紙の本
おゑんさん
2020/12/07 10:33
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kotep - この投稿者のレビュー一覧を見る
闇医者おゑんは女性の心と身体の両方を診る医者であった。若旦那の遊びで身籠ってしまった女中、鬼の子を宿した側室等、いろんな事情のある患者を受け入れ最後は笑顔にさせる凄腕であった。そのおゑんの過去は・・・。
心と身体の両方を診る医者なんてなかなかいないですよね。特に今は医療も細分化されて専門性が高くなっていますから。昔の医者はほとんど一人で診てきたというのが凄いことですね。
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和系医療モノ、特に産婦人科系。
女の生き方を淡々と説くおゑんの言葉が何故か心に響く。江戸時代物語ですが読みやすい文章。
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「弥勒」シリーズで人間の闇を鮮やかに描き出す著者の、「闇医者」シリーズも、期待通りの作品。
堕胎医の主人公の元に、事情を抱えた女たちが訪れる。そして、思い惑う彼女たちの話を聞き、心の苦しさを解きほぐし、助けの手を差しのべる。
そんな主人公の、生い立ちから江戸へ出てくるまでが、第三話で解き明かされる。江戸へ出てから闇医者になるまでの経緯は、シリーズ第二弾で明かされるのだろうか。楽しみである。
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あさのあつこはよく読んでいるけど、時代小説はけっこう内容を選んで読んでいる。これは読めそうと思って。おゑんさんのところを訪れる訳アリの女性たち。その訳を解きほぐし、おろせば済む、ではない女たちの人生のリセットにも手を貸す。いくつかの話の最後は、おゑんさん自身のことを自分語り。今の世の中にも、こんな人が必要なんじゃないかな。
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あさのあつこさんならではの時代小説。この方の小説の闇の色は、なぜ、こんなに濃いのだろう。
産んではならない子を身ごもった女たちと闇医者・おゑんのめぐり合い、そして、苦難の中で、自らを見つめ、生きる道を取り戻していく姿が描かれる。
ひとつひとつの場面や台詞があまりに鮮やかなので、これを映像化したらどうなるだろうか、と妄想してしまった。
きっと、女優さんたちの凄みを感じさせる名演技が見られるだろう。
そして、今の私たちにとって、励ましになる作品になるだろう。
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内容は重く深いけれど、とても読みやすい文章であっという間に読むことができる。
「空蝉の人」が一番おもしろかった。
「冬木立ち」は、人間ってつくづく怖いものだなぁと感じさせる。
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道は一つではなく、いくつもあって、
それを選べる力があると気付かせてくれます。
理不尽さに取り込まれないように生きるのは、
いつでもどこでも難しそうですが、
それでも、生きていかなくてはいけない。
後悔をしたくないのであれば、自分で選ぶしかない、
ってことなんですねぇ。
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久しぶりのあさのあつこさん。
闇医者の世界を垣間見ることができて、ちょっと知ったかぶりをしたい気分です。
後半おゑんさんの独白のなかに、心に残った一節がありました。
「言葉は外に出すべきものと内に秘めたままにしておくべきものと二通りがあるのだそうです。秘めておくべきものを外に出せば禍となり、外に出すべきものを秘めておくと腐ります。」
「言葉には命がある。命あるものは生かされなければ腐り、腐れば毒を出す。」
言葉に慎重になりすぎず、でも、言葉と大切に付き合っていきたいと思います。
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おゑんさんの生い立ち部分が怖かった。母として、読んでいて心が痛むところがあったものの、おゑんさんの魅力で最後まで楽しめました。
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望まない妊娠もあれば、生みたいのに生み育てることができない環境にある人もいる。いわゆる人工妊娠中絶の問題は現代社会の一つのテーマのようにも思う。
本作は、そのような状況に陥った女性たちのために子堕ろしを行う闇医者おゑんとそこにやってくる女性の物語を3話収録した中編集である。時代背景は江戸時代だが、このテーマは現代にも十分に通じるものである。
神がかり的な技術はないものの、中絶に際し心理的に訴えるおゑんの姿が印象に残る。
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文章の独特なリズムがくせになる!
だって例えばこう。
『風が吹けば竹林は、海鳴りを模してざわめく。
故郷の音だ。
いつの間にか忘れていた。
垣の間に形ばかり設けられた枝折戸を押す。
一歩、二歩、踏み出す。お春の足はそこで止まった。』
6個の文章で表せるこの部分、くっつけたら3個にできるんです。例えばこう。
「風が吹けば竹林は、海鳴りを模してざわめく。
いつの間にか忘れていた故郷の音だ。
垣の間に形ばかり設けられた枝折戸を押し、一歩、二歩と踏み出すが、お春の足はそこで止まった。」
…なんだろうこの、因数分解する前の数式を見ているようなムズムズ感は。
リズム感もまったくないじゃないか。
本文は短く切られた文章と普通の長さの文章とで独特なリズムをつくって、読み手をまったく疲れさせることがない。さらに分解されたことによって、こちらが読みながら頭に思い浮かべる要素が絞られる。
するとまるで映画をみているように鮮明な場面を想像できるのだ。
『故郷の音だ。
いつの間にか忘れていた。』
風に吹かれる竹林の映像が、誰かの遠い記憶と重なる。誰かは竹林の音を聞いて、とっさに故郷の音だと真っ先に思う。ついで、その音をいつの間にか忘れていた自分に気がつく。
『垣の間に形ばかり設けられた枝折戸を押す。』
戸を押す手が映る。女だと分かるがそれだけだ。
まずは手の描写。
『一歩、二歩、踏み出す。』
そして足元。
『お春の足はそこで止まった。』
ここで初めて名前が出てくる。戸惑ったような横顔がうつるのだろう。
こんな感じにスムーズに場面を想像できる。
とにかく読んでて疲れない、気持ちいい。
そんな心地よい文章でつづられる物語。
内容もめっちゃいいです。
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江戸時代の闇医者の婦人科医が主人公。あまり気持ちの良い話ではないものが続いてちょっと鬱々する。
救いが少ない。。。
2022.10.12
157
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2023.02.12 ★3.4
↓↓↓内容↓↓↓
江戸の町、竹林に囲まれたしもた屋で、産んではいけない子どもを孕んだ女たちを受け入れ、子堕ろしを行ってきた「闇医者」のおゑん。彼女の元には、奉公先の若旦那と恋仲になった女中、あやかしの子を孕んだと訴える武家の奥方など、複雑な事情を持つ者たちがやってくる――。