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大魔神といえば、特撮史上有名な、アレです。
あの大魔神。
なんとあれが、江戸時代がスタートしたちょうどその頃、
島原の乱が起こったあの頃に、大暴れすることに……あんまり、ならない。
まあ、大魔神というものは、虐げられた民衆が最後にすがって、ようやく崖の中から復活し、ラストに大暴れして終わりという印象があるが、あんな感じだ。
しかし、そこまでのもっていき方がなかなか「まだか、まだか」と思わせて、面白い。
一方、クトゥルーものという観点からすると、実に斬新。クトゥルーものであり、かつ伝奇ものでもあるのだけれども、そのグロさは、ああ、あの『水霊』の田中啓文だよね、という納得ができる。
はっきり言おう。
気持ち悪いです!
読了語または読む直前に、目黒の寄生虫館に行くと、余計にリアルにグロい気が……ぐぇ。
かの寄生虫は日本でも古くから知られていましたが、あれが体中に詰まってしまって、死んだあと、人の皮しか残ってなかった的な話が、『今昔物語集』に残っていまして、あーあーあー。
……グロいですね……。
このグロさに、『太平記』に登場する妖霊星と天狗のくだりを彷彿とさせるシーンが混ざり、かつ、柳生十兵衛が登場することで、『柳生十兵衛暴れ旅』みたいな……。
こんな、なんでもありでいいんだろうか!(いいんだ!)
盛りだくさんで田中啓文作品好きには、大満足いくこと疑いなし。