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この本を最初に知ったのは『王様のブランチ』でした。
その後、第154回直木賞候補になり、ブランチブックアワード2015受賞、2016本屋大賞にノミネートされ…
読みたい、読みたい!、読みたい!!、読みたい!!!
気持ちばかりがどんどん膨らんで…
ようやく手にすることができました(笑)
高校の体育館で偶然、ピアノを調律する場面に出会い、魅せられ、調律師を目指す外村。
それまでピアノとは無縁の世界にいた一人の青年が、自分と向き合い、仕事と向き合い、悩み、苦しみ、もがき、成長していく…
ゆったりとした宮下ワールドに浸りつつ、読み進めました。
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宮下一家が北海道で過ごした一年がとても実りのある濃いものだったのだなーと本作を読んで感じた。
随所に、その気配が感じられた気がする。もしかしたら本の構想は北海道に移住する前に練られた物かもしれないけど。
とても綺麗な物語だった。
音を言葉にして、その素晴らしさを伝えるのは難しいことだと思うのに、宮下さんはあっさりとピアノにも音楽にも無知な私にその素晴らしさを教えてくれ、心地よい空間に連れていってくれた。
「好き」ということに勝るものはない。
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すごく静謐な感じ。ピアノの調律の話しなのに。その代わりピアノが奏でる世界が景色として見えてくる。文字を目で追っているだけなのに、ピアノの音が聴こえ、景色が目の前に広がる。とても素敵な小説でした。
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素敵なお話。ピアノ弾いているので、余計に胸に響きました。音を考えて弾くなんて境地にはとても辿りつけませんが、ここに描かれているような世界に、少しでも近づけるといいな、と思いました。文庫になったらピアノのそばにおいて、いつも眺めたいです。今度の調律のとき、ちょっと見てみようかな。
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偶然の出会いが一生の仕事となるというのは奇跡に近い出来事。でも今回の場合は「あ、このシチュエーションありそう」て思った。
表現が難しい音の話をうまくまとめてるなと思ったし、知らない世界の話なので興味深かった。また、ピアノを森に例えるという発想はなかなか思い付かないと思うし、文章もなんかきれいなピアノを聞いているみたいで心地よかった。
ただ、由仁ちゅんが調律師になったら和音のピアノの調律師の任、下ろされちゃうのかなと思うとちょっと辛い。
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ピアノの調律師として高みを目指す主人公の物語。美しいただただ描写が美しい。
今年読んだ中でナンバーワンだと思う。
タイトルから素晴らしく、ピアノそのものを表している。
成功と失敗を繰り返しながら、キーワードともなっている「こつこつこつこつ」成長していく主人公に親近感、羨ましい感情が湧き上がる。
物事は一足跳びにはいかない、仮にいったとしてもそれは本物ではないということを思い知らされる。
そしてピアノの演奏の音、調律のハンマーと弦の音、空間に奏でられる様々な音がとにかくこれでもかと美しく言葉で表現される。
美しい言葉で表現された音の体験は今までにないもので感動を覚える。
映像化の話が出てきそうだが、人々の関わりは問題ないだろうが、言葉で表現された音の美しさは映像で表現しようがないのではないだろうか。
ただピアノの音をそのまま流しただけではこの作品の真の良さは全く伝わらないだろうから。
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こつこつこつこつ、一歩ずつ歩みを進める主人公の姿に自分自身が没頭していることに対して、静かなる闘志を分け与えてくれた作品。主人公よりだいぶ歳を重ねている自分ですが、同じく成長しているのか不安を身に、でも、こつこつこつこつ、一歩ずつ歩みを進めている未来を信じて。
とにかく、静かな作品なんですがパワーをもらいました。後半に向けてどんどん引き込まれました。いい作品に出逢えてただただ、感謝。初心を取り戻せました。
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子どもの頃の強烈な印象が、後に大きな道標となる。
何と穏やかで慎ましい生き方だろう。
まだまだスタートラインに立ったばかりの主人公の、これからの未来が輝かしい。
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ふたごと調律師たち、和音と外村の成長…奏でられる優しく沁み入る一曲!?。共鳴しあう鮮やかな言葉、声たちがすぅーとこちら側に溶け込んでくる。聴くばかりで、羊と鋼と森の世界側には全くの無知ながら、ピアノの美しい音色を言葉に変えた良作の一冊♪。
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宮下奈都作品初読み。
ものすごく爽やかな読了感(*´∀`)
一人の少年が一人の人と出会い生きる目標を持ち、色々な人と出会い自分自身を成長させていく。
そして二人の少女と出会い他人を成長させていくことが目標に。
自分自身の成長はもとより、他人とお互いに成長しあえる出会いができた外村の歩んでいく人生をいつまでも見ていたい気持ちになった。
他の作品も読んでみたい。
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じんわりとあったかくて優しくて、この物語の森の中から抜け出てしまうのが哀しい。ずっと羊と鋼の森の中にいたいのに、いられない辛さ。
ぽつりぽつりとしか宮下奈都さんの作品は読んでいないけれど間違いなく一番好き。
淡々とした静けさに一本の光がやわらかく差しているような感覚がたまらなかった。
物語は一人の少年がピアノ調律師の世界に魅せられるところから始まり、一人前の調律師へ一歩一歩近づいていく様が描かれている。
彼の夢を目指すひたむきさ純朴さに胸を打たれ彼を励まし続ける周囲の人々に癒され、大きな展開はないもの物語の森へすっかり迷い込んでしまった。
才能とは何なのか、努力とは何なのか。
ここで描かれるのはピアノ調律師ではあるけれど、夢に向かって頑張っている人、頑張りつつも迷いがある人、そんな人が読んだら絶対に励みになると思う。
調律師が主人公の小説は前にも読んだけれど、今回ほど調律師の世界に魅了されてしまうことはなかった。この物語は脇役であるピアノ調律師の奥深い世界を余すことなく描いていて自分自身がピアノの世界を知らないことに歯がゆくなった。
物語そのものももちろん、タイトル『羊と鋼の森』、それから装丁もすばらしい。全てが一体となって宮下さんの新しい世界を作り出している。
タイトル初見で、「何、このタイトル?」と思った自分が恥ずかしい。
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ピアノの調律師のお仕事を丹念に描いた作品。真っ直ぐでとてもいいお話なのですが、期待が大きすぎたのか、今ひとつパンチに欠けるというか、展開にはひと工夫欲しかったなあ。
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久しぶりの宮下奈都さん。
ごくたまにしか会えなくても、会えばまるで学生時代に戻ったかのように振る舞える気の置けない親友のような存在の作家さんです。会えばほっとするような、あの感じ。
これは、なにか特別なことや不思議なことが起こることもない日常の、静かなお話でした。
舞台が北海道ということもあるのだろうけれど、
全体から、森のしんしんと冷えた、でもしっかりと力強く生きている空気が感じられるような。
一人の普通の高校生が、偶然一人の調律師と出逢い、そのひとを目指して調律師になるお話。
葛藤もあるけれど、こつこつ、こつこつと自分の道を見つけていく姿は、自分にもそんなふうに突き詰めていけるものがあれば……、とちょっとうらやましくもあり。
はからずも、我が家のピアノに調律師さんが来てくださった日に読み始めたこともあり、とても興味深く読みました。
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ゆるされている。世界と調和している。それがどんなに素晴らしいことか。言葉で伝えきれないなら、音で表せるようになればいい。ピアノの調律に魅せられた一人の青年。彼が調律師として、人として成長する姿を温かく静謐な筆致で綴った、祝福に満ちた長編小説。
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とても優しい物語である。そして、青い炎のような静か情熱が伝わってくるようである。弟と比べて劣っているのではないかと、自分に自信を持てずにいた外村少年は、高校の体育館のピアノの調律をする板鳥と出会ったことで、進むべき道を見つけたのである。ピアノも弾けないし、それまでクラシックに興味もなかった外村だったが、板鳥に紹介された専門学校で努力し、調律師になる。先輩調律師たちがピアノに向かう姿勢や、思うようにできない外村の歯がゆさ、お客さんそれぞれの事情など、さまざまあるなかで、外村の独特の感性がどんどんピアノと彼とを近づけているように思えてきて、あたたかいものが胸にこみ上げてくるような心地になる。心が洗われるような一冊だった。
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丁寧で静かで美しい文章で本当に音楽を聴いてるかのような心地になる。
短い作品なのがもったいないと思えるほどずっと読んでいたくなった。