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めがね枠製造で地元を活性化させるという幸八の考えに、初めは反対していたが経営者として一緒に歩みだす兄の五左衛門。そして、職人として育ち支えていく末吉たち。外部からどんな扱いを受けようとも職人のために踏ん張り、それに報いようと職人たちが努力する、とてもお互いが思いやりあるいい職場だと思う。その末に掴んだ成功だからこそ意味がある。
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昭和のTVドラマみたいな話なのに、それほど面白くもなく、夢中にもなれないのはなぜだろう、と読み終わってから考えた。特に下手とも思わなかったのだが。
昭和のTVドラマじゃなくても、こういう筋立ての物語は、人の心をつかみやすいのに。
まず、夫の弟を密かに思慕する女の苦悩が火事のシーンと重なる始まりは良かった。その後、なぜ彼女が弟を好きになってしまったのかが語られる。ここで、読者は、彼女が主人公であり、彼女を中心に話が進むと思うし、普通の女性読者なら、彼女に同化して読みたくなるだろう。ところがなぜかそうはならず、急に彼女は物語の脇役になり、福井で眼鏡づくりを始める兄弟の話が中心になる。
それもそこそこ読ませるのだが、弟はまあまあだが、兄があまり魅力的に描かれていないので、読者の思い入れは置いてきぼりになってしまう。弟におとらぬ兄の魅力を読者に伝えることができれば、兄の妻(はじめ主人公だと思われた人物)の決断を読者も納得することができるのである。が、兄が、読者が惚れるほどの魅力がない。大衆小説では、これ、本当に大事。悪役の職人夫婦(こういう人物が昭和のドラマっぽい)も、もっと悪い奴にした方が物語が盛り上がった。
作者としては福井の眼鏡産業のはじまりとともに、その中心に道ならぬ恋と、それを乗り越える夫婦愛を書こうとしたのだろう。
こういう作品を読むと、宮尾登美子なんか、本当にうまかったなと改めて思う。こういう話は好きではないが、成功しなかった作品を読むことで、書くことの難しさと、上手い作家の実力を改めて思い知った。
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福井県の増永眼鏡を舞台にした小説
会社と社員の関係は 契約でなく、信頼だと思った。仕事は 儲かるからやるのでなく、社会的意義があるから やるのだと思った
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兄弟が地元を愛し、手に手を取って地元に根ざした産業の根幹を築いていく様子がとても清々しかったです。読後とっても良い気分。三角関係が複雑な展開になったら嫌だなぁと思ったのですが杞憂でした。むめの「裏切った」的な思いも分からないではないけれど、実直に地に足つけて生きる人に神様はそこまでひどい仕打ちはされないと思う。親方達の葛藤や競争心も良い方向に結果が出て、もちろん作品に書いてある事が全てでは無いだろうけど、家族や仲間、地元を思う皆の気持ちに心暖かくなりました。これ読むと眼鏡新調したくなりますね♪
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明治38年から6年間。
日本の物作りとも言える原点。
メガネ作りに人生をかけた兄弟の話。
生真面目で硬い兄、社交性がある明るい弟。
百姓が多い福井の田舎町で、地元を愛し。根付いた産業を起こす奮闘記。
親方たちの葛藤、弟子たちの競争心が「おしょりん」と前向きに進み、やめたい人 さらに技術を磨きたく街に行きたい若者を気持ちよく送り出す五左衛門を粋に思った!!
福井鯖江のメガネがこの先何百年も受け継がれていくと嬉しいな~
メガネの話ばかりでなく 恋愛事情や嫁姑問題 嫁の実家などがうまく絡んでて 面白かった。
ポプラ社ならではの人を思う物語が嬉しかった。
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福井の田舎を舞台に明治当時まだ珍しい「眼鏡」作りに挑む兄弟の奮闘を描いた作品。
西洋文化の影響をうけ社会が変わりゆくなか、先見の明で兄・五左衛門に眼鏡作りの可能性を説く弟・幸八。
後戻りの出来ない状況での試行錯誤。
五左衛門の妻・むめに対する兄弟が抱く複雑な気持ちからも目が離せない。
『まだ暗闇にある未来を、手を伸ばせば届くことのように語れる男』
素敵。夢物語で終わらせないところがまた格好いい…。
読書を通して「先人の歩み」に触れ、その長い道のりを思うと尊敬の念を抱かずにいられない。
未来に何の保証もない不安。手探りの日々。一蓮托生の重い責任。出会いと別れ。
それらを全て乗り越えた結末に胸がいっぱいになった。
五左衛門の想い。幸八の想い。むめの想い。末吉の想い。一人一人の気持ちを思うと胸に込み上げてくるものがある。
じわりと染みる良作でした。
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幸八さんは惚れた女をを結果的に幸せにした…
格好いい。
福井の眼鏡のルーツがわかる 細やかな技術を伴う職人さんの苦労。
子供が黒板を写せないのは視力が悪いからだと気づかない時代。
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久しぶりに一気読みした。地元の話しで眼鏡フレームの歴史をおしょりんを通して知ることができてよかった。
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面白かった。実際の増永眼鏡をモデルにしてるんだろうけど、泣かせるシーンがあざとくて巧いなあと思いながら読んだ。ずっと近視でICLしてから眼鏡屋全部潰れろとか言ってたけど、ずっと近視だった身としては他人事じゃないし凄く画期的な事だったんだなと感動した 。弟と義姉の関係が不完全燃焼かな。
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何のことだろうと題名を見たときにはわかりませんでした。 おしょりんとは、福井地方の方言で積雪の表面が凍った状態 明治時代、福井で眼鏡を作ることを決断した増永五佐衛門、彼がいかに苦難の末に築き上げた眼鏡産業、この作品を読んで福井でなぜ眼鏡だったのかと理解しました。五佐衛門の妻むめが結婚相手の弟、幸八と間違えた時の場面は特に印象に残っています 心に残る印象深いセリフがたくさんあります。福井の眼鏡が人々に賞賛されるところまでを想像しながら読み終わりました。 すごくドラマ化してほしい作品だと思いました。
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ものづくりの原点がこの本にある。今でこそ物が溢れているが、その頃は何も無かった。作ろうと思った頃からの苦悩が想像つかない。どれだけ大変だった事だろう。困難に打ち勝って来たから現在があるのだ。
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愛する村を救いたい!
明治38年福井県麻生津村の増永五左衛門、幸八
兄弟の熱い闘いが始まった‼︎
小学生の頃からメガネ女子のわたし(O_O)
メガネといえば福井そして鯖江!
なぜ福井なのか?不思議でした。
雪深い福井でメガネ作りに私財を投じて工場を作る
兄・五左衛門、メガネを作る技術、人、販路を大阪からひたすら村の兄に持ち帰る弟・幸八
ただただ凄いとしか言えません(*_*)
おしょりんの中を走る幼い頃の2人に胸が熱くなりました(/ _ ; )
日本の技術って凄いわ。
わたしのメガネをよく見たらhand made Japan
国内シェア95%の鯖江…
もしや鯖江メガネ(o_o)?
次は増永眼鏡店でメガネ作ろっと\(//∇//)\
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藤岡陽子さんの本なので、手にとってみたが本の厚さと明治時代の設定についていけるかな、、と一抹の不安を覚えたものの、読み始めると引き込まれました。
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福井が日本の眼鏡産地ということは知っていましたが、何故そうなったのかの歴史がわかって勉強になりました。というより、藤岡さん、モデルのある小説も書かれるのだと初めて知りました。明治時代の家同士の結婚の中での夫婦の絆の描写が秀逸でした。
学生の時、福井出身の増永君という友達がいましたが、増永姓は福井に多いのかな?と、懐かしく思いながら読みました。
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藤岡さんらしい良い話でした。福井県の人は必読の本ですね。初版本でしたが、238頁の暖簾を手で払い上げて店に入ったのは豊島さんではなくて橋本さんでは?