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上がりすぎていたようにも思える期待に見事応えてくれた傑作短編集でした。
本格としての純度の高さは『密室蒐集家 』に比肩し得ります。
警察小説と銘打っているものの、警察官が登場する、変則的な安楽椅子探偵ものといった表現がしっくりくるように感じます。
個々の短編はどれも粒揃いで、ひっくり返すポイントが読者の意表をついてきます。一見無茶に思える構図でも、恣意的な人物配置と張られた伏線で、丸め込まれてしまうのは、もはや快感です。
とりわけ、「復習日記」の出来がすばらしく、氏の作品では珍しく物語の面でも引き込まれてしまう逸品でした。
本ミス10位は固いでしょう。
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<赤い博物館>に左遷された元捜査一課の男と美人館長が過去の事件を再調査・解決していく短編集。アルファベットパズラーズに比べ過去の捜査への違和感は少ないと感じた。
作者お得意の着地点の意外性という趣向がどの作品にも用意されており、その点で好みだったのは「死に至る問い」、「復讐日記」の2作。
また読者が日本の交通事故発生率について思いを馳せることになるだろう作品だった。
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『密室蒐集家』のときのように、
事件の提示とトリックの解明という
ムダな要素を廃したシンプルな構成なので
純粋にミステリーが楽しめる内容に仕上がっている。
ストレートにミステリーが堪能できるという
メリットはあるのだけど、一方で
あっさりしているし、小作品集的すぎると
見る向きもあるだろうなとも思う。
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犯罪資料館の美人館長と左遷された巡査部長が迷宮入り事件の謎を解く短編集。
やや変則的な安楽椅子探偵もの。どれも驚きの真相が用意されていますが、トリックありきの構成なのでリアリティーが皆無なのと、まるで雪女のようだと評する館長・緋色冴子の影が薄いのが残念です。キャリアなのに何故ここに甘んじているのか分からないままなので、是非シリーズ化して欲しいです。
ベストは【復讐日記】。犯人の日記によって事件の状況を語らせる構成が見事で、トリックがストーリーに巧く溶け込んでいます。
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数々の証拠品が収蔵された犯罪資料館。その資料から過去の未解決事件の真相を導き出すミステリ短編集。
緻密な論理と予想外の真相。そこには驚きのトリックも仕掛けられてはいるのだけれど。そのトリックは心理的・人間の心情的なトリックだというのが多いなあ。大がかりではないし一見地味なのだけれど、とんでもなく盲点に入っていて驚愕させられました。
お気に入りは「復讐日記」。一見簡単そうでした。なので真相を見抜けたかに思ったのに、それすらフェイクだったとは、とがっかりしながらも「やられたなあ」と楽しい気分になりました。これぞ騙される快感。
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これは良かった。本格ミステリーとしては短編集なんで一作ごとは短いです。しかし短いながらに本格ミステリーの面白さが描かれている。さすがです。
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連作短編小説。捜査でミスを犯した寺田は警視庁付属犯罪資料館の配属になる。館長はキャリアの緋色。犯罪資料から事件を掘り起こし、犯人を割り出したり、新たな事実を導き出す。だけど、初動捜査の経緯があまりに雑だったから解決できたんじゃないか?復讐日記は見事にやられた感がする。
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過去の事件の資料を保存する警視庁付属犯罪資料館の謎多き美人館長がすでに終わってしまった事件の真相を紐解く!
面白いことは面白かったんですが、そんな抜群の推理力があるなら現在の事件を推理させた方がいいんじゃないかと野暮なことを思ってしまいました。まあそのあたりシリーズ化でもして今後に描かれる予定とかなんでしょうか?
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細かい部分で多少ツッコミどころはあるものの、十分に楽しめた。
読者に必要な情報がきちんと開示されてる上で謎解きがされてる正統派ミステリで、登場人物も(書き切れてない部分はあるけど)面白そうなキャラクタがちらほら。
毎回似たような紹介描写がはいるのは、不定期に雑誌掲載された作品だから仕方ないのかな。ぜひシリーズ化して欲しいし、できるなら長編でも読んでみたい作品でした。
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5話の短編集。捜査一課にいた寺田聡は極秘ファイルを置き忘れする重大ミスを犯し、ファイルはネットにあがり拡散されてしまう。それで赤レンガ造りの犯罪資料館に左遷された。女上司はキャリア組で愛想が無い美人の有能で、寺田は資料館で証拠品の整理をメインの仕事としながら再捜査も手伝うようになる。真犯人を見つけたり事件の闇を発見したりする話の短編集なので読みやすい。図書館で借りた本。
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全体的な印象としては時効警察みたいなものなのかな、という感じ。
安楽椅子探偵のような緋色さんはキャラがたっているし事件とトリックも面白く読めました。
探偵ものや警察小説に読み慣れていないせいなのか驚きの連続でした。
特に復讐日記には驚きました。
続編ができたらいいな。
あっさり解決しすぎというか…もう少し緋色さんの頭の中が覗けたらなぁ。
事件発生から解決までの過程がもう少しあってもよかったかな。
それだけまだ助手である主人公とは距離があるということ?
ぢこれは続編ができただけ解決することなのかもしれません。
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キャラ付けが分かり易い読み口もなかなか。だけど舐めていると、ガツンと後で来るミステリー読みのためのミステリー。
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キャリアながら「警視庁付属犯罪資料館」の館長に甘んじる謎多き美女と、汚名を返上して捜査一課に戻りたい巡査部長。図らずも共闘することになった2人が難事件に挑む。
テレビの2時間ドラマ風という友人の評価に同意。ヒロインのキャラが立っているし。ただ作風はひねり過ぎというか、やや頭でっかちのような感じがした。テレビドラマ化されてまもなく放送されるらしいが、どう料理するのだろう?
(B)
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「ケイゾク」のアレンジと言ってしまえばそれまでだが、安楽椅子探偵度がもっと上。証拠の保全とデータ管理から浮かぶ新たな真相という視点にシンパシーを感じる。そして続編もありそうなので期待。7.5
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推理小説や警察小説はあまり得意ではありません。読み慣れていないせいか、ほとんど犯人がわかったためしがないです。それでも頑張ってこれを読んでみたら、トリッキーな設定にクラクラしました。やっぱり推理小説に向いてないのです。作者は、学生時代から推理トリックを解いたり、犯人をあてることに長けていたそうですが、いかにもそういう人が書きそうな、凝った事件ばかりでした。
えっ?テレビドラマになるのですか?延々とトリックの説明が続きそう・・・。