投稿元:
レビューを見る
僕が入社したのは、悪徳ブラック企業!?過酷な労働と精神的負担で営業部員は半年で辞めていく中、事務職の僕は無難に仕事をこなし二年目に。唯一の楽しみは、会社や駅のトイレでくつろぐこと。素性不明なトイレ常連メンバーたちと静かな個室争奪戦を毎日繰り広げる。しかし、ある電話がきっかけで、日常が一気に崩れ出す。限界に達した僕は、退職を決意するが…。
投稿元:
レビューを見る
羽田さんは、前から興味があり、初めて作品を読んだ。良く言えば、超現代風。悪く言えば、下品。正直、あまり好きな作品ではない。
御不浄バトル
荒谷のサクセス
投稿元:
レビューを見る
【御不浄バトル】
不安から逃れるように、壁に守られる僅かな空間をいかに死守するか。
隣に誰かいるという、スリル。
待ってる人がいるという焦燥感。
そんな狭い空間と、会社のストレスが交じり合う。
最早、性癖。
周りの異常性を訴える人間は、既に異常なのだ。
【荒野のサクセス】
近くにいたトイレのあいつが、こんなやつだったなんて。
なんか、読んでると悲しい。
果たしてサクセスなんだろうか。
空回りの虚しさが、寒くさせる。
投稿元:
レビューを見る
けっこう感想が二分してるけど、私は好きだった。
特に御不浄バトルの話が、主人公にやや共感できる。初めての社会生活と、今までの自分の人格とで、どこか矛盾や鬱屈とした精神抱えるよなあって理解できる。
私が主人公と同い年くらいなのもあるんだろうけど、2010年よりも今の方が主人公の性質を理解できる人が増えてる気がするな。
解説でも言われていたけど、ブラック企業の社会問題も大きく声が上がる3年前にこの小説が刊行されたとのこと。たぶん早すぎたんじゃないかな。今の若者の方が絶対に共感できると思う。
あと、いかんせんトイレの描写が多くて、しかもやたら詳細に書いてくれている。小説にこういったものが描かれることに品がないとは考えてなかったな。逆に品のある小説ってのもあるんかよく分からないけど、要はみんな生理的に嫌なんだな。人のトイレが。
なんかトレインスポッティングを思い出しました。
あとトイレでダッチワイフとかのイカれた雰囲気が、頽廃的で良かった。主人公は悪徳な会社を、自分の社会保障のためにも狡猾に辞めたい。そのメンタリティとイカれた行動があっているような気がした。
投稿元:
レビューを見る
「ブラック企業」という言葉が話題になる5年前に刊行されていたことに驚き。
当時あまり売れなかったというのは、時代の先を行きすぎてたのかもしれませんね。
今ならば、すっと入ってくるというか、良くも悪くもブラック企業が想像しやすい。
ブラック企業の中にも日常があって、生活があって、なんかしんどくなりました。
トイレが憩いの場所というのは、多かれ少なかれあるのではないかなと。
会社員だと、一人きりになれる場所って、なかなか作れなかったりしますよね。
ただ、ここまでしっかりトイレ時間を描いてる作品はないんじゃないかなと。
かなりリアルなので、お食事に影響しない時間に読むことをおすすめします。
解説は、古市憲寿さんです。
羽田さんの他の作品にも触れられていて読んでみたくなりました。
投稿元:
レビューを見る
羽田圭介によるブラック企業小説でありトイレ小説でもある本作。
社会人にとってトイレとはある種の憩いの場である。労働時間であろうとそこにいる時は労働から逃れることが可能となるのだ。
本作で主人公は高額な教育商材を売り捌く悪徳企業に経理として勤めている。パワハラをそれなりに横行している社内には「言い訳禁止、結果史上」なんて標語も貼られるようなブラックっぷりだ。
ブラック企業という概念は本作発表当時まだ生まれて間もない、もしくは生まれてないような時代だったようが、この社会的なテーマを作品に混ぜ込んでいる羽田圭介の着眼点は流石である。
羽田圭介の作品の特徴といえばやはり肉体的表現にあると思える。言葉選びとしても遠回りなものを選ばず大便の排出描写を入れたり、女性に対する欲情のうごめきをそのまま描き出したりもする。こういったものは一部の層からは気持ちが悪いなどと思われるであろう要素であるが、直接的な肉体の表現というのもは人間自身の最も根源的な感覚を呼び戻させ、純文学としての人を描く素直さの表れの一つとも言えよう。
投稿元:
レビューを見る
トイレを舞台にしているというのが、斬新で面白かったです。ただ単にトイレの争奪戦だけでなく、休息の場としてのトイレの面も見せてくれて新鮮でした。トイレという一瞬の場でも個々の人の人間性が垣間見えるのが興味深いですね!段々と変態じみたトイレの使い方になっていくのはご愛嬌…ですかね笑
投稿元:
レビューを見る
羽田圭介、初読み。
文章も読みやすくて面白かった。
えっ、これで終わり?って感じで、話がプツッと途切れるように終わるところもなんだか不思議なあと味を残して良かった。
ただ便所飯だけは、共感できず・・・でした。
投稿元:
レビューを見る
トイレ(うんこ)という、表立って取り上げられることが少ない、しかしながら人々にとって極めて身近なテーマがタイトルになっている本作では、生活リズムの中で多くの人がすれちがう「公共の場所にあるトイレ」がキーポイントになっています。
会話をするわけでもなく、どこの誰か、何をしている日とかも知らないけれど、毎朝のトイレで顔を合わせたり、隣り合う個室で時間を共有する他人との時間や、職場のトイレでの一幕など、物語の要所要所ででてくるトイレでの過ごし方の描写は、生々しくリアルです。
ブラック企業で働く主人公を描いた「御不浄バトル」とそのスピンオフ作品である「荒野のサクセス」が収録されています。
たしかに、「きっとこういう人はいるよね」という感想は抱きますが、読み終えて爽快かと問われると少し悩みます。
社会で(あるいは会社で)自分の仕事に自信が持てない若手の悩みを描いているようにも感じましたし、作者の「らしさ」が良く出ている作品であるようにも感じました。
投稿元:
レビューを見る
中編と短編の2作品からなる。
表題で中編の御不浄バトルの主な舞台は、トイレの個室と職場。
主人公は、仕事に向かう途中で必ずトイレの個室で大便をすることが、
日常となっていた。
職場は、新卒で就職したが、とんでもない悪徳企業であった。
大卒ということもあって、悪徳業務ではない事務として採用されていた。
しかし、その悪徳業務に携わらざるを得なくなり、仕事を辞めるために翻弄する。
短編のほうは、ヤング男性向けファッション雑誌を出版している零細出版社に
務める社員と部下やバイトとのやり取りを描いた作品。
御不浄バトルでのトイレシーンがどうしても受け入れられない人も
いるかもしれないし、受け入れられればギャグ要素もあり、楽しく
読めるのではないでしょうか。主人公がトイレでいろいろと画策し、
ストレスを発散し、当時からあった言葉か定かではないですが、トイレ飯を
行ったりと、ある意味ぶっ飛んでいて不快な気持ちもありつつ、慣れれば
楽しめる場面として読めた。