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おもしろかったです。
アフリカに移住した100万人の中国人と、受け入れているアフリカの国々の話です。
丁寧に取材されているので内容がしっかりしていて、読みごたえがあります。
ただ、いい話に比べて悪い話の方が多く、まだまだ良くなるには時間がかかりそうなので、読み終わったあとに少しすっきりしない気持ちが残ります。
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以前から各種メディアを賑わせている中国資本のアフリカ大陸への進出を、中国語を始め数カ国語に堪能な著者が、実際にアフリカの地に赴き彼の地で事業を展開する中国人にインタビューを行いそれを元にまとめた本です。
何より勢いがある。成功したい。お金儲けをしたい。という考え方は、一昔前の発想であると今の日本だと、非難する風潮もあるかもしれないですけれど。
ただし、フットワークの軽さや機転の聞き具合などは、今の日本人には考えられない躍動感とメンタリティを感じました。
こういう人達と世界で経済戦争して勝てますか?という風にも読める本だと思います。
勿論、多少胡散臭い輩や事業などもありつつですが。
この本を読み進めて行くと、中国人が増えすぎて以前よりも競争が激しく場所によっては、成長余力がもう限られていること、アフリカの現地人も商業の力を付けてきているので、ライバルとなるのは時間の問題であることなど、ぼーっと、日本国内の動きだけに注視していると、世界のことが全くわからない時代になりました。本当に。
多少悲観的に見つつも冷静な視点で描かれているので、読んでいて腑に落ちる点がこの本の良い部分だと思います。
中国関連本だと最近良く書店の店頭で目にするのは、批判と評価の極端に分かれた物が多くてバランスの悪さを感じていたので、どちらでもないこのバランス感覚が心地よいです。
海外生活に慣れている著者だからこそ書けるスタイルなのかもしれません。中国人と現地人どちらにも肩入れしないスタンスが、この本に好感を持った要因だと思います。
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中国がアフリカに進出して、資源や利権を奪取して話題になって久しいが、本書はそれを現地(サハラ以南10か国)に行って現地の中国人や現地の政官民の幹部に話を聞いて、その実態を記した本である。
中国政府によるひも付き援助の建設関連で長期出張してくる人たちの他に、一旗あげるべく自分の意志でやってくる中国人がとても多いのだ。本国にいては成功できないと思った人々が、わずかな情報をもとに、計画もなくやってくるのだ。こうして資本もなくできる小売業などから参入し、現地の人たちの仕事を奪って、発展と反感を作っていく。
この行動力というか向上心というか、多くのアフリカの人にはないこの資質がある限り、良くも悪くも中国のアフリカ進出は止まらないのではないだろうか。
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アフリカに渡った中国人達を追いかけた物語。昔から知られて居た中国人のタフさが垣間見える。アフリカに置ける中国に関するニュースは概ね否定的なものが多いように思えるが、やや過度に否定されているような気がしなくもない。確かにベストな形ではないかもしれないが、地域開発という意味では何らかの貢献をしていることは間違いないと思う。以下、興味深かった箇所を抜粋。
P12.政府の仕事は計画を立てることであり、アフリカで中国はまさにそれをやっている。中国のアフリカ進出を巡る報道で大見出しを飾るのは中国政府による融資や国営大企業が手がける大型プロジェクトである。だが多くの場合、現実を意味のある形に作り上げるのは無数の脇役達、その多くはどこからどう見ても無名な人たちの行為だということを、歴史は教えてくれる。
P15.ガーナの民間大手シンクタンクの上級役員エド・ブラウンはこう語っている。『中国との関係はこの先50年間のアフリカの運命を決するでしょう。問題は、アフリカの国々にこれを利用する活力があるかどうか、ないとすればアフリカはまたもやどこかの国の付属物に成り下がることになります』
P25.モザンピークに移民した中国人曰く『どうせ頭も切れず、物分かりの悪い奴らが相手なら、俺でもやっていけるだろうと思ったわけ。もしアメリカかドイツに行っていたら、俺はどうなっていたか。きっと芽はでなかったろうよ。アメリカ人やドイツ人は頭が良すぎるから、到底太刀打ちできやしない。俺たちに必要なのは遅れた貧乏な国だ。俺たちが先頭に立って商売ができる、つまり成功をイメージできる国だ。恐ろしく利口なあめりかじんばかりいる合衆国だったら、俺たち、競争なんかできっこない』
P153.私がギニアで話をした数少ない知識人は皆CIF(中国国際基金:香港の一民間企業)の重役たちが中国指導部と親しいことを知っていて、この事実こそCIFの行動が中国の手法そのものであるという証明だと考えていた。
P170.中国人は独特のやり方で事業を進めます。大統領と直に会って、これ見よがしの提案をする。それだけです公開の議論など、しようともしません。国際的きはんも大したことないと考えている。市民社会も民主主義と行った原理も重視したことがない。これがこの国(シエラレオネ)での彼らの大口取引の背景です。こうした懸念はあるものの、セネガルのような国は中国マネーのおかげで新たな選択肢をえて、一息つける余裕を持てたとラホールは指摘する。つまり、西欧の束縛から解き放たれるという、これまでに味わったことのない自由をえたと言っているのだ。私たちは一つの選択肢として中国を歓迎しました。投資家が見つからない状況に、西欧はただ顔をしかめて、君の国は腐敗しているというだけです。
P216.1990年代末、マリを訪問中のフランス共産党の代表が、中国人がやってくる。連中は大胆で何でもやりかねないので警戒しろとしきりに言った。私は言ってやりましたよ、他国を食い物にすることにかけては、中国人はフランス人に引けをとりません。違いはたった一つ、中国人のやり方は巧妙でこっちがやられたと気づくまでに時間がかか���んですよ。
親中か反中かとよく聞かれるとボリは言う「中国人は好きでも嫌いでもありませんが、ただ一つ感心させられることがある。中国人は、どうしたら自分自身であり続けることができるかを知っている。それはあふりかじんなら誰でも理解できる夢ですし、そのてんでちゅうごくじんは尊敬に値すると思います」
P220.中国人は建設や工業の運営を自分たちだけで行い、経営に関する貴重な技術をげんちじんにほとんど伝えないことは、色々なところであふりかじんが口にする不満である。このような困った状況を作り出すには、組織的な陰謀や悪意さえも必要ではないチャンスを掴むか奪われるかの関係である。自ら提唱するウィン・ウィンの兵庫を信じて疑わない中国だが、こん点に関して新思考を打ち出してきたとは言えない。
P265.この国(タンザニア)に来る中国企業は皆民間情報機関のようなもので、資源や商機について中国の利益になりそうな情報は全て大使館に伝えます。確かに中国人はいいこともしますよ。仕事をくれる、国庫を豊かにしてもくれる、道路を造る、しかも仕事は速い。でもプラス面とマイナス面を比べると、マイナス面の方がはるかに大きい。だが、これが公に議論されることはないんです。与党は長い間、中国と良い関係を保っているし、我が国のエリートは中国企業に取り込まれているからです。
P284.私(著者)がアフリカで出会った中国人はほとんど皆、世界における自国の立場に安易で確固とした独りよがりの自身を持っていた。
P310.ナンビアにて。有力政治家の子弟が中国から奨学金を受けているのをご存知ですか。とニシカク(近郊の大手採掘会社で働くエンジニア。国内で中国がそんざいかんを高めていることに警鐘を鳴らす批評家として知られている)は腹正しそうに言う。大統領の娘まで留学している。みんな子弟を中国へ留学させています。中国がこんな風に便宜をはかるのは、我が国の政治家を操ろうと言う魂胆だからです。