紙の本
残酷な世界を克明に描写
2016/04/17 23:13
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投稿者:あや - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者の作品を読むのはチェインドッグに続いて2作目。ノンフィクションか、と思うくらいに現実にあった事件やリアルな学校裏サイト、Twitter、SNSの使い方などが出てきて話にリアルさを出してくる。最後の引用、参考文献をみても現実にあったり、今どこかで起きていたりすることを書いてるとは思う。テレビのワイドショーでいじめの話をきくと残酷すぎて…目を背けたくなるようなことがおおいが作中にはそこが詳細にかかれていて読んでいても辛かった。
少年法や、いじめに対する教育機関の対応についての皮肉もあり、衝撃作や問題作と言われるのもわかる。
内容から人には薦めにくい。が、構成力、文章力は素晴らしいと思う。
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多方面の感情を読み取って思考してしまう物語なのですが、どの方面から考えても全てが胸糞悪い話です。
少年法。
カイは仲の良い従兄妹がいじめにより酷い状態になったこと、犯人は少年法に守られ8週間のオツトメでシャバに戻ってきたことに納得がいかなかった。そんな中でカイは自殺シュミレーションをしていたフミキと出会う。話したことがなかったクラスメイトだ。カイはフミキに自殺する15歳の誕生日まで、手伝って欲しいといい、フミキに はそれを承諾する。
すべてはカイの従兄妹に手を出したあの兄弟を制裁するため。そのまえに少年法に守られたクズどもに練習として制裁をし始める。
いじめられたことのある人、いじめられた大切な人がいる人、いじめたことのある人、いじめを目撃したことのある人、そしてニュースやらで少年法に憤慨したことある人、家族にも友達にも恵まれず孤独な人。
それらすべてにおいて胸糞悪いです。救いようがない。目には目を、歯には歯を。やられたらやり返される、殺人は覚悟の問題。
わたしはこの物語がきちんとフミキにそれらを制裁させたところが良かったと思いました。
カイが途中で降りてしまい、フミキも思い止まってしまうのかなとも思いましたが杞憂でした。きちんとぶっ放してくれた。だけど彼自身生かしたこと、そして8年間延命処置を取っているとう描写に涙腺緩んだ。フミキにとって初めての友達だったんだよね、カイは。少年法への報復、復讐の話ではあるけど、思春期の青春的な物語でもあって、夢中になって読み耽りました。
ただ、本当に胸糞悪くてぐったりしたけども。
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痛めつける描写が残酷で、目をそむけたくなります。そうした展開が延々と続くのに、着地点にそんなに意外性がありませんでした。ただ、見慣れた結末でないのは確かです。
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今日読んだ二冊目も、まさかの復讐ものであった。
「いたいのいたいの、とんでゆけ」が復讐そのものよりも人間ドラマに重点を置いていたのに対して、
本作では、なぜ復讐をするのか。人を傷つける人間を傷つけることは何がいけないのか、と復讐そのものに重点を置く内容だった。
櫂は野球部だったが、とある事件で休部した。
兄弟のように育った従弟がエスカレートしたいじめで意識不明の重体になり病院に運ばれ、そのいじめでは従妹も被害にあっていたことを知る。
加害者に復讐したい。
そんな中、クラスの目立たない男子を公園で見かけた。文稀は自殺に適した木を探しているという。
じゃあ、お前。死ぬまでに俺を手伝えよ。
本命の相手に復讐をする前に、インターネットでいじめの加害者を探し出した二人は、練習台として彼ら彼女らに制裁を繰り返していく。
あー、これ最後あかんパターンやわぁと思ったら、まさかの大成功!
「赤と白」でオカンと友人焼き殺し、「避雷針の夏」で村をぶっ壊し、それに続く「チェインドッグ」は、う~んびみょーだったものの、今作にてまた欝々として爽快な読後感を演出した。
一気読み。
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夜のランニング中、櫂は1人の少年と出会う。彼、高橋は櫂のクラスメイトだが大人しく何を考えているのか全く分からない少年で、クラスでも浮いていた。夜に出会った彼は櫂にあっさりと言う。自殺する予定だと。15の誕生日を迎える日に決行する予定だと。そこで櫂は高橋にある計画を持ちかける。それは、密かな復讐劇の始まりだった。
殺伐としていて痛々しく、世界に2人しか実在していないような話。もちろん家族も友達も被害者もみんないるんだけど、二人の行動だけで完結していくから、全て妄想でしたってオチだったとしても納得出来そう。だからこそ前半は二人が少しずつ近付いていくのが微笑ましいくらいだったのに、後半があっさりしすぎてて残念。せっかくここまでじわじわ積み上げてきたのだから、終息に向かってもう少し直接的な働きかけがあったらよかったかな。そうじゃないからなお痛々しさを増してるのかもしれないけれど。
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『復讐』をテーマにした作品。現代の日本やネット社会の闇を上手く表現した作品である。復讐とは何だろう。何のために人を痛めつけるのか。復讐をする事で結局は同じ穴の狢ではないかなどといろいろな考えが頭の中を巡ってゆく。中学生でありながら、復讐という目的のためにあそこまで行動するというのは非常に恐ろしくもあり、驚きでもある。復讐をする事で幸せになれるのかと問われたら、必ずしもそうではないと思わされる作品だった。
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自分が中学生の時(今は50だが)、ひとを殺していけないのは、そこに自分の命も奪われる可能性があるからだと思い当たった。
で、
結構な頻度でマンガやゲームや映画等に『何でひとを殺しちゃいけないの?』と問いかける不気味な犯人像を目にするが(これがまた美女や美男子だったりする)、
この手のクリエイター達って大丈夫か?
面白くなかろうが、感動的でなかろうが、はたまたシンプル過ぎようが、集団で生活する上で最初のルールだぜ?
主人公の『殺される覚悟のない奴は殺しちゃいけない』っていうのは単純に正しいと思う(自死では無く、あくまで自分以外に殺される覚悟)。
この種の疑問に答えが見出せない奴は思考を止めてるか、よっぽどのロマンティストで、何か神がかった壮大な答えを期待してるんだろうけど、残念ながら答えはつまらない程、シンプルです。
崩壊しつつあるけど…。
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中学生櫂と文稀ぼ復讐もの。15歳で死ぬことを決めた少年。ぼくはもうスグ死ぬ。他人のことまでいちいち深く考えてられないよ。ちきゅうが滅びたって関係ナイじゃない?ころされてもかまわないってやつだけが。殺せるんだ。その覚悟があるかどうかです。最後は悲しい。許せない気持ちもわかる。
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少年法に守られて罰せられない犯罪者たちを狩っていく二人の少年の復讐譚。テーマとしては手垢にまみれた感が無きにしも非ずですが、二人の少年の関係性が徐々に変化していく様の描写は見事で心に刺さります。着地の仕方もお見事。
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2016/3/18
無惨な事件を起こしながら、全く反省しない「いじめ」加害者たちを拉致し制裁を加える2人組。
2人の暴力がエスカレートしていく様子がいじめ加害者のようで胸糞悪かったなあ。
やられる覚悟のあるやつだけがやれる。
いまいじめをしている人間がこれを読んだらどう思うんだろう。「自分だけは大丈夫」て思うんだろうな。
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描写や設定がいちいちえげつない。そんなえげつないことが、大なり小なり現在進行形で行われてるんやろなぁ。胸糞。
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従弟を傷つけられた少年と、自分自身の存在に価値を見いだせない少年。対極的にも思える二人が協力して、いじめを行った少年たちに報復を加えていくクライムサスペンス。
いじめ、少年犯罪、復讐という重いテーマでもあるし、少年たちの青さというか中二病的な部分も痛々しさが印象的。だけど物語が進むにつれ、二人の間に友情のようなものが見られるようになったりもして、「これはもしや爽やかな青春物語というオチなの?」と思える部分もあったけど。……やはりそう甘いものじゃないのですね。
やり場のない怒りや、加害者に甘すぎる世間に対する憤りはどうしようもないことだけれど。復讐することで得られるものがあるわけじゃないのも確か。だったら被害者はただ耐え忍ぶしかないのか。酷い話ではあるけれど、それが事実なのかもしれません。ただ、それでもどこかしらに希望はあると信じられればいいのですが。
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寄居虫女が非常に面白かったので、図書館でこちらも借りてみる。
胸くそ悪いけど寄居虫女ほどではなかった。
作品としては面白い。
しかしまあ、復讐はかまわないけど復讐の練習というのはどうだろうか。
復讐は被害者とその家族にだけ認められるものだしな。
彼らがおこなったのはただの暴力でしかなかった。
暴力は感覚を麻痺させるんだよ。
たぶん彼らはもうもどれない。
暴力をやめられない。
いずれまた同じ事をする。
そして裁く方から裁かれる方へ。
やったらやり返される。
いずれ彼らは復讐をうける。
やるせない。
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復讐のために練習するのが引っかかる。「なぜ人を殺してはいけないのか」の質問に対して「覚悟の問題。人を殺す権利を手にするってことは、同時に自分が殺されても文句を言わない義務も一緒に背負う。殺されても構わないってやつだけが、殺せる。問題はその覚悟があるかどうか」という回答も現代の風潮なのか怖い感じがする。「親ならやり返したい、同じ苦しみを味わせてやりたい。でも逮捕されたら残されたこの子はどうなるのだ。何をしても怒りが、悲しみが消えるわけではない。苦渋の選択で復讐心を噛み殺しわが子のそばについているほかない」は母親の胸中、
「少年法はもともと、戦後に町へあふれかえった戦災孤児に対する情状酌量措置として制定。でも、女を強姦するようなやつは本当に少年なんだろうか?女を犯すことは情状酌量の余地ある犯罪か?強姦は少年法で守られるべき罪状と言えるのか?」は、女性の作者ということもあるが同感。あと終わり方がもう少しインパクトが欲しい感じ。
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辛い。
フミキが死にたい理由が悲しい。死んでも無駄と悟った時の気持ちを思うとやりきれない。
フィクションとして読むと、フミキの生い立ちは、あまりにベタに不幸で、リアリティがない。でも現実にこんな子どもはいるんだろう。実際、例に挙げられた酷い事件は現実で起こっている。その事がとても怖い。