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三大奇書へのオマージュに満ちていて、正直それだけで読んでいて楽しかった。私にとってミステリーで1番好きなのは、探偵の推理を聞いて今まで見ていた世界がひっくり返されるところだ。その点、正しかろうが間違っていようが何度も何度も世界を認識しなおす本書は、私にとってとても面白いミステリーだ。
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噂に聞いてたとおり、なにが現実でなにが作中作なのか……酩酊感がすごい。
この人物はどっちで死んだんだっけ?などもごちゃごちゃになってくるので読むときは勢いをつけて一気に読みきってしまったほうがいいと思う。
私は、だらだらとしてしまったので結構戻って確認したりしながらになってしまった。
結局最後はこれが真実なのかな、というようなのはあるもののもうここまで来るとなにがなんだかわからないし推理を信用できないというのが正直なところ。
構造はややこしいものの、文章自体は読みやすいのでこれを若くして書いたというのはほんと物凄いことだなぁと。
何年後かでも一気に読めそうな時がきたらまた読んでみたい。
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とても難しくて私にはよくわからなかった。
現実と非現実世界が複雑で
頭の中が整理できないまま終わった感じ。
心理戦のラストも納得いかない。
しかし昔の小説は密室がお好きね。
そういえば昔の2時間サスペンスドラマも密室が多かった気がするな。
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中二春、読了。
メタフィクションの構造がとても面白かった。難しかったから、時間をおいて再読したいなぁ
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再読。最初に読んだのは高校生の頃だったのでそれはもうこの小説に酔っていた。数学、物理、量子論、虚数、トポロジーに、心理学、精神病理学、占術、魔術などなどなどのめくるめく展覧会。この小説を読むだけでこの世界というものの一端を知った気になれた学生時代。乾くるみさんが解説というか「蛇足のようなもの」で書かれていたとおり、この作品は高校生ぐらいの頃に読むのが一番楽しい読書体験となるだろう。
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素直に読めば奇数章の物語が「現実」で、所謂解決編が欠けている偶数章の物語が、ナイルズの書いた小説になるのだと思う。そう読まなくったって良いのだけれど。で、そんな風に読めば、意外なくらい(アンチでない)ミステリとして、かっちりとまとまっている。発表当時ならともかく、今となってはそうしたところや全然読みやすいところが、むしろ評価ポイントな気がする。あと、ディスカッション・ドラマの体裁には個人的に、「虚無への供物」より「死霊」を連想した。
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第4の奇書と呼ばれる本作。
いつものように内容を全く知らずに読み始めました。
解説には「ミステリーとアンチミステリーを両方兼ね備える作品」とあります。
真剣に推理を巡らせながら犯人を当てよう!と意気込んで読むのではなく、どちらかと言うと、謎を疑問に思いながら頭の中に記憶しておき、流れに身を任せ騙されながら読んだ方が楽しめる作品です。
ドグラマグラ・黒死館殺人事件・虚無への供物の三大奇書の中で、特に『虚無への供物』への愛が強い作品だと感じます。
オマージュ作品なのかな。
推理の中で哲学的な引用が多く組み込まれているのですが、精神世界(あるいは夢)の場面ではドグラマグラを連想させますし、羽仁の家は館と呼ばれてもおかしくない豪邸であり、黒死館殺人事件を連想させます。
溜まり場の『黄色い部屋』には、夥しい数の人形が飾られており、黒死館のテレーズ人形を彷彿とさせます。
住む土地の名称に色が使われていたり、登場人物達が次々と推理を披露していく展開は、まさに虚無への供物を読んでいる時の感覚が思い出されます。
この作品ならではの魅力はどこなのかと考えると、巧みな言葉のトリックと「さかさま」の密室。それともう一つあるのですが知らない方が楽しめるので、書くのやめときます^ ^
呪術や密教の図や重力方程式、物理の二重スリット実験、エクゴニンの構造式など、とにかく推理の中に蘊蓄が沢山出てきて、読んでる方はもう大混乱で、それが狙いか!と、けむに巻かれないよう必死に追いかけます。
あ、メモ必須です。
一冊の本でたくさんの本を読んだような感覚。
ここまで細かく多方面に推理を巡らせる本は初めてです。
作者の知識の豊富さに感動します。
勿体ぶらず、中途半端でも惜しげなく推理を披露するので、脳内は大混乱ですがw
次は「第5の寄書」と呼ばれる
山口雅也『奇遇』を読みたい(ღ♡‿♡ღ)
『生きる屍の死』が私の中で5本の指に入る程大好きなミステリーで、かなり面白かったので期待してしまう♡
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推理小説マニアの大学生・曳間が、密室で殺害された。しかも仲間が書いている小説の予言通りに。現実と虚構の狭間に出現する5つの《さかさまの密室》とは? '78年、弱冠22歳の青年によって書かれたこの処女作は「新本格の原点」、「第4の奇書」と呼ばれる伝説の書となった。いまだ色褪せない未体験の読書を今こそ!
これは、実験小説です。作者の構想通りに登場人物をうまく動かせられるかどうかがこの作品の成否のカギです。双葉文庫版には、100ページ以上の解説(綾辻行人との対談や作者の実物創作ノートも含む)が収録されていますが、その中でも、松山俊太郎、新保博久、千街晶之は必読です。読後のもやもやした気持ちを整理できる一助となるでしょう。それほど、難解な作品です。
竹本 健治(1954年9月17日 -)は、日本の小説家・推理作家・SF作家、漫画家。兵庫県相生市生まれ。佐賀県武雄市在住。東洋大学文学部哲学科中退。代表作『ウロボロスの偽書』『ウロボロスの基礎論』『ウロボロスの純正音律』は、著者自身、綾辻行人、小野不由美、島田荘司などの実在の人物が架空の推理小説の中に登場するポストモダン的なメタ小説。
経歴:
1973年 - 私立淳心学院高等学校卒業。
1977年 - デビュー作『匣の中の失楽』を探偵小説専門誌『幻影城』に連載。
1977年 - 東洋大学文学部哲学科中退。
1979年 - 『匣の中の失楽』で第32回日本推理作家協会賞(長編部門)候補作に選ばれる。
2016年 - 『涙香迷宮』で「このミステリーがすごい!」2017年国内編第1位に選ばれる。
2017年 - 『涙香迷宮』で第17回本格ミステリ大賞を受賞。
作品:
『虚無への供物』の中井英夫に推薦を受け、探偵小説専門誌『幻影城』にいきなり長編連載という破格のデビューを飾り、そのデビュー作『匣の中の失楽』によっていわゆるメタミステリー・アンチミステリー作家として注目される。『幻影城』廃刊後、いわゆる「ゲーム三部作」を発表。一時期ミステリーを離れSF小説に活動の場を移す。新本格ブームを受けて、実名小説(本人曰く擬似推理小説・ミステロイド)『ウロボロスの偽書』を『奇想天外』に発表。現在に至るまでマイペースなスタンスを崩さず執筆を続けている。(ウィキペディア)
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どっちが現実でどっちが虚構なのか。
現実と劇中劇がぱたぱたと入れ替わる複雑な構造だけど、ちゃんと「今、どちらなのか。どちらの事件の話をしているのか」を明確にしてくれる文章だから余計な混乱しなくて意外とノンストレス。
最終的に「現実」とされたサイドは本当に現実なのか。実は書かれてないだけで「……という結末にしてみたんだけどどうかな」と語り出す「真・現実パート」があるんじゃないか……みたいな不思議な読後感でした。
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こりゃ参りました。奇数章と偶数章で小説内の現実と作中作である虚構が入れ替わり、しかもどちらが現実かも判然としないという構成からして度肝を抜かれますが、自然科学、人文科学からカルト論までジャンルを超えて繰り広げられる目くるめく知的対話に圧倒されっぱなしでした。
推理小説マニアの大学生・曳間(ひくま)が、密室で殺害された。しかも仲間が書いている小説の予言通りに。現実と虚構の狭間に出現する5つの≪さかさまの密室≫とは?
『黒死館殺人事件』『ドグラ・マグラ』『虚無への供物』の系譜に連なる、正に「第4の奇書」と呼ぶに相応しい大作です。しかも著者が22歳から23歳の若さで書き上げたということにも驚嘆。
奇書の異名を持つため、読む側も相当身構えて臨むのですが、意外にリーダビリティーは高く、「読みにくい」という感じはしませんでしたね。寧ろ小説の構造とその追求しようとするものが難度の高い知識を求めたんだと思います。
そして、これほど突出した作品が書かれた以上、「第5の奇書」はもはや生じ得ないのではないかとさえ思わされます。そのクオリティーは異次元レベルで、正直とても理解が追いつきません。
が、作品に没頭しきれない自分もいました。それは、ストーリーが精緻かつ複雑ゆえに、登場人物がプロットに奉仕する駒のように感じられ、語り手が定まっていないことも相俟って小説に入り込めなかったからだと思います。実際、似たような名前の人物たちの特徴を捉えきれず難渋しました。ただ、これは本格ミステリーやアンチミステリーにはつきものなのであれば、それはもはや嗜好の問題であって、もっと泥くさい人間模様を描いてほしいという向きは他の作品を当たってくださいということになるんでしょうね。ともあれ本作によって他では体験できない読書ができることは確かです。
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これは、ストレートなミステリーではない。
ミステリーとしてではなく、一種の文学として読むべきだ。
溢れる蘊蓄、幻想的な世界観、メタ的趣向にアンチミステリー。
と、日本三大奇書のエッセンスを凝縮したような作品である。
冒頭から不確定性原理を全面に押し出していて、入れ子細工になった構造も美しい。
好みを分ける作品だとは思うが、一生に一度は読んでもらいたい。
最後に、
これを読んだ時には「虚無への供物」は未読だったのだが、文庫版解説でまあまあなネタバレを喰らった。初読の人には注意していただきたい。
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日本における第四の奇書と言われているこの小説は、1978年に発売された著者のデビュー作です。
約800ページと、かなりの長編です。
専門的な話が出てきますが、基本的にはテンポよく読めました。
どんでん返しの要素もあり、本格ミステリでしたが、奇書と言われるだけのことはありました。