紙の本
道に迷ったら、沢を下るな!!!
2018/06/10 17:16
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投稿者:たまがわ - この投稿者のレビュー一覧を見る
道迷いから遭難に至り、何とか生還した実例が7件紹介されている。
「おかしいなと思ったら引き返せ。」
「道に迷ったら沢を下るな。尾根に上がれ。」
というのは本書にも何度も出てくるし、有名な教訓でもあるけれど、
本書に出てくる例では、山歩きの経験者であっても、様々な要因から
結果的にこの逆の行動を取り、遭難に至ってしまっている。
道が不明瞭で、木の枝に巻き付けられている赤いテープを目印にして進む、というのはよくあることだけど、
まさにその行為が原因で、道に迷い遭難に至ってしまった、という例も何例か出てくる。
つまり正規の山道ではない道に、例えば沢登りをする人たちが沢から登山道に出るまでの目印としてとか、
何の用途か分からない道にテープが巻かれていたりとかして、
登山者がその目印を頼りに進んで行くと沢に行き当たったり、もうこれ以上進めない場所に出たりする。
そして無理をして強引に下りてきたため、もう上り返せなくなっていたりする。
さらに斜面を転落したり、家屋や自動車の幻覚を見てそちらの方に進んでしまったり、
雨が降っていたり、コンタクトレンズを落としたり、滝つぼに転落して骨折したりと、様々な要因が重なる。
迷いやすい山域を歩く人ならば、遭難は誰にでも起こり得ると分かる。
逆に本書に出てくる例では、30人の高齢者グループが多少の道迷いはしていたものの、
単に下山遅れで一晩ビバークをしただけなのに、大量遭難としてメディアで大騒動になってしまったという、
「マスコミ遭難」の話も出てくる。
この例の教訓として著者は、関係者が警察に遭難として届け出るべきタイミングについての、
事前の打ち合わせの必要性を訴えている。
なぜなら、下山の時間が予定より遅れることは山登りでは日常茶飯事のことであり、また、
そのために一晩ビバークする、ということもあり得ることだからだ。
このグループが道を間違えたポイントについて本書の中で、『山と渓谷』二〇〇四年二月号で
解説されている記事が紹介されていて、
<三叉路だが、直進する山道のほうが明瞭で、左側の372mピークに登る道は枝道にしか見えない。
しかも直進する先に石仏が鎮座しているため、ますます正規コースとの印象が強まる。
道標はなく、赤テープも両方の道についているため、ほとんどの人は直進してしまうだろう>
と写真付きで書かれている。その写真では間違えやすい道のほうにはロープが張られ、
立入禁止の札がかかっていた。
このグループはここを間違えて直進し、コースはやがて沢に突き当たり、沢沿いを行くようになる。
『 ところが、沢沿いのコースはところどころで崩壊しており、それらを高巻いて越えるのに
予想外の時間がかかってしまった。結局、小一時間をかけてどうにか林道に出たときには
午後四時を回っていて、あたりも薄暗くなっていた。』
『 まず、林道に出たはいいが、この林道が清澄山に続いている林道なのかどうかの
確信が持てなかった。というのも、林道が清澄山とは逆の北の方向に向かっていたからだ。』
そして
『事故を起こさないためには危険を冒さないほうが賢明だろうと判断し』ビバークを決断した。
電子書籍
山の怖い話
2022/07/07 12:40
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投稿者:ももくり - この投稿者のレビュー一覧を見る
日常から非日常に転落するのはほんの僅かな違いからなのだと言うことがわかる。下手な幽霊話よりよほど怖い。
ストレスのかかった状態で人はどのように行動してしまうのかがありありとわかるので、登山する予定がなくても読んで損はないです。
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いかに引き返すことが難しいか、自分に都合よく判断してしまうことを止められないか、事前にきちんと準備をしておくことがなかなかできないか、がよくわかる。
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道に迷い山中をさまよう道迷い遭難7件。
遭難とは言えないが世間を騒がせてしまった話や
思い込みから迷い続け そこから抜け出せなくなってしまう話など。これらを教訓に持ち物や山行への意識など見直したいと思う。あとがきで 救助にかかった金額がありゾッとしている。
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そこらへんのホラーよりもよっぽど恐ろしい本だ。
私も本格的な登山ではないが、トレイルランやスピードハイク等で近所の山に軽装で入ることが多いので、まったく他人事じゃない。
実際、「あ、これちょっと道間違えたな、まあ方角は大体分かってるしこのまま突っ切るか」等と軽く考え、薮漕ぎしたり滝を超えたりしながら強行突破したこともしばしばあり、反省しきりでもある。
山で道を間違えたら引き返す、というのは鉄則であり、この本で紹介されている遭難例もその鉄則に背いたが故、というのがほとんどだ。
決して山をナメたらいけない、という怖さを改めて心に刻むとともに、次に道を間違えたら必ず分岐まで来た道を戻ろうという決意を新たにした。
また、勝手知ったる山域や近所の低山でも気を緩めることなく、短時間で帰るつもりであっても、行動食、ライト、防寒具、雨具等を極力携帯することも重要だろう。
人はやはり獣にはなれない。
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おかしいなと思ったら引き返せ。
沢は絶対に下ってはいけない。
一般的な人間の心理を知っておくことはとても重要だ。
2017.8.26
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ボーイスカウト活動の指導者の会合で紹介された本。本格的登山だけではなく気軽な山歩きでもふとしたことから遭難してしまうケースの実例が紹介されている。いずれも生還しているが本当に一つ間違ったらあぶないという件ばかり。私自身は一番小さな子たちの担当なのでそこまでの場面に遭遇することはまずないけれど、本当に「引き返す勇気」の難しさや「まさか自分がそんなことに」という人間心理をつきつけられた。ちょうど各地で災害が起きていて、その時にも同じ人間心理がテレビで紹介されていたので、ますますの戒めとして肝に銘じたい。
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道迷い遭難をし、そして生還した人々のインタビュー集。
現在の登山環境とは かけ離れた状況も多い(スマートフォンのGPSアプリの有無など)が、人はどのように考え、遭難して行ってしまうのかは非常に参考になる。
焦り、そして現在位置の取り違えがどのような結果を生むかがよくわかるエピソードが多かった。
もちろん、紙地図とコンパスなどバックアップは必要だが、それでもスマートフォンで手軽にGPSを利用できる現代は非常によい時代だ。
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遭難した方達のお話が載っていてとても勉強になりました。遭難したら元の道を戻るとか下に降りてはいけないとか鉄則があるにもかかわらず人は先に進んでしまうし下に降りてしまう。非行や不倫もそんな感じかなあと、遭難について考えるとともにいろいろ勉強になりました。そして人はこの本を読んでもやっぱり鉄則を守らず遭難するんだろうなあと思いました。
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山岳遭難でよく聞く、雪山での遭難などではなく、「道迷い遭難」が40%を示すそうだ。
名前の通りちょっと道に迷い、そうしてそのまま遭難してしまう。
この本は道迷い遭難に遭い、帰還した人たちから話を聞いたドキュメンタリーである。
「家族に心配をかけると思って」「このまま頑張れば夕方までには帰れるんじゃないかと思って」というケースが多い。そして、沢を下る。遭難したときは峰に上れというが、不安なとき、安心できそうな道、帰れそうだからと下るケースは本当に多いのだろうなと思う。
ダメなときはダメ、不安なら不安、引き返しても大丈夫な体力、余裕がないと山は危険なのだなぁと思った。
この本を読んでよかったと思う機会にはあいたくない……。
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「生還」に続き、こちらも読了。
うーん、やはり読み応えがありますね。
生への執着でしょうか…、物凄い大怪我をしているのに生還しているケースも多くあり、人間は意外と頑丈に出来ているってことなのかな?と色々と考えさせられました。
山登りはしませんが、もし遭難したら自分だったらどう行動するのかな…。
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以前図書館で借りて、道迷いの怖さを理解したけど、直近でハセツネの講習会で読図講習があったこともあり、今回もう一度手に取りたいと思って再読した。
何度読んでも道迷いって怖いなぁと思う。
迷ったら下るな!…これ鉄則。
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勉強にもなるし、おもしろかった。心と体調と時間の余裕がなくなると、人は冷静な判断ができなくなるものですね…。
・「道に迷ったら沢を下るな」は本当に鉄則
・思い込み厳禁!あれ?と違和感を感じたら立ち止まること
・おかしいなと思ったら、引き返す。面倒くさがって、えいっと進んではいけない。引き返す勇気!
・動物のフンがあちこちに落ちてたら、普段人が踏み入らない場所の可能性が高い
・自力で登り返せないルート(滝とか)をくだると詰む
・無駄にウロウロして体力を消費しない、体温を失わないようにするのも大事
・届けた計画書と違うルートに行くと見つけるのに時間がかかる
・遭難すると人は幻覚をみる
・ヘリに発見してもらうにはものを燃やす手もある(もちろんコントロールできる範囲で)
・悪天候で無理しない、必要装備をちゃんと持つ
・地図大事(YAMAPがある時代でよかった)破線ルートは要注意
・どんな山でも事前の情報収集は怠ってはいけない。余裕のある登山計画を
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久しぶりに遭難本。
リアルな話は登山をしない私も引き込まれて読んでしまう。
色々遭難本をよんで知識だけは増えていく。
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もうここまで降りてきちゃったし・・・このまま行けばどこかには出るだろう・・・このテープを辿って行けば・・・
谷には降りるな・引き返せ、という原則を知っていても、同じ状況になったら私も正しく行動できる自信はない。まして1人だとなおさら、正しい判断ができなくなってしまう自分が想像できる。
でもどうしてだろう、読めば読むほど、山に行きたくなる。