投稿元:
レビューを見る
目次:
第1章 総則―第1条・名称/第2条・会員/第3条・事務所
第2章 目的および事業―第4条・目的/第5条・事業
第3章 役員―第6条・役員の種類/第7条・役員選出の方法/第8条・役員の任務分掌/第9条・役員の任期
第4章 会議―第10条・会議の種類と構成/第11条・会議の招集/第12条・総会の議決事項/第13条・会議の成立要件ならびに議長および議決
第5章 組織―第14条・専門部/第15条・協力組織および委員/第16条・組(班)およびブロック(棟)/第17条・連合組織
第6章 会計―第18条・会計年度/第19条・収入/第20条・会費/第21条・支出/第22条・会計および資産帳簿の整備
第7章 会計監査―第23条・監査と報告
第8章 加入および脱退―第24条・加入/第25条 脱退
第9章 付則―1細則の制定/2施行日
ピックアップと一言:
名称
・これまで再開発や区画整理によって古い地名が公式的にはなくなっていくケースを数多く見かけますが、古い地名は過去の住民の生活や環境を偲ばせ、したがってまた現在の地域生活の成り立ちを理解するうえで手がかりになるものですから、会の名称としても尊重したいものです。
→東広島市にも昔は「小字(こあざ)」がありましたが、平成17年の合併に合わせて全てなくなりました。その影響で、山地番と耕地番で地番の重複が起こり、山地番に10000を足すという荒業を今でも行っています。この小字ですが、水源を表したり、災害の歴史を表したり、歴史的な人物にゆかりのある事柄を表していたり、その地域に刻まれた歴史そのものですので、無くなったことは大変残念に思います。三ツ城自治協議会では、この小字を区名(自治会名)に残して、歴史をつなぎとめています。「〇丁目自治会」の方が分かりやすいので変更しよう、という声も多くありますが、ダブルネームでもよいので、残していきたいと考えています。
会員
・会員は住民個人でも加入は世帯単位としていますが、その基本的な考え方は、世帯が居住単位であるということです。居住単位の意味は、その世帯が維持管理している家屋(賃貸であろうと持家であろうと)があるということです。世帯は地域の一定の空間を占め、地域空間の基本的単位として存在し、そのことによって地域生活の基本的単位をなしているのです。
→自治会・町内会は物理的なエリアが特定されており、その中に、世帯の住む家の敷地が物理的に存在するということで、パズルのピースのように、世帯は自治会・町内会を形作っているということですね。
目的
・自治会・町内会は「住む」ことを契機に組織される住民自治組織です。したがって、その目的はよりよい生活環境と社会関係を共同でつくりあげていくことであり、とくに課題が限定されているわけではありません。住民が問題として取り上げることに合意したら、それが自治会・町内会の課題となりうるわけです。それが、自治会・町内会が包括機能をもつ集団だといわれるゆえんです。それゆえ、目的を条文にすると抽象的にならざるをえません。
→目的を何かに限定すると、それはテーマ型、いわゆるNPOやサークルのような団体となります。自治会・町内会は包括型(地縁型)として、��れらテーマ型と連携して、活動を行っていく必要がありますね。
事業
・現代生活は、個別化していけばいくほど、その生活基盤を社会的公共サービスに依存していきます。それゆえ、私たちの生活は制度的にも行政との関係がますます強まざるをえません。したがって、地域の生活環境改善の課題は、住民と行政の「共同事業」としてのまちづくりをどう推進していくかという方向で設定しなければなりません。「行政まかせ」という考え方は成り立ちにくくなっています。
→「行政まかせ」になればなるほど、自治会・町内会は行政との共同(協働)を進めていかなければならないということですね。
役員
・任期が長くなりすぎると活動がマンネリ化し、また住民のおまかせ気分も強くなって組織の活力が失われていくことになりかねません。逆に任期が一年でどんどん交代していく場合には、役員経験者が増える利点はあるものの、会の運営の仕方がわかったときには交代となって、だれも本気で会のあり方を考えないとうことになりがちです。この両方の欠点を避けるためには、任期は最低二年とし、同時に再任は妨げないとはいうものの、あまり長期にならないようにするのがいいでしょう。
→役員にも様々ありますので、住民自治組織の会長や、部会長から、各エリアの区長(自治会長・町内会長)、班長まで、それぞれに見合った年数というものがあると思いますが、特に自治会長・町内会長は輪番制にするにせよ、せめて2年の任期が必要ですね。せめて班長1年→自治会長1年とか、副会長1年→会長1年とかにすれば、役員としては2年行うことになります。
加入
・第二条で会員の資格を規定して、自治会・町内会の区域のなかにある全世帯、全事業所が会員となる資格をもつとしました。そうだからこそ、全関係者がその決定についての発言権を確保することが必要なのです。この意味で、全世帯加入の原則は、住民の義務ではなく権利としてとらえられるべきものです。
→「会員となる」ではなく、「会員となる資格をもつ」というところが重要です。すべての住民はいつでも自治組織に対して発言する機会が必要ですし、入会・退会の自由(権利)もあるわけです。そのうえで、自治組織は多くの方に参加してもらえるように、活動を知ってもらい、賛同してもらう努力が必要となります。
感想等:
・自治会・町内会の標準的な規約を紹介・説明しています。規約文自体は簡潔な文章ですが、そこに込められた様々な意味や思いをしっかり述べてあり、規約を作るうえで大変参考になる本です。
・様式としては、簡易現金出納集計表、会計監査報告書、弔慰金規定、旅費規定なども掲載されており、これらを参考にするだけでも意義のある本ですね。
・既に規約を作られている自治会・町内会でも、是非一度見直してみてください。