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押切もえさんというと、多くの方がご存じのモデルさんですね。10代の頃からずっとモデルの仕事をしていたんですが、30代の半ばになって、コツコツと小説を書き始めていたんです。その2冊目がこれです。今回、「山本周五郎賞」の候補作に入っていたのですが、その中では一番古風で丹念に書かれた本だと思います。
構成としては、6つの短編がゆるやかに繋がっていくオムニバスになっています。押切さんがよくご存じのタレントの世界、歌手の世界、それから絵描きの世界がつながって展開していくので、無理なくスーっと読めて、「おや? この人なかなか実力があるじゃないか」って感じさせる作品になっているんですよね。そこに最初は驚きましたね。
まず作りがとても丁寧です。その状況がどうなっているのか、その時に主人公が見た世界はどう写っているのかっていうような描写って、とても面倒くさいんですけど、丹念にやろうとしているのが伝わります。
(公式メルマガ「ブックトーク」26号より一部抜粋)
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いくつかの章ごとが続く話ではなく、それぞれに心に残るコトバが出てきた♬
自分の状況と重ね合わせると、励まされたり、胸に刺さる感覚だったり、考えさせられた!
もっとキモチの余裕が出てきたときに、再度読み直したい!
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著者は押切もえさん。
どんなに微笑む著者の写真を見ても、
華やかな世界とは裏腹に
私にはどこか寂しげな印象が残る人。
初読みの作品でした。まぁ、まだ2作品くらいだったかと思いますが、
同じような表現が続いたりして、
ちょっと最初は「うーん」となる。
ストーリーはどれもそれなりに面白いとは思った。
7BOYSのアキの話がよかったなぁ。こういうのは切ないね。
でも、新作が出たら読むか、と言われたら
多分読まないかなぁ。
彼女の印象と同じでどこか寂しげで薄幸な感じがまとわりつくのが
しんどかった。
にしても、同じ副詞が続いたり、わかりにくい表現が続いたり
素人目にもどうかと思ったけれど、
あれは狙いなのか、それとも編集者や校閲のミス???
狙いだったとしたら失敗ですな。
いや、受賞が伸びしろに与えられたものなら
上手くできているのかも。
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恋に仕事にふと立ち止まりそうな女性の心情をそっと掬い上げる連作短篇集。
永遠じゃない、だけど、大事な1日、を6人の視点から丁寧に描きあげてます。
インスタなどを見ていても、同じものを見ていて、こんなにも素敵な風景を切り取れるのか、と思うことがよくあります。同じように小説でも、作者の目を通して見た世界は自分の知っているものとは一味違って、それを楽しめることが小説の醍醐味だなとしみじみ感じます。
押切さんの前向きで優しい視点を存分に楽しめました。
ただ温かなだけじゃなくて、冬の日差しみたいな、寒さがあるからこそ染み入るものがありますね。
書かれているのは日常なのに、日常だからこそ、辛いこともあれば嬉しいこともあって、それがそのまま自分の毎日でもあるんですよね。
ちなみに甘いもの大好きな私からすると、ショコラについての描写も最高でした。
どの短編もいいですが、「しなくなった指輪と七日間」にささくれた心が癒されました。
「いつからか、夢を叶えたい一心で自分のことだけを考えるようになっていた。「出てって」と告げる前に、どうしてもっと楽に呼吸をしながら、ともに支えあって歩むことを選べなかったんだろう。」P104
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我儘な売れないモデルのマネージャー、仕事に食らい付くスタイリスト、アイドルの娘と離れて暮らす絵画教室を経営する画家の母親、地方アナウンサーの親友らと旅行に行き上手くいかなさに踏み込んでする喧嘩、性同一性障害を隠し歌詞に思いを託すアイドル、降格し新しい夢に向かうアイドル。知らない業界の話は興味深い。
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色々な女性たちの希望と挫折、そして続く日常。業界人だからわかる世界の裏側も交えてあってとても面白かったし、それでいて普通の感性も忘れていないので読んでいてとても心地いい文章でした。
芸能人が書いた本という色眼鏡をかけて読み始めた事は否めなかったけれど、読んでいるうちにそんなことを忘れて読んでいました。読み終わった後で「あ、そうだった」と思うくらいでした。
ぜひもっと書いて欲しいと思わせてくれる本でした。