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近年のインターネットの急速な普及を主たる背景に、かつては相当の対価を払って得ていたサーヴィスが驚くほど安価になっている…、という経験には誰しもが思い当たることだろう。
また、Webから離れても、例えばカーシェアリングというシステムが特に若年層を中心にこれほど受け入れられるとは、団塊ジュニア世代の私としてはちょっと不思議だったりもする。
本書で著者のジェレミー・リフキン氏が指摘している通り、車に限らずミレニアル世代のシェアリング傾向が高まっていることは間違いない。
先進国のみならず途上国においても、現代の経済構造を大きく変革するパラダイムシフトがまさに起きている最中であることは否定しようがない。
著者はその大きなうねりに対して、多角的にスポットを当てて、主観を交えながら現状を解説してくれていて、現在進行形のグローバルな動きを知っておくという点において、とても意義のある一冊だ。
既に急激に下落しつつある、データの流通における限界費用が今後ますますゼロに近づいていく、という予測はほぼ間違いないとして、ではそれにまつわるイニシャルコストや、過程で必要な知的労働の対価等は誰がどうやって負担するのか、という問いに対する答えとしては、公共税として国民から広く徴収する、というものしか結局ないのだろうか?
どう読んでも著者のポリシーの背骨となっているのはある種のコミュニズムなわけだが、これから実現させるべき世の中の仕組みを、瓦解して久しい共産主義社会と一体どう差別化していくのか、そしてそれは本当に持続可能なシステムなのか、そのあたりの疑問は依然拭えない。
そして当然IoTに関してはセキュリティの問題もあり、いくらミレニアル世代の価値観が我々と異なっているとしても、ビッグデータを取り扱う人間側の欠陥をまったくのゼロにしてしまうのは不可能である、という不可避な事実があるわけだから、IoT化が進むほどに深刻なトラブルがどんどん露見するだろう…、と悲観的な予想をしてしまうのも仕方がない。
畢竟、ガンガン進化を遂げていくソフトウェアを動かさねばならないハードウェア、つまり我々人間がいかにヴァージョンをアップデートすることができるか、ということにかかっているような気がする。
巻末に特別章として収められた日本に関する著者の考察については、実はそれほど期待はしていなかったのだが、読んでみると現状分析は非常に的確で、説得力に満ちている。
まさに、中途半端、という言葉が見事に日本経済の針路を言い表している。
他、本書の全体的な感想として、あらゆる考察を詰め込み過ぎてヴォリュームが過多であるように思った。
枝葉をもっとシェイプしても著者のフィロソフィーは充分伝わるし、その方が読み易くもなるだろう。
通読するのにここまで時間が掛かった本は初めてかも。
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膨大な資料と参考文献からまとめられた考察された本。分厚いのでざっと読み。
協働型コモンズ。
コミュニケーション、エネルギー、ロジスティック。
IoT 3Dプリンティング MOCC教育、プロシューマー。
自主管理、フリーソフトウェア、インテリジェントインフラ バーチャルスペースの独占企業
所有からアクセス、クラウドファンディング。
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IoTによりコミュニケーション、エネルギー、輸送の新たなインフラを形成し、限界費用をゼロまで押し下げ、その結果、資本主義の凋落は必然となる。
経済の専門家では到達できない内容、刺激的です。
IoTのインパクトが単なる生産性の向上といったビジネスの仕組みを変えることに留まらないことが理解できる。
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世界の中でガラパゴス化にならないように願いたい。先を見る目、先端にたつ勇気がほしい。そのための思考や技術はあるのに…
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我々の社会の未来をここまで刺激的かつ具体的にまとめあげた本はなかなかないのではないだろうか。それくらい面白い。
500ページ弱となかなかのボリュームではあるが、以下のような要点に収斂される。
■IoT、AI、ロボティクス、3Dプリンティング、スマートグリッドといった近年のテクノロジータームの新しさは「限界費用がほぼゼロで新たな財を生産できる」という点にある
■資本主義社会は資本を集中させ生産性を高めてきたが、そろそろ生産性の限界に達し、かえって労働者を不要とすることで貧しい人々を生み出すという「資本主義のジレンマ」とも呼べる事態に陥っている
■そうした中で、従来の資本の担い手であった政府(=国有化)、民間(=民営化)とも違う第三の資本の統治形態としてコモンズ(=共有型)が着目されるべき。実際、社会関係資本(Social Capital)への注目や、共有型経済(Sharing Economy)の台頭は、この文脈で理解される。特に共有型経済においてはこれまでの資本主義とは異なり、資本や生産手段の分散化が図られるという点が重要
■歴史的に見れば、文明や社会の変革は、
・コミュニケーション
・エネルギー
・交通/輸送
の3つのインフラがリンクしながら変化することで引き起こされている。IoTは限界費用がゼロという特徴から、まさにこの3つを抜本的に変化させる可能性を秘めており、共有型経済に必要な分散化を実現するのに最も適した技術。数十年の時間は必要ではあるが、間違いなくこの流れは第三次産業革命として、今後の社会を大きく変革させていく
特筆すべきは上述のテクノロジータームについて、限界費用ゼロという共通項を導出したその観点の鋭さにある。限界費用(Marginal Cost)とは一般に経済学において、新たな財を一単位生産するにあたって追加で必要となるコストのことを指す。よって、限界費用がほぼゼロの世界においては、生産前の初期投資は必要であるものの、いったん初期投資さえ済んでしまえば、追加のコストはほぼなしに財を生産できる(これを会計学のワーディングに置き換えれば、固定費はあるものの、ほぼ変動費がゼロで財の生産ができる、ということに等しい)。例えば、ロボティクスは人間を介在させないことで人件費を省き、ほぼ電力コストのみで財の生産を可能とするし、スマートグリッドにおいてはネットワークに組み込まれた再生可能エネルギー源(太陽光、風力など)からほぼ限界費用ゼロでエネルギーを創出することができる。
個々のテクノロジータームの正確な概念描写等は脇に置いておくとしても、これだけ広範な概念をこの一冊にまとめあげた価値は非常に大きい。
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30年前にエイモリー・ロビンスが「ソフトエネルギーパスで提唱した分散型のローカルエネルギーにさらに分散型ロジスティックとコミュニケーションをプラスして、第三次産業革命を提唱している。
ロビンスの思想がIOTで実現される時が来た。
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非常に面白い。レイ・カーツワイルの『Singularity is Near』が指数関数的成長をビジョナリーを語ったものとするなら、本書は学術的寄りに歴史から指数関数的成長の到来を考察した一冊だ。
Marginal Costが限りなくゼロ化することで、利益マークアップの資本主義が弱まり、協働型コモンズが訪れるという主張は相当の説得力がある。IoTによる超効率社会とエネルギー・インターネットによりエントロピーが矮小化した潤沢な社会は、希少性を重んじていた我々現代人とは全く別の世界の到来を予感させる。
前半は経済学書のような骨太な考察が楽しめるが、中盤以降は協働型コモンズの萌芽、つまり現段階の事例紹介が多い。前半のような論理的展開で、協働型コモンズとなった社会の経済状況、資本主義からのシフトなどが読みたかったので、そこだけはやや物足りなかったため減点。
とはいえ兎に角新しい経済システムを提示する興味深い一冊だ。
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IoTとシェアリング・エコノミーという現代のバズワード的な技術動向を産業革命と社会(ここではコモンズ)変化の側面から表した1冊。特にエネルギーの重要性を再認識させられる。
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未来を予測するには、一度思いっきり極端な方に振ってみると良い。そういう意味で、極端なまでに限界費用ゼロ社会/協働型コモンズの普及を説いているこの本は、将来の予測のために役に立つ。
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一見正しそうに感じるが、システムを構築するためのコスト・見えない負担などが上手く隠されているように感じ、理想論になってしまっている印象。
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★資本主義を突き詰めるとシェアリングエコノミーになる。稀少な資源を奪い合う時代から、潤沢な資源を分け合う時代へ。そのための障害は、地球温暖化問題、食糧問題、テロの問題。3つをいっぺんに解決できないだろうか。例えば人工光合成みたいな技術で。ミドリムシもいいかも。
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なんとなく気になっていた「限界費用ゼロ社会」、詳しく読んで納得。今後の社会の変化の基礎となる、前提条件を学んだ気がする。限界費用ゼロということは希少性を生み出すことができなくなるわけで、購入=所有では利益が出せなくなる。シェアリングエコノミーの勃興はこれがベースになっていると考えると腹落ちする。著者は、エネルギーさえコストゼロに近づくと予想していてその先端がドイツであると評価。日本は建設コスト・維持コスト・管理コストが高い原発にこだわっていて両者の差は広がるだろうと予言している。一方、西洋では当たり前の「共有地の悲劇」が起こらない数少ない地域が日本であるとして期待もしている。
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シェアリングエコノミーの話をこえた未来予測に非常に感銘を受けた。
これまでの第1次、2次産業革命の社会の変容と合わせての現在起こりつつある第3次産業(社会)革命ととらえるアプローチが斬新かつ面白かった。
これらの革命は決して、産業にとどらず社会自体をかえていく、第3次革命がたどり着くところが、1次革命以前のコモンズ(共有地)と言う。ただし、規模はインターネットを基盤とする世界規模の。
そこには、資本主義の次に来る、協働社会。語られている事象をとらえれば、確かにこのまま資本主義が続くというより協働社会の実現を感じずにはいられない。
その原動力は、物欲より共感を重視するミレニアル世代。
ミレニアル世代は、周りに手に届くところにすでにモノやサービスがあふれそれを所有することに価値を見いだせないというのも納得でした。(決して、欲望がないのではなく、欲望の価値観が違う。)
最後の特別章「岐路にたつ日本」も非常に的を得た提言でした。ドイツに比べやはり危機感の足りない日本。日本がたぶん世界でもっとも技術的には、限界費用ゼロ社会の実現がしやすく、かつ必要性があるにかかわらず、相変わらずの垂直統合的資本主義に縛られている、この本が発行されたのが1年前なので、少しは進展しているように感じますが、たぶんさらなる加速が必要ですね。それが日本の将来の姿であればいいと説に願います。それが来年1年でさらに顕著になればいいですね。そして自分がこの時代の変化にどう適用していけるかを考えていかなければならないと感じます。
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インフラの
コミュニケーション
エネルギー
輸送
の一体的な革新により、価値の軸とビジネスモデルの勝ち筋が大きく変わる
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「限界費用」つまり、プラス1単位の生産コストがゼロになったとき、人々は「所有」の概念から解き放たれることになる。そこに出現するのはユートピアか、ディストピアか。
再生可能エネルギーで皆が自活するようになり、3Dプリンターでなんでも手元で作り出せるようになり、すべてがネットワークでつながることで、所有からアクセスへの大転換が起こるとする。それは、資本主義社会の終焉でもある。ロボットが労働を駆逐し、生活に必要なものがなんでもピア・トゥ・ピアで融通されると、労働者は資本家から報酬を得る代わりに、協同的に働き、協同的に消費するようになると説く。
現在、起こりつつある技術の変化を革命的に読み替えるとこうなるというか、行き着く先の究極を予想していくところにおもしろみはある。しかし、突き詰めて考えられてはいるが、論理に飛躍があることは明白であり、読む人によっては1冊丸ごと夢物語的な感想を持つかもしれない。