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この作品を読み終えて気づいた。
鏑木ミステリーの中でも警察ものは
救いのない結末が多い。
しかし、描き方は他の作品と
異なってはいなかった。
人の心の奥底までのぞき込む描写力。
その力が、犯罪という狂気の沙汰に
向けられた時…そこには救いようのない
人の心の愚かさが照らし出されて
しまうのだろう。
鏑木蓮のミステリーは
二つに分類されるのかもしれない。
人の心の光と闇。ありきたりかもしれないが。
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被害者は女性染織作家。以前の事件から20年、その間の生活から生まれてきたそれぞれの時間が今回の事件を呼び込んでしまう。なんて哀しいんだろう。それぞれが懸命に生きていただけなのに。違う道への分岐を選べなかった事を無念に感じる。この事件を乗り越えて少しでも心静かに過ごせる時が来ますように。
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美津子さんを殺害した人は序盤の方で気づいた。しかしその理由は終盤までわからなかった。いざその理由をわかると切ない気持ちに襲われる。そんな一冊。
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どんな人間もみな等しく葛藤がある。社会的地位や年齢や性との関わりなく葛藤なしに生きる人はいない。その意味ではみな平等だ。
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妊娠が発覚し困惑する、敢えて女性らしい服装の三十三歳の警部と、長身でスーツ姿の畏まった新人刑事の女性コンビが殺人事件を追い、夜の店で働く京都弁のナミエが養子であると気付いた恋人に代わり彼の実母を辿る。藍の染織の深みが綺麗。育てられない出産と母性が印象深い。全編通し落ち着いた語り口。婦女暴行が難しい。