紙の本
面白いけれど。。。
2016/02/29 09:59
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:maggie - この投稿者のレビュー一覧を見る
10年以上に渡って少しづつ書き進められた歌吉シリーズの完結編ですが、残念ながら著者が最後の1章を書く前に亡くなられたので未完の作品となっています。前3作ではお互いに惹かれ合うだけだったお吉と日向の関係が本作で一気に進展。最初から最後まで二人の恋の行方にハラハラドキドキさせられます。恋物語と同時並行で進む「といちはいち事件」は最終章が書かれなかったので結局全容が見えずで終わってしまったのが残念なところ。円熟期にあった杉本氏の作品だけあってストーリーは面白いものの、最終章がないのでどうしても読後はモヤモヤ感が残ります。「解説」の内容が薄っぺらいのも残念。
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杉本章子さんの遺作。
未完のまま。
「あぁ、良かった」と思える終わり方でした。
しかし、あとがきなどを読むと、本当は悲しい終わり方をするようでした。作者には申し訳ないけど、そうしなくてよかったんじゃないかと思います。
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その才能と美貌のために、仲間から嫉妬され顔を傷つけられてしまった主人公。
迷いながら生きてきた道は、女にしては過酷である。
光が見えてきたような気もしていたのだが、哀しい結末を考えていたということなので、含みを持たせたまた終わってしまっているのは、これはこれでよいのではないかと思います。
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あと一話、最終話を残して逝ってしまわれたのか。「といちはいち」の事件はどう決着するつもりだったのだろう。それよりも日向と歌吉にはインタビューでの予告通り、悲しい結末が用意されていたのか。作中人物の命は著者の思いのままながら、著者自らの命はいかんともし難い。一度きり会話させただいた杉本さんは才色兼備、忘れられぬ言葉もいただき、すっかり魅せられた。まさに一期一会なれども、遺された作品とは重ねてお付き合いしていきたい。
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(ネタバレ)
「お狂言師歌吉うきよ暦」シリーズ。
まさかの、遺作とはな。。。未完のまま、おわってしまうのか、、
この事件も、解決しないんだな。杉本さんの頭のなかには、あったようだけれど、でも、重い結末が予定されていたようだ。。
いっときでも、日向とお吉が堂々と、陽のもとで寄り添って暮らせる日がみたかったな。目前だったのにな。
歌仙まで手駒に加わって、これから面白くなりそうだったのになあ。煮え切らない身勝手な日向にイラっとしながらも、なにげに好きだったのになあこの物語。ざんねん。
どなたか、ファンが予想の最終回を仕上げてくれないかなあ。同人誌ででも読みたい。この、芸事の世界の女性たちの台詞まわしが粋で好きだったのになあ。身のこなしを想像するのも楽しかった。ざんねん。こういうことがあるから、シリーズものって終わりが難しいんだろうね。かわせみも、途中のままにならないでほしい。。。。
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作者 杉本章子氏の遺作とは、知らずに、読み始めてしまった。
時代小説でも、好きな作家である。
お狂言師という仕事をしている歌吉と日向新吾。
隠密の手駒として密命を帯びながら、2人は、好き同士なのに、相手を思いやるばかりで、違う道を選択せねばいけない。
狂言師仲間で、大奥の中でといちはいち組へ無理やり引き込まれ、内々に、不審な死に方をしている事に、どのようにして、暴き出すのか?・・・
2人の恋の行方は、、、、
新吾は嫁を貰い、そして歌吉は、踊りを選択するのだが、、、
新吾の父親喜兵衛が、優しい。
そして、この時代、武士の方が、嫁に貰うのは、商家からだと、武士の養女になってから、、、なのに、賛成の意を最後の所に表している。
2人への未来は、明るい。
最後の細谷正充氏の評を見ると、「作者は、最後に、歌吉と新吾を事件で、死ぬ予定だった」、と、、、、
ここまで、2人を離れ離れにして、、、、やはり、ハッピーエンドで終わって欲しい。
喜兵衛の「ふくら雀が同じ家紋」と、、、、合縁奇縁のように、、、、
この終わり方の方が、素敵だと思う。
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お狂言師歌吉うきよ暦 シリーズ4 にして最終編
歌吉こと、お吉は、三代目水木歌仙の弟子で、お狂言師となった後も、厳しく仕込まれている。
お吉には、裏の顔として、お小人目付の日向新吾と岡本才次郎の手駒として、様々な事件に関わっていた。
手駒となり、6年。
お吉と、日向は、想い想われの仲になったが、
お吉は、相弟子の嫉妬から、一生治らない傷を顔に受けた過去がある。
「そんなお吉の支えとなっている踊りを捨て、気を張り詰めどおしの暮らしの中に引き込みたくない」と、日向は、姉の勧める娘と、祝言を挙げた。
稽古にも身が入らないお吉。
それでも、自分を励まし、お狂言師歌吉として、立ち上がる覚悟をする。
心を隠し、手駒として働くお吉。
一方、日向の新妻に、芳しくない過去があり、日々の行いに、父親も手を焼く有様。
ようやく、日向は、妻と離縁する決心をし、父親に、仕事が一段落したら、お吉と会って欲しいと言う。
それを聞いて、父親「合縁奇縁、末永く添い遂げてくれよ」と言う。
後一冊で、最終編というところで、作者の杉本章子氏は、乳がんにより、逝去されたとのこと。
お吉と日向のその後は、どうなるのか。
読んでみたかったが、どうやら、杉本章子氏は、二人とも、死ぬ構成を作っていたとの事。
二人が死んでしまうと、家族や周囲の人々の悲しみは、いかばかりか。でも、残された者は生きていかねばならない。その事を作者は、最後に改めて伝えたかったのだと確信している。と細谷正充氏は、解説で述べている。
が、それでも、ワタシは、二人には、末永く添い遂げる、幸せな結末を迎えて欲しい。