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西ヶ原の回想が懐かしい。東京外語OBには必読かも。亀山先生と原卓也先生とはこんな関係だったのかと思うと、改めて興味深い本である。
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ドストエフスキーを齧った者なら、
書店で並ぶ本書を見て、ある種の驚愕が走ったであろう。
新カラマーゾフの兄弟。ここまで大胆なタイトル、著者はあの亀山郁夫。
なるほど、ここまで大胆なのにも納得できる。
カラマーゾフの兄弟と絡めながら読み解いていくも
上巻だけで相当な量である。一筋縄ではいかない。
現代の日本、とは言え時代は1995年。
阪神大震災、そしてオウム事件と日本が震撼した年。
時代設定にこの年代を選んだのも、なるほど納得である。
旧ソ連の崩壊、そしてロシアの誕生。
国家の滅亡と誕生を目の当たりにした黒木リョウは何を思う?
まだまだ壮大な下巻へと続く途中、先を急ごう。
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黒木兵午とミツル、イサム、リョウの3兄弟、料理人須磨幸司、そして瑠佳、香奈という重要な配役は本編のキャラそのもので、現代1995年頃を舞台として、父・兵午の13年前の謎の死からの物語を紡いでいく。Kの手記と黒木家の兄弟の2つの物語が進行していく書き方は村上春樹ばり、「1Q84」を読んでいるような錯覚さえ感じる。Kが著者自身であることを年齢・大学名などから隠さない。どう展開していくのか興味を惹く。「フクロウ」事件、Windows95登場が悪魔の支配を予見することも春樹本を想起させる。イサムとリョウの「大審問官」談義、神に代えての国家、幼児虐待に関わる会話。兵午の死の謎を巡るイサムと須磨の会話などが本編を繰り返す形で再現することが非常にスリリングで楽しく!正に謎解きの喜び。
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なかなか読みづらいようにも感じますが、地下室の手記よりは読めます。
あっちこっちと寄り道するところも含めて、群像劇的だと感じました。
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私の主人公に愛を込めて。
『カラマーゾフの兄弟』を読んでいて、かつ、1995年という時代(阪神大震災やオウムなど)の空気を知っていないと、この話を読むのはしんどいと思った。Kの手記と黒木家の物語が交互に入ってくるのは、どこで関わってくるのだろうと読み進める吸引力にはなったけれど。でも、いかんせん長くて半分を超えたくらいで辛くなってしまった。そういえば、ドストエフスキーの方も、半分を超えたあたりでギブアップしそうになったような。
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たまたま設定日と同じ9月5日に読破。
K教授は亀山さんのこと?ドストエフスキーのことも代弁しているのか?
下巻に続く。
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本作を読むために、元祖ドストエフスキー作の『カラマーゾフの兄弟』を読了して、しばらく経った。特別な理由があって期間を置いたということでもないが、あまり原作の先入観を持ち過ぎずに読むには、ほどほどの期間だったような気もしている。
本作は1995年の日本を舞台にしている。この設定は意味深長だ。1995年といえば、オウム真理教が大規模テロ活動を行った。阪神淡路大震災の年でもある。この時代に、作者は『カラマーゾフの兄弟』に登場する三兄弟とともに、使用人だったスメルジャコフを出現させ、「父殺し」の物語を再現してみせる。といっても、ドストエフスキーのコピーではない。そもそも、ドストエフスキーがいたロシアと違って、1995年の日本ではすでに父権など失墜してしまっている。そうした背景で、日本も戦争を回顧する時代から、身近なテロリストに怯える時代へと変化した。バブル景気もはじけ、インターネットがやすやすと国境を越えた時代に、ドストエフスキーが描いた家族、国家、神を、父殺しの謎を、亀山氏はいかに描くのだろう。それは下巻を読まねばならないが、著者がこの物語に傾けた「熱」は上巻でも充分に伝わってくる。
著者がこの小説に書いた「予言」はすばらしい。ソ連崩壊後の米国への一極集中は容易に想像できるとして、ソ連に代わって台頭してくる中国を見事に言い当てた。さらには「一億総中流」だった日本も、他国のように富の集中が起こり、格差が拡大することも予言している。これは昨今、しばしば話題に上るトピックではないか。
インターネットが国境を曖昧にし、国家間で戦っていた「戦争」は「テロリズム」という形で私的なものに変貌をとげた。国家の信頼は地に堕ちて(それにつれ、政治家たちは国家をも私物化し始めた)、父権は失われた。これよりは、小さなコミューンが乱立して、これらがときに対立し、人々は大きなよりどころを見失っていくだろう。そうした時代の先に訪れるものは何なのか? 父殺しの謎とともに、下巻での著者の予言を楽しみに待ちたい。
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ひょんな事から知った作者の本を読んでみようと、カラマーゾフなんて何も知らずに手に取った。
通勤時間に読むようなボリュームではなく、読み返しながら読了。
そもそものカラマーゾフに関する部分は読み流しても、それなりに面白い。
新興宗教や価値観などの話。
ロシア崩壊の後に読めばまた違う感想なのだろう。
多数の伏線を回収しながらのため、うっかり話を忘れてしまう。
神に関する考えは興味深い。
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光文社版の「カラマーゾフの兄弟」の全訳をされた亀山氏による小説。”新”などと銘打っているし「未完の大作ついに完結」などとする宣伝文句で売り出された本書だが、実際は1995年の日本に舞台を移して書かれた二次創作的な小説である。著者自身がモデルとしか思えない「K」なる人物がドストエフスキーとチャネリングするシーンがあるなど、かなりぶっ飛んだ内容で、終始戸惑いを覚えた。
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私もカラマーゾフの兄弟の新訳かと思っていた一人です。舞台も日本で時代も現代になり、読みやすいかと思いましたが、難解でした。登場人物の関係性も複雑で、時間も前後するので、混乱しました。一読では理解不十分という感じで、下巻も読むか悩んでしまいます。原作はもっと大変なんだろうな。名作って難しいのね。