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江戸時代の石田梅岩が提唱した石門心学からみる現代において見直すべき部分や筆者の考察について書かれた一冊。
梅岩の文献を引用したうえで商売や倹約の本質や助け合いの精神などがドラッカーやアダム・スミスとの比較を用いながら著者の考察とともに書かれていました。
社会という共同体で生きていくために利他の精神で仕事や商売に邁進することが自分の本性を正しく理解できる方法であることを本書全体を通じて感じました。
また、アダム・スミスの見えざる手に道徳感情論の議論が前提にあったことや士農工商の身分制度があった江戸において商の存在意義を提唱したことなど自分が知らない発見もありました。
また「形による心」や愛国心と市民性の話は非常に深いもので自分のなかで新たな視点を得ることができました。
梅岩の石門心学は個人の精神的な部分だけでなく、社会を形成していくうえでも現代に通用するものであると本書を読んで感じました。
戦後の日本経済が成長していくなかで失われたものが心学のなかにあるということも同時に感じました。
本書にある心学の教えを心にもって歩んでいくことがこの国の社会の進むべき道、あるべき姿に導いてくれるのではないかと感じた一冊でした。
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●石田梅岩について読んだ関連本は、この本で2冊目となることから、重複する部分もあり、『魂の商品 石田梅岩が語ったこと』よりは感動が薄れた感がある。但し、この本には、この本にしか書かれていない貴重な部分もあり、★4つとした。
●この本には、梅岩のもう一つの著書『斉家論』にも触れていることが特色である。
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・石門心学が、経済や経営の「学」を人々に提供した。
・石門心学は、日常への意味づけを行った。日常のあらゆる行為の意味を考えさせ、その一つ一つを確かなものとし、人々に尊厳を与えた。
・商人は世の人々に共感されるような感情と行為を心がけて、仕事をしなくてはならない。
・財とは、自身が所有する物ではなく、世の中の物である。
・真の商人は、先方も立ち行き、自分も立ちゆくことを思うものだ。
・世界のためん、従来は3つ必要だったものを、2つで済ませるようにすることを、倹約というのである。
・人の形(置かれた状況)とは「自分の職分」である。
・心学の教えの最も肝要なポイントは、何か問題を感じ取った時、環境を批判するより前に、自分のあり方を反省する事にある。
・儒学の政治哲学の基本は「修身斉家治国平天下」個々人の道徳的向上がまずあり、次に家が調うという結果があって、それを受けて社会の安定が実現される。
・従業員は、企業から正しく評価され、適切な場所に配置され、そこで成果を上げることによって尊厳を得る。企業の責任は極めて重い。
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良本。
人として大切なことを大切なことにすることが大事なんだなと実感。
経済、経営の本出るけど、数字や戦略のことが書いてあるのでなく、もっと根底にあるものが書かれていました。歴史から学ぶことは多い。