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つい、この間、何の気なしに『漫道コバヤシ』を観ていたら、“漫道コバヤシ 漫画大賞2014”をやっていた。ケンドーコバヤシさんが、独自の好みで様々な賞を、各作品に贈呈していたのだが、その賞の一つに「俺は好きだったよ賞」があり、今回、それに選ばれていたのは、長谷川智弘先生の『恋のキューピッド焼野原塵』だった。私も感想をここで書かせてもらったので、一ファンとして嬉しいのだが、それはそれで、もし、“漫道コバヤシ 漫画大賞2015”が実現し、「俺が好きだったよ賞」もあるのであれば、個人的に、この『Ultra Battle Satellite』が獲って欲しい
随分と、前フリが長くなってしまったが、ジャンプ系の格闘技漫画として、この『UBS』は中身があった、と思っている
打見先生の実力不足っつーより、恐らくは、週刊少年ジャンプの購読者が「こんな作品を読みたい」ってキモチ、願望が作る波に乗れなかった感が大きい
完結した以上、後出しだが、週刊ヤングジャンプなど、目潰しや金的などエグい表現にも寛容な雑誌の方が打見先生の実力が発揮できたんじゃないだろうか
キャラクターの戦い方に精彩があって、読んでいてワクワクさせてくれたってのも、私が『UBS』を好きな理由だが、やはり、賭け死合である点は外せない
主人公・祭矢陣(このネーミングがまた、笑える)は戦う原動力に「金」がある。ともかく、強い相手をブッ倒して、勝ちと一緒に大金を得ようと言う強烈な欲望がある。もっとも、何だかんだで、自分より強い奴がいけ好かないって感情もあって、それが尋常じゃない勝利への執念を生み、自分の身を省みない踏み込みすぎな戦い方をさせ、私は魅せられた
金にも地位にも興味はなく、ただただ、強い奴と戦い、己を更に高めたい、そんな戦いに純粋な気持ちで挑める主人公で人気を得るとなると、それこそ、『修羅の門』くらいの質がなければ、このご時世、無理だろう
格闘技は大金を動かせる、強者は大金を得られる、それは現代社会じゃ紛うことなき事実だ。その濃すぎる現実感が、少しばかり、WJを読んでいた少年の心を掴み損ねてしまったのか
もうちょっと、ラブコメっぽさを出してたら、違ってたんだろうか・・・いや、逆効果になってた可能性が大か
ちょいちょい、パンチラシーンがあったが、技の冴えやキレの方に目が行っちゃって、エロいって印象は受けなかったのも事実だ
一貫して血沸き肉躍る戦いばかりだが、やはり、文句なしで一位にすべきは、連載の「その後」、つまりは陣vs羚の決着を描き切った、R18.ファイナル・ファイトだろう
陣と羚、どちらも力、技、心、全てを出し尽し、「俺の方が強い」、「負けたくない」を露わにしてぶつかる様に、胸が奮えない男はいまい
WJでの連載も、気になるトコで終わっていたが、コミックスの方も、これからまた、今まで以上の波乱、一悶着、超絶激闘が起きそうな気配を匂わせて終わっていて、「うわっ、やられた」って感じだ
再び、格闘技系で勝負するのか、それとも他ジャンルに挑戦するのか、それは定かじゃないが、打見先生は今後も期待したい漫画家だ
この台詞を引用に選んだのは、『UBS』���しさと、祭矢陣って言う強者の芯を如実に表現しているから。似ていても、分かる人間には違うと分かる信念、それを持ってる男はカッコいい