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ああ、と思わず零してしまうような話がずっと続いた。タイトル通りママがやった、殺った話。
最初にママがやった箇所から始まる。70を超えても生涯、色男であり続けた夫をママがやった。今年80になるママを監獄にいれることをしたくない娘二人と、戸惑い続ける息子のそれぞれの過去の回想が中盤に散りばめられる。
それが全部痛々しくて、ああ分かる、そうそうこんな感情っていうのが随所に入り混じっているものだから苦しい。
何でも許してくれる妻は、何を許せずやったのだろうか。許せる許せないの問題ではなかったのかもしれない。やった理由、それが明確にされていないこと、あらゆる想像をすることができることが、なんだかひどく切なかった。
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ほのぼのとしたミステリーとでもいう話。
冒頭で79才のママが'やって'しまうところからはじまる。
短編で百々子と拓人の出会いと生活が見える構成。短編ごとにきっぱりと完結しない曖昧な終わり方が拓人のいい加減さを表すようだし皆大体流されるように生きている表現でもあるよう。
女の人の隙間に、天才的に入り込み人生ずっとヒモ状態の拓人(72歳)。
そんな、いつも女がいる拓人をそばにおいておく百々子の心情は全くわからないけど静かに悲しみの中にいるのは読むこちらに伝わってくる。
最適なラストだけど何も解決してない!!斬新すぎる。
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タイトルの通り、ママがやっちゃうところから物語が始まります。
そこから時系列が行ったり来たりしながら、家族の半世紀の物語が短編連作で綴られています。
井上荒野特有の不気味さや歪みが漂っていてゾクゾク。お父さんがクズすぎですがどこか憎めないし、お母さんもなんだかおかしいし。というか、出てくる人みんなマトモじゃない(笑)
荒野ワールド、堪能しました。
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奔放な夫、貞淑な妻、しっかり者の長女、明るい次女、大人しい長男のそれぞれの短編集。
よくある設定と言えばそうだけど、しっとりと暗い感じに引き込まれて読んでしまった。
自分のものじゃないからあんな男と付き合えた、ってのは何か分かるかもしれない。
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それだけ好きだった、ってことか
それでも殺してしまったのは、我慢できない何かがあったのか
80歳手前になっても…つらい
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80歳の母、70代の父、中年の娘二人と息子一人
その他父の愛人のような人という登場人物の
それぞれの視点で、それぞれ時系列は今だったり
昔にだったり前後して物語が書かれている。
登場するどの人もすっきりしない、
どんよりとした人ばかりで
読んでいてじわじわと疲れた。
どうしちゃうんだろうなーと飽きずに読んだけど
読後感も悪く、疲労感もあり、読まなくて良かった。
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「理由」じゃない、これからどうするのか?
とは言え、「理由」に結びつくのか(?)それぞれ家族の物語が語られ、ラストへとつながるのだけれど、いくつになっても…
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ママ、ここまでよく耐えた。
でも、それなら相手にしっかり自分の気持ちを伝えれば良かったのに。自分の人生を犠牲にすることはないよ。
子どもたちも何となく母の苦労が分かっていて協力的なんだよね。
ホントは、いい家族だったんじゃないだろうか。
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79歳の母親が72歳の父親を殺した。
なぜ殺したのか。
息子の創太が理由を問うが、母も二人の姉もハッキリしない。
それどころか妙にのんびりとしている。
2話からは家族の視点で語られる。
8話まで物語は淡々と進んで行く。
タイトルも好き。
ベテラン作家さんの上質な作品。
おもしろかった。
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+++
小料理屋の女主人百々子七九歳と若い頃から女が切れない奇妙な魅力をもった七つ年下の夫。半世紀連れ添った男を何故妻は殺したのか。
+++
なんともシュールな物語である。物語の初めから、拓人はすでに妻・百々子に殺されていて、子どもたちが集まっている。深刻な場面のはずなのだが、なぜか父を殺めた本人である母は、さほど普段と様子が変わらない。その後は、ここに至るまでの家族それぞれの人生が描かれていくのだが、それぞれにいささか歪んでいて、それもまたシュールである。にもかかわらず、そこはかとない可笑しみを嗅ぎ取ってしまうのは、穿ちすぎだろうか。手をかけた本人の切迫感のなさに由来するのだろうか。ラストはぞくっとさせられたが、ほっとするような気持ちにもなった。寂しくて哀しい一冊である。
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『ママがやった』という衝撃的なタイトルに比べて、内容は衝撃的ではない。どちらかと言うと私的には内容がイマイチで共感できる部分も無く、サクッと読み終えてしまった。もうちょっとインパクト的なものが欲しかったなと思ったりもしてしまう。結局、作者である井上荒野は読者たちに何を伝えたかったのかと個人的に思った。
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浮気しまくりな上に無職、相当なダメ夫であるパパ(・・・と言ってももはや70過ぎ)
そんな父親を嫌悪しつつも、自分の中にある『パパ』と似た自堕落さを感じている子どもたち(・・・と言っても皆立派な中年)
歯車のかみ合わない、機能不全の家族の中で
要となっていたママ。
そのママがタイトルにある通り、
何かをやってしまうのである。
夫に対してすべてを諦め許してきた彼女が
どうしても許せなかったこと・・・
どの登場人物にも、まったく好感を持てなかったけれど、
その理由だけはちょっとだけ共感できました。
読み終わって心にザラリとしたものが残る物語でした。
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79才妻が72才の夫を殺した。
だが妻はいたって平然としたもので、大いに戸惑う3人の子ども達。
夫であり父である72才男の生前のプレイボーイぶりを、胸に刻まれるように知っている家族は、愛人を巻き込みドライブに出る。
家族の視点や、過去や現在がわかれて読めるので、おもしろくサクサクと読めた。
奥さん、長く諦観してもなお愛してたのね。
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どうしようもないダメ男の父親とその妻、娘二人息子一人の結構風変わりな五人家族の物語。
今は老夫婦となった二人の若いころからの話が8つのエピソードに分かれて時系列を前後させながら語られていくのだが。
一体なんなのか、どこへ向かっているのか、なにが描きたかったのか、よくわからない。
一見滑稽で、でもおそろしく哀しくてやり場のないもどかしさに満ち溢れたストーリーそれ自体は、それなりに読めることは読めるのだが、著者の世界観に私がついていけなかった。
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それぞれの目線で描かれる家族史的な内容。
とにかく働かない、女は作る
とんでもない親父がいて
妻や子供たちとの関わり方が
一筋縄ではいかないものがあり
それがなんとも滑稽で面白かった。
あぁ、この人はこういうヤツなんだな
と諦めつつも、憎めない
火野正平さんがやったらばっちりな感じの
ドラマができそう。
みんなのレビューがあんまり散々で不思議。
私はすごく、うまいなぁって思ったんだけどなぁ。