本来、後継者であるはずの李氏が王を拒み、それが元凶であるにも関わらず、徳の人と描かれているのが可笑しい。こういう奴って周りにひとりくらいいるよなーって実感する。ストーリーは相変わらず伍子胥を中心引き込まれていく。伏線拾いまくりで腑に落ちる面白さ。
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闔盧が呉王になった。
いよいよ呉越の戦いが近づいてきた。
夫差の名もあらわれ、范蠡も登場した。
勾践が揃えば、いよいよ本格的な呉越合戦がみれる。
呉越同舟、臥薪嘗胆など有名な熟語の故事でもある戦いが楽しみだ。
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呉で政変発生、物語は大きく動く。これにより、この国に逃れた伍子胥は悲願の成就にまた一歩近づく…… 読んでいてそのような印象を持った。
清廉とも言って良い宮城谷昌光らしい筆致のため、生臭いエピソードでも、陰鬱さを感じて途中で投げださずに順調に読み進むことができた。
「━━運よく勝った。というようないいかたは、孫武にはありえない。勝敗にはかならず原因と理由がある。」『斉の国』より。
「家を大きくするには、家族だけでの経営では、限界がある。」『斉の国』より。
「旅とは、教訓そのものです。」『斉の国』より。
「知らないということは、気楽なことであると同時に、きわめて恐ろしいことである。」『暗殺の矢』より。
「優秀な臣下こそ国の宝である。」『暗殺の矢』より。
「怨みを忘れて生きれば、人は聖人となる。」『運命の年』より。
「人はゆるやかに、無理なく成長していったほうが、器が大きくなりやすい。」『運命の年』より。
「二十代とちがって三十代になると過去の風景は厚みをもつ。その厚みの上にいまがあることもわかる。」『王と将軍』より。
「人はおのれが立てた計画に熱中しすぎると、あたりがみえなくなる。」『王と将軍』より。
「兵略家は、失敗をも、考慮にいれて戦うものなのだ。かならず、ひとつの失敗をおぎなうための手段を講じている。」『[魚專]設諸』より。
「敵対する者たちを徹底的に圧殺すれば、なるほど敵対勢力はすつかり消滅する。しかしながら、かならず怨みが大きく残る。後年、その怨みが巨大な害となって襲ってくるのである。」『初秋の風』より。
「その決断をすみやかにせよ。誤った決断を恐れて、ためらっていることのほうが、より悪い。早い決断は是正しやすいが、遅い決断は、とりかえしがつかない。」『初秋の風』より。
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伍子胥〈ごししょ〉という人物が、宮城谷昌光をしてこのような言葉を生ましめるのだ。「言葉の呪力」を思わずにはいられない。無論この場合は「祝う」義である(呪には二意ある。祝の字が生まれるのは後世のこと)。
https://sessendo.blogspot.com/2022/03/blog-post_47.html