投稿元:
レビューを見る
アップ、ダウン、ライト、レフト、4つのエリアに分けられるマンハッタン島。
その中でもダントツの高所得層が住むエリアがアップライト(アッパー・イーストサイド)。
そこで生活する女性たちの独特な生態を赤裸々に描く。
住居を探すことで洗礼を受け、保育園探しで実態を知り、子どもの送迎でヒエラルキーを体感する。
路上ではチキンレースを挑まれ、産後のジムでは卑猥なポーズを黙々と晒す。
人類学者の視線でアッパー・イーストサイドの文化を垣間みせる。
時にオリーブヒヒのヒエラルキーに重ね、卵の孵化を冷静に判断する鳥を思わせる彼女たち。
(自然界と彼女たちと重なるのは楽しいんだけど、次から次への学者名とかはやや面倒くさい)
煌びやかで豪奢で、陰湿で。よーやるわーと安全圏から眺めるには楽しい世界。
ゴージャスであればあるほど、彼女たち自身の価値はどうなのか、という薄暗さがついて回る。
職を持ってる人もいるけれど、大半が専業主婦。外観磨きと子どもに費やされる日々。
その生活基盤が揺らいだとき、彼女たちはどうして生きていくんだろう。
後半にむけて、感じていた不安が表に出てくる。
バーキンを手にできても、子どもにブランド服を着せることができても、そこに飛び込む気持ちにはとうていなれない。
それでも、なぜだか姿勢を正さねばならない気持ちになる。
髪は?化粧は?腹筋は?子どもを産んだって言い訳してない?
陣痛が始まったら美容院へ急ぐ、なんて気にもなれないけど、全身を鏡に映してチェックしたい気持ちになる。
女性の不安や悩みにヒエラルキーは存在しないってことかな。
そして、学校のボランティア!無料でどんだけ使うのか。の気持ちにも共感!
投稿元:
レビューを見る
7割くらいまでは夢中に読み進めた。オチはないが、NYへ行ったらアッパーイーストサイドへ行こうと思う。
投稿元:
レビューを見る
くだらないマウンティングをしあうのは豊かじゃない証拠…と思ってるふしがあったけど、この本を読んで考え方が激変。富の象徴であるパークアヴェニュー・イーストサイドの妻たちのマウンティングの愚かしさよ…。女は働かず多くの子供を育てるのが裕福の証…って、昔の日本のムラ社会かよ!富を極めれば人は逆行するのだろうか。ほんと興味深い。
あと「アメリカ人は~」って一口に語りたがる人間多いけど、アメリカはアメリカでもマンハッタンとLAじゃ全く別なのだと改めて教えてもらった気持ち。
追記
いざ自分も子育てを始めると、かつて読んだときとは読後感が全く変わり、とにかく第七章に胸を打たれた。
日本のムラ社会かよと思っていたけれど、日本では子を失った母親にこれほど寄り添ってもらえるだろうか。やはりアメリカ人は対話が上手いというか、会話によるカウンセリングの力を信じているのかなと思う。
核家族で孤立した子育てをしている現在の状況は人類史上初めてのことって、お世話になってた支援センターの保育士さんが話してくれてたのを思い出した。
投稿元:
レビューを見る
リアルなアッパーイーストの住人の生活が面白かった
アッパーイーストといえば、私の中では、USドラマ「gossip girl」のセリーナママやブレアママたちの世界だな
マンハッタン島の中でウエストとイーストでガラリと世界が変わるって、N.Yって面白いな
訳:佐竹史子は読みやすいから好き
投稿元:
レビューを見る
アッパーイーストのママたちの生態を、文化人類学者でもある筆者が他の部族や猿たちにもなぞらえながら分析する。馬鹿馬鹿しさ、虚しさを感じながらもコミュニティに同化せずには生きられない、とのこと。人間には闘争本能が備わっているのだろうか。衣食住全てが満たされると、そのことに感謝し、安楽に暮らせるはずなのに他者に戦いを挑み、勝利を求めずにいられないのはどういうわけだろう。
私はミニマリストの生活のほうに惹かれる。
投稿元:
レビューを見る
とんでもない野心やバイタリティは尊敬するけど、新参者いじめや、その界隈での正規ルートから外れようものなら築いてきた地位やママ友との関係性を失うとか、表面的な虚飾の世界って感じで馬鹿馬鹿しいなと思った。
投稿元:
レビューを見る
全米の富裕層の上位数パーセントが集中する超高級住宅地のアッパー・イーストサイド。(セントラルパークの東側)。子育てのためにそこに移り住んだ著者が出会った富裕層の妻&母親たちの実態を赤裸々に描いたノンフィクション。
エルメスのバーキンを持たずんば人にあらず!
ファッションや美容にかけるお金は平均10万ドル
社交やお受験に成功すると夫からボーナスが支給される
牛乳を買いに行く時でさえもファッションはばっちり決めよ!
…みたいな暗黙の了解があるママ友世界
そんな掟を知らない著者のウェンズデー・マーティンさんが戸惑いながらもそんな富裕層ママ友世界に”染まっていく”様子は、女性なら誰しも「あ~わかる~」ってなると思う。
文化人類学者でライターのウェンズデーさんはそんな富裕層のママ友世界を部族や野生動物に例えたりしてなかなか楽しく読めます。
で…楽しく読んでたのだけど、後半から単に笑うだけじゃなくて、すごく深くなる。
富裕層のママにはそれに伴う悩みもあるし、人として、女としての悩みもある…。
結局人って一人では生きていけないんだろな…。
人が人として生きるってことは人と支え合うことが必要なんだろな…。
…なんて思ってしまいました。
この本、富裕層のママ友のマウンティング話かと思っていたら大間違い!
なかなか深いです。
あと、訳者さんの文章がすごくすてき!読みやすくて楽しくて、日本人の私にもよくわかる表現!すごい~と思ってたら…「プラダを着た悪魔」の訳者さんでした。さすが!!
投稿元:
レビューを見る
ニューヨーク、マンハッタンの高級住宅街に生息する奥さんたちのライフスタイルを人類学者の視点で綴った、著者の実体験に基づく手記。
東京の港区マダムとも若干似ているところもあり、相違点やあの人この人を思い出したり、旅行で歩いたマンハッタンの街並みを思い出しながら楽しく読みました。
個人的にはアッパーイーストの豪壮な高級感やブランドショップが並ぶ雰囲気には、圧倒されたものの、住んでみたいかと言われると微妙。
エルメスとモンクレールが好きなところは港区と同じかな。
投稿元:
レビューを見る
海外の女性の生態に興味があり手に取りました。ニューヨーク高級住宅街の母たちの生態についてのフィールド調査エッセイと言ったところ。なお、著者は博士の学位は取得されていますが、本職はライターなのではないでしょうか。一応社会学者とはありますが、本書は霊長類学、文化人類学を引き合いに出しているので、本書は学術的に厳密とは言い難いかと思います。
なお、本書では「研究」という訳語が頻繁に出てくるのですがこれはおそらく「学術的」研究ではなく、日本語の語感から言って「調査」の方がより適切かと思いました。
著者はコミュニティにうまく入ることができなかったため、文化人類学的視点から関与的観察者として参加することでやり過ごそうという作戦で始まるため、最初はぶつけどころのないモヤモヤや苛立ちを皮肉めいた文体で書かれているので、読んでいてあまり気持ちのよいものではありません。
が、最後まで読み通すことで、関与的観察者がどのように現地化していくのかをつぶさに見てとることができるという点から、文化人類学のリサーチ方法について現代的コンテクストで検討する資料として大変貴重なケーススタディなのではないかと思います。学部生向けの教材としても良いのではないでしょうか。
結局、著者の流産をもってして最終的なコミュニティへの参加が達成されているのがなんともやるせない気持ちになりました。
なお、アッパーイーストの妻たちの生態は、細かな手段は異なれど中・高所得者層の日本の母たちにもよく当てはまるように思います。そういう意味では、日本は全体としては豊かな方がより広い地域に分布していることに興味を覚えました。また、知的レベルや技能ももより高いように思います。