紙の本
騙されてみるのも楽しかったかも知れない
2022/01/11 22:23
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
もちろん中世には新聞もテレビもインターネットもなく、善男善女をだます悪い奴らもはびこっていた。でも、騙されてみるのも楽しかったかも知れない、ひょっとすると羨ましい時代だったのかもしれない
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世界の辺境とハードボイルド室町時代とこれと、私が高校大学の頃習った中世から近世の前までのイメージが今はずいぶん違うんだな。
怪しいものの必要性がおそらくネットの今とは大きく違うんだろうけれど。何かどんなふうに校正の歴史研究者に今が読まれるのか結構気になってきた。
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自由と悲惨は表裏一体、強者は弱者に。
そんな中世社会を跋扈した「怪しいもの」とは何者だったのか。
第一章 中世の博打・・・詐欺を行う者たち。「博打」と行者との関係。
第二章 夢みる人々・・・卜占も夢も神意の現れ。
第三章 勧進の時代・・・浄土思想と勧進。永観と重源。
第四章 異形の親王・・・院政開始から増えた天皇や院の御落胤たち。
以仁王の子らの運命。清盛は果たして?
第五章 法勝寺執行の系譜・・・院政を行い、絶大な権勢と富を得た
白河天皇が造営した法勝寺。その寺院経営の
中核であった執行たち。信西の息子や俊寛も!
参考文献有り。系図も複数。
平安時代末期から鎌倉時代初期。
政治、信仰、人々の世界は混沌としている中世社会。
白河天皇が始めた院政は、政治のみならず、貴族や武士、宗教にも
影響を及ぼす。婚姻ネットワーク、認知されない皇子女たち。
権勢と富を得た法勝寺執行の人間模様。
庶民の世界に現れる信仰を騙って詐欺を行う者たち。
神仏の威光は多様に人々に作用し、夢見、希望を与える。
魑魅魍魎は生ける者・・・人。
一般的な歴史書では語られない「怪しいもの」の姿は悲喜こもごも。
以仁王や北陸宮、承久の乱の乱に関わる法勝寺執行の尊長等、
興味深い内容があり、楽しめました。