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「図像学」=「作品がどういう意味だったのか読み解く」学問として定義されている。日本美術の背景をユーモアも交え現状に照らして説明したり、漠然とした興味だったものが、深堀してみようと思わされる。なんとなく美術館に行っている初心者にお薦め。
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初めて、耳にした「図像学」という言葉。
中野京子さんの「怖い絵」は「図像学」だったのだと
知りました。
さて、今回の一冊は日本の「美術史」上のさまざまな作品たちが
その俎上に並びます。
知っていたもの、ちょっと知っていたもの、全く知らなかったもの
そのどれもが、いゃあ おもしろく楽しませてもらえました。
著者のまえがきにもありますが
「いまさらながら感動」してしまうものもありましたね。
知っているというのも、一つの鑑賞力ですね。
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日本美術が苦手というのは、そもそも作品の創造対象となっている文化や人を知らないことにあるのかもしれない。たとえば、日本美術では仏教、仏を対象にしていることが多いが、仏教での伝承、仏の種類や他の宗教との関係を少しだけでも知ることで、同じ美術品を観ても「ほお!!」と、なんだか親しみがわく気がする。
読んでみて、面白みと興味が増して、機会があったら観に行こう思わせられた。
加えて著者の方の語り口、文章が面白く、より一層すらすら読める感じで、ありがたーい入門書だと思う。
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とても興味深いテーマなので手に取ったが、学者先生の本にありがちな「面白さを伝えきれない」感じで「お勉強本」の域を脱しきれず。何とかして一般の人に面白さを伝えたいという先生の気持ちだけが先走っちゃって、全体に筆致がぼけちゃっている。感想は「勉強になりました」ってそれだけでは寂しいですね。
その勉強になったポイント。
各種曼荼羅の見方/阿弥陀来迎図の使われ方/絵巻全般(サントリー美術館「絵巻マニア」展の前に読んどけばよかった。)特に「信貴山縁起絵巻」は名前はよく聞くがどういう内容かわかってなかったので勉強になった。などなど。繰り返しますが本当に勉強になったので、今後の鑑賞の役には立つだろうと思います。でもあまりワクワクしなかったのが残念。
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わかりやすい解説とともに、愛情にあふれたユニークなコメントがされていてとても面白かった。
「けれども≪絵因果経≫の魔物たちには凄味がない。中国の原画を模写してこの絵を描いた当時の絵師にとって、魔軍の面々は嫌悪よりも好奇心の対象となっていたようである……剣を抜こうとする魔王は人の善いおじさんのようであるし、色仕掛けで誘惑するはずの魔女たちは、赤いほっぺたの童女のようである。魔女たちが手に持つ髑髏も、ただのお面にしか見えない。学芸会のような大騒ぎのなかで、丸顔童顔の釈迦はひとり正面を向き、座禅を組む。けなげに真面目に頑張っているのである」
「仏を飾れば飾るほど功徳があると考えられていた平安時代、注文主も絵仏師も、この釈迦を思い切り飾りたかったのであろう……そこで狙われたのが光背と台座である。」
なんだよかわいいなぁおい
みたいな感じでツッコミながら鑑賞している感じがとてもよい。
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美術館に行くのが楽しくなりそうな本。
図像学をテーマとしたものとしては、西洋絵画の解説本はよく目にしますが、日本美術(曼荼羅を除く)に関しては珍しいのでは。
個人的には「聖徳太子はスーパーマン?」「なぜあんな顔?(引目鉤鼻)」など、前から疑問や関心を持っていた部分が解消。日本美術、全般の謎解きがなされているわけではないですが、これから、自分の目、頭で楽しむ際の手がかりなりそう(もちろん古典文学、和歌についての教養も必須でしょうが)。
前半をしめる仏教関係のページでは、釈迦の生涯や浄土や輪廻など仏教を知る上でも参考になります。釈迦とキリストの絵画・図像上の類似点にも触れてあり興味深かったです。
それにしてもお釈迦さんて、寄進されたキノコ料理で亡くなっていたとは。