紙の本
ちょっと肩透かしでした。
2021/05/28 16:13
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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作家の本は好きでけっこう読んでいたし、なにより表紙装幀に使用されているのは、牧野富太郎博士の植物図版では?というのが手に取った理由。
物語は、ヒトのキャラクターを植物の生態に照らして描いた短編集。しかし...なんかこじつけ感が強く、この作家の他の作品に比べてあまり好みではなかったかなぁ。
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(2016/2/23読了)
朝倉さんってまだ掴めないなぁ。この短編集にしたって、いろんな世界のいろんな年代のいろんなパターンの話がまぜこぜになってて。
全部、植物に模してってことなんだろうけど、各話を読んでても、全然、その植物を想像したりできなかったなぁ。
「村娘をひとり」が一番ページ数が多いのだけど、読後に嫌な気持ちが残っただけで、なぜそこに力を入れたのかわからない。
「どうしたの?」と「どうもしない」セットみたいな書き方は面白くて好きだな。
(内容)
寄生して成長するコウモリラン、いつの間にやら大繁殖するホテイアオイ、暗くてじめじめしたところにいるほど生き生きするコケ…。植物のそんな生態は、あの子やこの子にそっくり。人間の不可思議な行動を植物の生態に模して描く、朝倉かすみ版・植物誌!
(目次)
にくったらしいったらありゃしない … コウモリラン
どうしたの? … ホテイアオイ
どうもしない … リトルサムライ(サンセベリア属)
いろんなわたし … ひなげし
村娘をひとり … テラリウム(シッポゴケ属)
乙女の花束 … コスモス(魅了)・ひまわり(おやつ)・ほうせんか(もてあそびもの売り)・はなきりん(夕方)
趣味は園芸 … スズメノカタビラ
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かなり難解な作品である。植物にまつわるいろいろな短編集といった感じなのだが、難解。私の読解力が乏しいから難しく感じてしまうのだが…。斬新な感じがして面白味はある。そんな気がする。あまり作品が頭に入ってこなかったため、感想をどう書けばいいのかと非常に悩んでしまう。久しぶりの読書のリハビリには向かない作品だったかもとちょっと反省。
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短編集。連作になっているものもあったり。優しいんだけど、怖い話もあったり。最終話の「趣味は園芸」は私小説でもあるとインタビューにあったけど、私はとてもとても身近に思ってしまった。きらら2016.2にて。
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擬人化した植物たちなのか、それとも擬植物化された人間なのか。
よくよく考えてみれば、奇妙なものなのだ。
私たちは有益なものとして野菜を食べ、梅や桜を愛でるけれど、猛毒を持っていたり、とんでもなく臭かったり、体を溶かしてしまったり、どこまでも増殖していったり。
我々は植物をそういうものだと納得し、邪魔なら引っこ抜いて燃やして捨てればいいと、植物たちを舐めてかかり、驕っているけれど、それは姑息な手段で、我々は実の所、彼らの足元にも及ばないのかもしれない。
「いろんなわたし」
心に残るのは、
「ひなが事故に遭ってからは、いいことしか起きていないんだよ。
あのね、ひなが事故に遭って大けがをした日をゼロとするでしょ。
そしたら次の日のイチからきょうまで悪いことは起こってないの。
ひなは生きててよくなってるし。」
ああ、こういう出会いだ。
こういう言葉がひとつずつ積み重なってわたしを支える。
娘が病気でなかったら、きっとこの言葉は読み流していたけれど、今だからわかる。
ちゃんと生きてる。大きくなってきている。
だから辛くない、悲しくない。
強がりじゃなく、しなやかに、たくましく。
いろんなわたしがいるから、道を作っていけるのだ。
「村娘をひとり」
こちらは感動ではなく、本書の中で最も気持ちが悪かった話。
何が気持ち悪いのか、全部、そう、全部!
登場人物の身勝手な行動が嫌だ。
妄想を現実にし、それを自分の都合のいい方にゆがめようとするのが嫌だ。
暗闇の中で膨らんだ理想。
うまくいかないのは誰のせい?
思い通りにならないのは誰のせい?
そして訪れる突然の終わり。
暗闇のさらなる暗転。
本書の物語は全体的に不気味。
「普通」が「異常」か。
「異常」が「普通」か。
鳥肌だと思って撫でた腕が、植物のような感触だった。
思い込み、気のせい、きっと、多分.......。
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短編集7編
植物の性質に人間をイメージした朝倉ワールド.あまりすっきりした感じはしなかったが,牧野富太郎の図鑑からの絵は牧野ファンとしては嬉しかった.
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短編がいくつか。タイトルから梨木香歩の「家守綺譚」みたいな話を想像して読み始めましたが、全然違いました。悪い意味で。植物とか、こじつけではないか。最後の短編は面白かったけど、真ん中くらいの短編が気持ち悪すぎた。読みたくなかったな。
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タイトル通り植物をテーマにした短編集。この作品集は今までの朝倉かすみという一作家のオムニバスとも取れる。
不思議感覚の「どうしたの?」や「どうもしない」、結末に光明が見える「いろんなわたし」、背筋が凍る「村娘をひとり」、ラストを飾る私小説と思われる「趣味は園芸」と、様々な趣向を凝らし楽しませて頂きました。
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各植物の特徴を人間に当てはめ、短編化した小説。
女児を攫って理想の女性を作ろうとする、村娘をひとり。が好き。
女の子は結局あの部屋から逃げ出すことはできたのか。
朝倉さんの小説は、終わりのその先を想像したくなる魅力がある。
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「それはそれでたぶんいいのだ。それがあの雑草の生き方というか質というか性分というか、そういうのなんだ。それぞれの生き方というか質というか性分があるのだ。早く成長するのもあれば、ゆっくりなのもあるのだ」(268 ページ)
いろんな性質の植物があるように、
いろんな性質の人間もいる。
美しいものや、醜いものや、
弱いものや、しぶといもの。
『水が少しばかりよごれていてもへいきです』
と言える [ホテイアオイ] に、私はなりたい。
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コウモリラン、ホテイアオイ、リトルサムライ、シッポゴケ‥‥それぞれの物語にに植物の解説がついた短編集は、人を植物に擬えるというより、どちらかと言うとその植物が人間だったらこんな人、みたいな視点で書かれているような気がする。
植物図鑑は人間図鑑となり、その奇妙な類似性にゾワっとする。
21歳の青年と71歳の老女の「着生」を描いた「にくらしいったらありゃしない」のさち子の心持ちはすごく理解できるし、リンクする「どうしたの」と「どうもしない」の2作はなんだか切ない。
「村娘をひとり」は現実的で悍ましく、「趣味は園芸」は人の生き方の問題を考えさせられる。
物語もさることながら挿絵も印象的で、表紙や短編の冒頭に描かれる植物のリアリティに動物的な生命を感じて怖いくらい。
すごく面白い試みの作品でした。
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植物の生態を人間になぞらえた短編連作集。牧野富太郎の精密な植物画が目を引く。著者は朝倉かすみさん。『田村はまだか』を読んで好きになった。
これは一度読んだことがあると途中で気づいた。そして最後まで読みきれなかった本だったことも。
今回読んで良かったのは1話目。
コウモリランのように着生タイプの若い男性、山本くん。「山本くんが帰ってくる」いそいそと出迎えるさち子さんは70歳過ぎのおばあさん。孫のような山本くんとの生活に幸福を覚える毎日がつづいていたが・・「にくらしいったらありゃしない」
そして4話目の「いろんなわたし」
ひなげし(虞美人)は若い娘で、事故にあい昏睡状態のまま。看病する母親の緑を励ますため世界のひなげしたちが芝生の上に集合。青い空の下で真っ赤なポンポンを振っているシーンがとても良かった。
今回は最後まで読んでみたが、好きになれない話も幾つかあった。「村娘をひとり」「乙女の花束」など。
2話目の「どうしたの?」
ホテイアオイが子株をつくり大繁殖する様が、帰る家のない少女たちの姿に見事に重なってしまう。
春が過ぎ、夏がきた。わたしの芸術品たちのおよそ三割の腹がふくらんでいた。
強い、黄金の夏の夕日が、ギャラリーの床に寝そべり、うたた寝をする妊婦たちを照らしていた。
う〜ん、上手いのだけれど・・
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牧野富太郎博士の絵が素敵。
短編のほとんどが、薄気味悪い人が主人公でかなり辟易した。
植物や花言葉を物語化すると、こんなに生臭くなるものか。
最後の話だけまっとうで、少し安心した。
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「村娘をひとり」の異常さに目を引かれ過ぎて他の印象が薄れてしまった。。犯罪者のオナニーを見せられた気分。
気持ち悪いのはもちろんだけど、最後、女対女になってるのがすごく嫌だった。その構図見飽きた、でもこうなりがちなんだろう。この社会など勧善懲悪でもない。理不尽。本を読むときくらい気分よくいたかった。