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電子書籍

デビュー作ということも加味すると良作。ただ、心理描写に不足を感じた

2021/07/07 18:31

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:S910 - この投稿者のレビュー一覧を見る

父の死により義母に修道院に使用人として入れられ様々な虐めを受けたロザンナだが、
一年が経つ頃公爵の花嫁として出ることになる。
公爵はその地位や財産など自分の持つ全てをロザンナにあげるという。
ただ「愛以外は」といわれ、彼に惹かれてしまったロザンナは彼の愛を得ることを決意し、次第に二人の距離は近付いていく。
彼の隠していた出来事を知るまでは。

読んで思ったのは、すごく官能的なのに淡々としているということ。
閨シーンが多いが、丁寧なのに淡々として官能的で、欲望よりも心象を間接的に描いている感じがした。

作者があとがきで「父の死を発端に様々な試練に立ち向かう羽目になったロザンナが自ら切り開いて愛を手に入れる話」というような表現をしているけど、
どちらかというと「恋をして狂ってしまった公爵が、ロザンナに愛を与えられて人並みの幸せを得る話」のが正しかったのではないかと。

タイトルホイホイだったんだけど、だいたい期待値くらいの面白さ。
地味にレズビアンな王妃さまがなんだかんだ強かで優しくて気に入ってしまった。

正直真実が明らかになった後のロザンナの強い拒絶と、
アル失踪発覚からの立ち直り辺りのロザンナの心の動きが本当なら一番の山場だと思うのに、
そこが一番雑でわかりにくかったのが非常に残念でした。
あそこのロザンナの内面が見事に描かれていたら名作だったと思う。

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