投稿元:
レビューを見る
娘と母(さらにその母)の親子関係がいたたまれなかったが、精神医学の進歩のおかげでようやく悪い連鎖も断ち切れそうで何より。
投稿元:
レビューを見る
ヤマト運輸、小倉昌男さん。偉大な経営者として尊敬されるの人物像とは重なりつつも、悩めるもうひとつの姿。家族との関係がうまく構築できなかった一人の家庭人、父親としての姿。少しずつ謎をときあかすノンフィクションスタイルで、読み物としても読み応えがある。本当にこれが真実なのだろうかと疑いを持つくらい、引き込まれた。
著名な経営人、有名人でなく一般人であっても、家族との軋轢は語りたくないことだろう。そして逆にそれでも偉業を成し遂げた偉大さが記憶に残った。
投稿元:
レビューを見る
小倉昌夫の評伝。
世間から知られているような人物像とは違った一面が描かれます。
私自身の個人的な境遇と重なり、非常にインパクとある作品でした。
投稿元:
レビューを見る
経営に関するの内容を期待して読み始めたのですが、家族内での苦悩や喜びに関してでした。宅急便を生み出すだけでも大変なのに、プライベートでもいろいろな困難に立ち向かっていたことに驚きました。
投稿元:
レビューを見る
たいへん感動しました。創造性のある名経営者と名高い方ですが、人生について深く考えさせられる書でした。
当たり前なのですが、自分の健康を意識しつつも、家族があって社会と関わりながら、人生を送っているということを深く感じました。
小倉さんは、エキサイティングな人生を送られ、誠実に家族や社会へ献身的に貢献されてきたのだな、それが名経営者たる所以なのだなと、思いました。
自分も、この様な想いを持って、これからの人生を送ることができればと思います。
投稿元:
レビューを見る
今回の「大宅壮一ノンフィクション賞」を受賞したとのことで試し読みでした。既に小倉昌男氏関連の本は読んでいたので「二番煎じかな」思ったのですが、これはすごいです。まず展開が素晴らしい。グイグイ引き込まれ、あっという間に読了。更に、宅急便を考案し、官公庁とも闘ったと言われる小倉氏ながら、輝ける光から生み出される陰の部分(あまり触れられなかったプライベートな部分)を痛いまでに描いています。ネタバレになるので詳細は省きますが、壮絶な人生だったことがよくわかります。著者もよくここまで取材し、読み込ませる構成をつくったものだと感嘆。文句なしの第一級のドキュメンタリーで、さすがは受賞作品と唸らせます。
投稿元:
レビューを見る
仕事に於ける成功と、家庭での成功は全く別物である事はよく分かっている。会社では駄目社員でも、家では慕われているお父さんというのは存在する。
必ず叶うけれども、どちらか一方しか選べないという選択肢しかない場合、自分はどちらを取るだろうか…
今では鬱や境界性パーソナリティ障害などは、必ずしも精神の病とは限らず、栄養障害による可能性なども挙げられているが、当時医療的、社会的、文化的に色々大変だったと思う。確かに福祉に対する方向性は曖昧だったかもしれないが、何十億という資材を費やして行動を起こされた決断に感動を覚える。生きている間に一度でもお会いしたかったと思わされる方である。
自分にとって「スワンベーカリー」は、初耳でしたが、カミさんは知っていました。さすがです。
投稿元:
レビューを見る
ただただ素晴らしい作品だった。ノンフィクション作品としては間違いなく最高峰だ。ヤマト運輸の創業家に生まれ、「宅急便」を生み出した小倉昌男氏の人生について書かれている。なぜ、氏は多額の私財を投じて福祉財団を作ったのか?そんな疑問から本書はスタートする。仕事関係、家族、氏の晩年を支えた女性・・・多くの人にインタビューを重ねていくなかで、その謎が解かれていく。巨大企業の経営者といえばスーパーマンで、普通の人間とは全く違うという印象を与えがちであるけど、本書で描かれる小倉昌男氏はとても人間くさく、特に家庭では冴えない親父でしかない。その点もとても好感を覚えた。
投稿元:
レビューを見る
宅配便の父と呼ばれたヤマト運輸の小倉昌男さんの伝記です。
小倉さんといえば名経営者のイメージが強かったのですが、
この本は会長を引退してから亡くなるまでの物語です。
宅配便を作った男は家庭でどんな姿だったのか?
なぜ私財の三分の二を投じて、福祉の財団を作ったのか?
なぜ極めて悪い体調の中、アメリカで最期を迎えたのか?
はじめは疑問だらけですが、
最後まで読むと理解することができ、久々に本を読んで泣きました。
働くことと生きがいの両方を見つけることの難しさと大切さを感じられる、
やっぱり読書っていいな!って思える本です。
投稿元:
レビューを見る
神よ
変えることができるものについて、それを変えるだけの勇気を我らに与えたまえ。
変えることのできないものについては、それを受けて容れるだけの冷静さを与えたまえ。
そして、変えることのできるものと、変えることができないものとを識別する知恵を与えたまえ。
この祈りこそが、偉大な企業家として小倉氏と
穏やかに家族を愛し続けた父親として小倉氏の
両面を見事に表現している言葉です。
***********************************
二つの言葉が心に残ったので、引用します。
まずご子息の言葉。「父の視点というのは、必ず弱いものに惹かれていました。絶対強いものにはいかない。宅急便だって、ふつうの主婦とかの不便や不都合に目がいって、事業化に結びついたし、福祉財団だってそう。それは、自分も弱きものという自覚があったのかもしれない」。
小倉氏に洗礼を授けた小林師の言葉。「彼の地位であれば、享楽的な楽しみ、目に見える物質的な楽しみはいくらでも手にすることができたはずです。でも、小倉さんは…信仰に勤しんだ。もちろん、それは同時に、彼自身が信仰に救いを求めていたことでもあります。…でも、その彼の個人の祈りは…弱きものの自立を助けるように働いた。…小倉昌男という人の生き方は、神様にも、人々の心にも強い感動を与えた。その目に見えない力は永遠に続くでしょう」。
投稿元:
レビューを見る
とにかく構成が見事。ヤマト運輸・小倉昌男が晩年になぜ福祉事業に尽力したのか——。彼の晩年のプライベートのエピソードを巧みに再構成して最終章の「真相」へ至る展開は上質の推理小説、しかも叙述ミステリーのようである。
投稿元:
レビューを見る
先日、ビジネス書大賞2017の表彰式に行ってきまして、そこで、この本の著者である森健さんの、この本に関する対談を聴き、是非「読んでみたい」と思いまして、読んでみました。
とってもいい本だと思うのですが、「ビジネス書」前提で読んだので、若干違和感がありました。
この本については、ビジネス書ではなく、伝記として読むのがよいと思います。
外では名経営者として知られていた小倉さんですが、家庭内では、仕事とはまったく異なる苦労をされていたのですね。
それだけに余計、小倉さんの偉大さを知ることができたような気がします。
投稿元:
レビューを見る
経営学と私の履歴書くらいしか小倉さんには触れた記憶がなく、とにかく行政とバトルをしてた強気な経営者というイメージだった。
そのイメージを覆すのではないが、そのストレスフルなビジネスでの戦いと同時に家庭内でもこんなにストレスフルな戦いをされてたのだなと1人の人間のノンフィクションとして素晴らしかった。取材力も凄いです
投稿元:
レビューを見る
ヤマト運輸の元会長で、宅急便の父と言われた小倉昌男の評伝。
宅急便を普及させるために、様々な規制をめぐり行政と闘った剛腕経営者、というのは有名な話だが本作には、引退後に莫大な私財を投じて福祉財産を設立した事、敬虔なカトリック教徒だった事、自身の家庭問題で悩んでいた事など、意外な素顔が描かれている。
ヤマト運輸が宅急便を開始した1970年代という時代は、日本中が高度成長の真っ只中で、小倉氏に限らず家庭を顧みず仕事に勤しむ父親は多かったのだと思う。そして本来であれば休息の場である家庭が、心に病を抱えた妻と娘の修羅場であった事が、小倉氏をより一層仕事に没頭させたのかもしれない。
経営者としては類稀なる才覚を発揮した小倉氏が、後年福祉の世界に進んだ事や、周囲の心配を押し切って、アメリカに住む娘の家で最期の時を過ごしたのも、小倉氏の家族に対する贖罪の気持ちであり、神のお召しだったのだろう。
投稿元:
レビューを見る
昭和の男、という本を読んで、
小倉昌男 祈りと経営: ヤマト「宅急便の父」が闘っていたもの
読んでみようと思った。
小倉昌男といえば、
宅急便をつくり、
昭和を代表する成功者の一人と思うが、
家庭的には恵まれていなかった。
小倉の娘さんは、
境界性パーソナリティ障害だったとのこと。
家族に病人が、
特にケアが難しい病人がいると、
本人はもちろん、
家族もたいへんだ。
どんな人でも、
人にはわからない苦しみがあるものだ、
と改めて、痛感した。