なぜ美しいパリがあるのか
2016/12/10 21:15
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投稿者:ロン - この投稿者のレビュー一覧を見る
美しい都市、パリが存在するのはなぜかがわかりました。ヒトラーはとんでもない人物だったのだ。連合軍の悲劇やパリ市民の苦悩を知りました。この本を読むと、もう一つの第二次大戦が見えてきます。
喋らない(喋れない)と見えてこない
2022/08/01 22:56
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投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ディートリヒ・フォン・コルティッツ将軍は捕虜になった時に軍衣の左袖にクリミア盾章をつけているように第22歩兵師団の第16歩兵聯隊長としてセヴァストーポリ戦に参加している。が、彼は師団長だったハンス・フォン・シュポネック将軍の命令で「最悪の仕事」としてユダヤ人の虐殺をしているが、言うわけがない。仮に何か出て来ても死刑になったオーレンドルフと行動部隊Dに責任を負わせるだろうが。同著者の「おお、エルサレム!」に出て来るユダヤ人の中には第22歩兵師団によって家族や友人を殺された人がいるかもしれない。この本の武装SS隊員の書き方がヒトラーのロボットみたいだ。古い本だから当時の関係者の証言が使われている反面、今となっては批判すべき点はあるだろう。
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原書名:IS PARIS BURNING?
第1部 脅威
第2部 闘争
著者:ラリー・コリンズ(Collins, Larry, 1928-2005、アメリカ・コネチカット州、ジャーナリスト)、ドミニク・ラピエール(Lapierre, Dominique, 1931-、フランス、ジャーナリスト)
訳者:志摩隆(1931-、翻訳家)
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著者は二人とも本業は雑誌記者。60年代当時存命だった関係者へのインタビューなどを元に、パリ開放の様子を活写し、ピューリッツアー賞を獲った名作ノンフィク。本当にあった話とは思えないほどドラマチックなエピソードが多く、ページをめくる手が止まらないほど楽しめた。下巻の展開も楽しみである。
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「映画は観たけれど原作は読んでいなかった」シリーズ読書である。
「パリ解放」。第二次世界大戦の年表を作ったら、たった1行で終わっ
てしまうだろう。それが、文庫本上下巻で各400ページ超である。
ヒトラーのナチス・ドイツがフランス・ヴィシー政権と休戦協定を結ん
だが、実質、フランスはドイツ軍の手に落ちた。1940年のフランス
占領から4年後、連合国軍のノルマンディ上陸でドイツ軍は占領地
の一部を失う。
そして、パリではドイツ軍に対する抵抗運動が始まった。国内に残っ
たレジスタンスたちは一斉蜂起を企てるのだが、レジスタンス側は
一枚岩ではなかった。
ドゴール派と共産主義者がどちらが主導権を握るかで争い、スウェー
デン領事が仲介したドイツ軍との休戦協定もなし崩しになる。しかも、
武器も弾薬も圧倒的に不足していたレジスタンスは窮地に陥る。
ドゴールやドイツ軍パリ司令官のコルティッツ将軍など、歴史に名前を
残した人物ばかりではない。本書にはパリの市井の人々が多く登場
する。
パリからの最後の虜囚のひとりとしてドイツへ送られる夫の乗った列車
を自転車で追う妻、ドイツ軍の工作隊による爆破作業を遅らせる為に
停電を発生させた技師、祖国解放の為に古びた銃を取りドイツ兵に
狙撃された少年、ドイツ軍戦車内にモロトフ・カクテルを放り込んだ後
にハチの巣にされた少女。
誰もがパリ解放の為に三色旗を掲げ、自身の命を懸けた。パリがワル
シャワのような焦土にされぬようにと願って。
登場人物が多く、それぞれの視点から書かれているので場面展開が
早い。さぁ、下巻ではいよいよ連合国軍のパリ入城から解放までだ。
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【華の都,命運の刻】連合軍の進撃が続く中,ヒトラーが徹底抗戦を主張するとともに,その破壊を命じていたフランスの首都パリ。複数の思惑や願望が渦巻く中,いかにしてその華の都は崩壊から逃れ,解放へと至ったのか。膨大な情報量を基に運命を決した数週間を再現したノンフィクションです。著者は,『ニューズウィーク』の特派員を務めたラリー・コリンズと『パリ・マッチ』の特派員を務めたドミニク・ラピェール。英題は,『Is Paris Burning?』。
ズバリ,圧巻の一言。混沌とした解放までの歩みを,これでもかというほどの事実情報の山でごろんと差し出してくるあたりが本当にお見事。同時に物語として読み応えがあることも間違いなく,解放の日の悲喜交々は強く胸を打つものがありました。名作と呼ばれる誉れに相応しい一冊だと思います。
~ドゴールは、フランスの国民が自分をその指導者として受け入れる準備ができているかどうか、心の奥底で自問していたのである。そしてドゴールは、この疑問への解答をえられる場所はただ一つ、パリの街にしかないことを知っていた。~
やっぱり一定以上の分量でないと味わえない読後感がある☆5つ
※本レビューは上下巻を通してのものです。
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「パリは燃えているか?」
もちろん、その言葉の意味する事は知っています。「パリよ、永遠に(Diplomatie)」と言う映画も見た事があります。ですが、パリ解放の背景に、ドイツ軍とレジスタンスの戦闘/駆け引き意外に、フランスの国内事情として、ドゴール派と共産党勢力の覇権争いもあったとは、認識していませんでした。
小説ではありますが、事実を記したもの。そういう意味で、本当に時々刻々と事態が進行していて、何か一つの歯車が狂えば、今我々が目にするパリは無かったのかもしれなかったんですね。
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パリには中世からの古い歴史的建造物が数多く残っています。これは、第二次世界大戦でドイツの占領下にあったものの、空爆や戦闘にさらされなかったため、と漠然と理解していましたが、このドキュメンタリーを読むと、ことはそう単純ではなく、今日のパリの都市としての美しさが多くの人々の文字通りの奔走により保たれたことがよく分かります。
「パリは燃えているのか? どうなのだ?」ヒトラーが参謀長に詰め寄る場面は鬼気迫ります。連合国軍の手に渡る前にパリを爆破により全滅させろ、との命令が、パリ司令官であるコルティッツに発せられていたのです。しかし、コルティッツは、敗戦が濃厚な混乱の極みの中で、驚くべき冷静さを保ち独自の決断を下します。もちろんそれは、大きな時のうねりの中という状況下で下されたものであるものの、当時のドイツ第三帝国総統に背を向けることに、大きな葛藤があったことは想像に難くありません。
本書には、パリ進行を強く望んだドゴールやルクレール、連合国軍大将のアイゼンハワー、スウェーデン大使ノルドリンクといった主要人物をはじめとして、占領下に苦しむパリ市民、レジスタンスの人々など多くの歴史的には無名な人々の動向が活写されています。8月19日、シテ島のパリ警視庁舎で勃発したパリ解放の動乱は、8月25日のコルティッツの降伏、26日のドゴールのパリ凱旋行進で幕を閉じますが、その過程では数多くのレジスタンスやパリ市民(老若男女を問わず)が犠牲となっている一方、ドイツ兵も報復により処刑されるといった痛ましい光景が繰り広げられ、パリの解放が多くの犠牲の上に成り立っている事実に震撼させられます。
コルティッツとパリ市長テタンジェ(有名なシャンパンメーカーの創始者)の間で交わされるパリ爆破計画をめぐる緊迫した状況での会話の秀逸な言い回し、そしてドゴールが危険を顧みず強行したパリでの行進でみせた威厳が強く心に残ります。パリの街に今も残る多くの建造物や、地名が多く登場することで、今の街の様子を思い浮かべながら読むこともできるでしょう。
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第二次世界大戦末期、ドイツ占領下のパリがどのように開放されたかを詳細な取材をもとにして書かれた図書。
ヒトラーからパリが連合国軍の手に落ちるようなことがあれば、パリのすべてを廃墟とするよう指示があった。しかし結局はパリは人的被害は大きいものの、歴史的建造物の被害はあまりなかった。その奇跡を描く。
取材なのでありとあらゆる関係者が出てきて様々なエピソードが書かれている。驚いたのはわりとドイツ軍の何人かの将校は破壊することに躊躇していたところ。むしろ連合国軍がパリに進撃すれば、ドイツ軍だけの責任ではなくなるので、進撃してほしいという考えもあったよう。
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フランスのパリへの旅行経験あり、第二次世界大戦に興味がある人は、絶対に読むべきノンフィクション。
混乱、悲惨、奇跡が混在しながら、解放者、レジスタンス、絶望の占領者などさまざまな目線でパリ解放のストーリーを見せてくれる。
長い、登場人物多い、悲惨なエピソード、、、
でも、パリジャン達の犠牲を払いながら、現在でも世界を代表する観光地であり魅力的な都市を保つ事ができたストーリーに一層パリを愛おしくなると思う。
みんなが知っているヘミングウェイもちょい役で登場するのもいい。
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パリに侵攻したナチス軍と、指揮官であるコルティッツ将軍を中心に、1944年8月のパリの市民、レジスタンス、ドゴール将軍、連合軍の指揮官達の緊迫した日々を丁寧に追っている。もしかしたら灰燼に帰したかもしれない歴史的なパリの街の存続を図ったノルドリンクに拍手したい。
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p.392 荏苒として(じんぜんとして)
p.231 「かつてこの私、フォン・コルティッツ将軍は、この建物を全部破壊しようと思えばできたのだが、人類への贈物として保存しておいたのだ」と。