投稿元:
レビューを見る
他のレビューは絶賛だが、私には?
疑問点を2つあげておく。
・本書の預金の推計は、ネット専業銀行の存在を無視している。
私は、地方の相続預金のかなりの部分がネット専業銀行に流れていると推測している。一部の地銀がネット支店で預金を集めているのはそれなりの理由がある。本書の預金の推計ははたして有効だろうか。
・回帰分析にダービン・ワトソン比が表示されていない。
決定係数が高くても見せかけの相関関係はいっぱいある。本書の読者はそれなりの専門家が多いだろうから、回帰分析の基本ルールはきちんと守るべきだと思う。本書に掲載された相関関係の分布図を見ると、ダービン・ワトソン比が悪そうな推計がある。 他のレビューが褒め称える本書の回帰分析は必ずしも統計的に正当性をもたない可能性があり、注意が必要である。
投稿元:
レビューを見る
地銀の実状が非常によく分かる本。カネ余りが解消されない限り金利は上がらない!地銀の営業経費は仮死だし残高で決まる!持株会社方式の統合は全く意味がない、旧行のプライドの維持のために無駄なコストがかかりすぎる!
投稿元:
レビューを見る
地域金融のあしたの探り方 -人口減少下での地方創生と地域金融システムのリ・デザインに向けて
2016/2/29 著:大庫 直樹
市場の真理とは何か。大量のデータのなかに隠されている関係性を読み解くことである。金融業の産業構造を解明していくことである。つまり、複数の変数がどのように関連しているか、解明していくことである。それによって、銀行業の構造をシステムとして理解していくことができるようになる。
本書の構成は以下の8章から成っている。
①人口減少は預貸ギャップを拡大し地方市場を蝕む
②社会異動の奔流は急速な市町村格差を促す
③地域銀行の最終解は合併は独自モデルかの二者択一
④信用金庫の個別の多様化とシステムとしての見直し
⑤視点を変えた枠組み
⑥アウトバウンドとインバウンドへ資源を振り向けろ
⑦地方創生に向けた自治体と地域金融機関への宿題
しっかりとした背景と知識や情報等の定性情報を組み入れられているものの、本書は多くの予見や現実を定量情報で導き出している。そしてそれは目を背けたくなるような厳しい意見と現実に溢れている。
しかし、定量情報から導きだされたそれは、確実にやってくる未来である。そしてその未来は未来というには近すぎる将来でもある。それに対して目を背けることをしてはいけない。まだまだどうなるのかもわからない。解決策がほとんど見出されていない今はどうしても現実から逃げたくもなる。
しかし、あえてそこで考え得るアイデアを出し行動することは、目を背けけ様子見している人よりは多くの気づきと先行者利益を得ることにもつながる。
難しい。難しいが指をくわえていればいつのまにか近い将来はやってくる。できることが何かをしっかりと考えて動き続けたい。