投稿元:
レビューを見る
文豪お手植えの…
仕事場探し
鮑と文庫
ティオ・玲二
五十八の原図
惜櫟荘解体
作家と教師
逗子のライオン
四寸の秘密
詩人と彫刻家
上棟式の贈り物
五十八の灯り
ベトナムへの旅
ホイアンの十六夜
一間の雨戸
画家グスタボ・イソエ
翌檜の門
書の話
児玉清さんと惜櫟荘
呼鈴と家具
自然の庭
遅い夏休み
修復落成式
松の話
著者:佐伯泰英(1942-、北九州市八幡西区、小説家)
投稿元:
レビューを見る
文庫本になったので購入。建物だけの話の方が良いように思う。スペインの話しも良いが、時間の前後関係に混乱する。
投稿元:
レビューを見る
木偏に楽と書いてレキ、リャクと読み、櫟(くぬぎ)の意。
ひなびて、落ちぶれた感じがいいと、熱海に海を望む家を買う。
海を望むと、その庭や瀟洒な佇まいの家が見えた。
それが岩波書房の持ち物で、新数寄屋づくりの名匠「吉田五十八」の作。
熱海に人の目が再び向けられ再開発の名の下に
岩波書房の手から離れようとしていた。
佐伯泰英は、その庭師に請い中には入れないがと、
庭から望めることに。その作りの素晴らしさに惹きこまれ、
東京に事務所のマンションを買うことをやめ、
購入するために奔走。
吉田五十八の意匠を守るために、チームを作る。
吉田五十八の直属の弟子である建築家や、修復作業にも参加した大工、
あらゆる情報を集めるところから始め
部材一点一点を大事に、取り外し、2年を超えたプロジェクトが始まった。
その顛末やら、自分を「職人作家」と呼ぶ自身の始まり、
など織り込んで興味深い一冊に。
投稿元:
レビューを見る
時代小説文庫書下ろし作家が、熱海の岩波茂雄亭「惜櫟荘」を修繕する模様の話。
所々、スペインやパリでの生活が回顧されている。ストーリーは上手。
投稿元:
レビューを見る
写真家の上田義彦さんが監督を務めた『椿の庭』という
映画の話から、ご紹介頂いた本。
時代小説家の佐伯泰英さんが管理人をする
惜櫟荘という熱海にある昭和に建てられた建築物について、
そしてその建て替えを担った人達のお話。
元々岩波家が管理していたという惜櫟荘が、
人の手を離れてしまうという話を聞いた著者が、
歴史的にも重要な建築物とも言える
日本家屋を買い取るところからお話が始まっています。
古い建築物ゆえに、綻びや、修繕が必要なところが多く、
今の様相を保つために、あえて一旦全てを解体し、
使える資材はそのままに、使えないものは新しく手配して、
ほとんどを以前の通りに立て直すという一大プロジェクト。
読み始めは、建築用語なんて
ほとんどわからないわけだから、
読み進めるのもなかなか進まずに、
建て替えの話の間に挟まれる著者の
スペイン暮らしの思い出を振り返るエピソードばかりが
頭に入ってくる。。。
私には合わないかなぁと思いいながらも読み進めると、
少しずつ建築用語よりも、著者の目に映る
建て替えを担う人達の惜櫟荘への愛情深さが
気になってくるようになる。
読み終えた後には、私も惜櫟荘にいつか行きたい、
守り継がれる日本家屋を見てみたい、という
気持ちになりました。
『椿の庭』もまた、監督が京都から移築したという、
海を望む日本家屋が舞台で、
そこに女主人は、家をとても大切に扱っている。
守るべき日本文化の一つとして、
資金を投じて日本家屋を守っていく姿勢は
いつか引き継ぎたいと思いつつ、
私は今の自分の生活に精一杯だ、と
思い直す気持ちにもなってしまった。
とはいえ、自分の生活が成り立った時の、
一つの目標にしたいものだとも思った。