紙の本
ちょっと読みづらいかな
2016/08/11 10:28
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:にゃっつ - この投稿者のレビュー一覧を見る
人間60近くなると、若者とのギャップに悩み出すものです。
私もそのご多分にもれず、若者の言葉遣いがおかしくないかと悩んでいました。
この本を読むと言葉は変化していくのだと理解できましたが。
別に五十音順にしなくてもよいかと思いましたが、内容が充実しているので、ま、いいか、と。
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「がたい」はいまだに語源が不明
「ぐっすり」=good sleepが語源、はウソ。江戸時代に「十分な、すっかり」の意で使われている
「ざっくり」も語源不明。セーターなどの目の粗い様子が転じたか
「松竹梅」は等級を表す語でなく、「歳寒の三友」=めでたいものという意味だった
「少年老いやすく学成りがたし」は朱熹の作品でなく、室町時代の僧によるもの。辞書の思い込み
「滾る」は水と関連し、火や炎とは結びつかない
「谷」の漢字に「や」という読みはない。江戸近辺の方言
「堪能」は「たんのう」とも「かんのう」とも読めるが、この2つはまったく別の言葉から生まれた
「ずくめ」=その物事ばかり、「づくし」=同種類の物の羅列
「土下座」に謝罪の意味合いが加わったのは、ドラマ『水戸黄門』の影響かも
「悲喜こもごも」は1人の人間の心境の表現
「人一倍」の「一倍」は、「ある数量にそれと同じだけのものを加えること」。つまり2倍
……などなど、今さらながらに「知らなかった!」とひざを打つことの多い本。ことばの深層はひたすら深い……。
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「読み終わって」はいない辞典。
項目のひらい読みでも十分楽しめる。
帯に「人一倍がんばる」とは何倍?と書かれていたので、早速調べてみた。(いつもはすぐに帯を捨ててしまうのだが、こういう辞典には帯はありがたい)
”倍”そのものに”2倍”の意味があるので、”一倍”が”2倍”の意味で使われているそうだ。うん、納得。
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いやあ、これは読みごたえがあった。新聞広告にあった「人一倍って何倍?」というコピーが面白かったので、言葉についての軽い読み物かと思って読み出したのだが、著者はあの「日本国語大辞典」の編集者、実にみっちり濃い内容であった。
言葉の誤用や揺れについて書かれた本はよくあるが、ここまで多くの語や成句が挙げてあるものはあまりないだろう。また、「これこれしかじかの理由でこれは誤用です」と指摘するだけでなく、どの程度そうした使われ方が一般的になっているか、なぜそのように使われるかなどについても考察されていて、そこが面白かった。
著者は仕事柄か、「言葉は変化していくもの」といたって柔軟な考え方をされているが、一方で、明らかな誤用についてはきちんと対処すべきだとしている。世の中で使われている言葉はできるだけ載せていくのが辞書の務めではあるが、辞書は言葉の「鏡」であると同時に「鑑」でもある(このあたりのことは、本書でも言及されている「辞書になった男」に詳しい。あれは本当に面白かった)。節操なく現実の後追いばかりすべきではないという考えが繰り返し述べられている。同感だ。
引用するとキリがないのでやめておくが、そうだったのか!ということの連続。自分自身間違って使っていたり、誤用だとばかり思っていたのがそんなに単純な話ではなかったり。特に、従来はなかった意味で使われている語がいろいろあることに驚いた。自分も何の抵抗もなく口にしていた言葉もあって、ついエラソーに「その言葉遣い間違ってるよ!」と言いがちな身としては、反省しきりでありました。
・「人一倍」の説明はとてもわかりやすく、「人よりちょっとだけ頑張る1.1倍くらいでいい」そうだ。二倍じゃないんだなあ。
・辞書みたいに、「あいうえお順」に語句が挙げられている。あれどうだったかなあ、と探すときにとても便利。ナイスです。
・巻末にある「辞書編集者の仕事」という文章も興味深い。三浦しをん「舟を編む」などにもふれながら、実際の仕事内容について述べられている。「舟を編む」はやはり傑作だなあとあらためて思った。
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「悲喜交々」悲しみと喜びが入り混じることだが、あくまでも一人の人間の心境を表現する言葉。「天地無用」は上下を逆にしてはならないという意味、これは問答無用、立ち入り無用、開放無用と同じ使い方で、無用は行為を禁止するということ。愛嬌は雰囲気だし、愛想は行為。言葉の意味や用法が揺れ変化していくのにはそれ相応の理由がある。辞書編集者ならではの切り口で言葉の深層に迫る。文化庁が実施している「国語に関する世論調査」からの引用が多く「文化庁国語課の勘違いしやすい日本語」を読んだ後では、かなりの既視感もあったが、辞書編集者の視点で新たなスポットを照らしており、また違った興があった。あいうえお順の辞書形式もなかなかおもしろい作りこみ。
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いくつか方言の話があったりもして、とても興味深く読んだ。そして装丁が秀逸。
明らかに誤用、だけど一般化している、そういう言葉の正しい意味を知れば知るほど窮屈になるけど、調べずにはいられない……。
語源が不明なものもあれど、ことばには必ず意味があるって、当たり前のことだけどすごいことだと思う。そしてそのことばの意味を説明することばにもまた意味がある。ああ悩ましい(新しいほう)。
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日本を代表する国語辞典の編集者である神永さんが、現代に見られる日本語のさまざまな誤用・変容の実態を取り上げ解説してくれます。
予想どおり、私もたくさんの間違った理解や誤った使い方をしていました。例えば、「君子豹変」「姑息」「にやける(若気る)」「憮然」「谷」「松竹梅」・・・。
言葉も未来永劫不変というわけではなく、その使い方が変化していくことは当然ではありますが、できればその変化には“確信犯”で追随していければと思いますね。(ちなみに、この“確信犯”の使い方も「確信犯」です)